スポンサーリンク shockの病態生理学 (NBDE Part1) - 医療関係資格試験マニア
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かず

Author:かず
某総合病院で日々、臨床で忙しい医師カズです。
各種医療職の資格試験問題に挑戦しつつ、資格を目指す方々を励ますブログです。
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1st Aid Q&A NBDE Part 1: Microbiology and Pathology から

Q197

shockの病態生理学について正しいのはどれか?

A 尿量 (urinary output)の低下
B 患者は高血圧(hypertensive)に陥る
C 血流量 (blood volume)の増加
D 心拍出量 (cardiac output)の増加
E 1回拍出量 (stroke volume)の増加


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解答

shockの病態生理学について正しいのはどれか?

A 尿量 (urinary output)の低下
B 患者は高血圧(hypertensive)に陥る
C 血流量 (blood volume)の増加
D 心拍出量 (cardiac output)の増加
E 1回拍出量 (stroke volume)の増加

正解 A

shock患者では尿量は低下する。
shockとは、組織潅流量 (tissue perfusion)の低下を意味する。
つまり、組織への酸素供給が需要に追い付かなくなる状態。

「ショックは組織還流障害の結果、組織での酸素需要と供給がアンバランスになり、
細胞レベルでの低酸素症により生体の維持に必要な細胞機能が障害され、
それが全身レベルの致死的な症状に発展すること」

ショックは、低血圧と同じような意味ですが、
しかしある数値以下をもってショックとする、というような定義がありません。

臨床の現場ではだいたい収縮期血圧が90mmHg以下をショックと言いますが、
普段血圧の高い人であればBP=100でもショックですし、
逆に普段血圧の低い人であればBP=80でショックといえるかもしれません。
つまり、ショックの定義は、血圧うんぬんというより、
「組織(細胞)に十分な血流が送れなくなった」というのが正しい見方です。

(注1)たとえ90以上でも普段と比べて収縮期血圧が40以上低下した場合を、相対的ショックと呼んでいます。


十分な血流が送れなくなったら、組織が酸欠になります。
酸欠になると乳酸が増加します。
よって乳酸はショックの有無や程度の良い指標と言えるでしょう。
高乳酸血症あるいは乳酸アシドーシスの存在をもってショックと定義しても良いかもしれません。

なので、低血圧の患者さんを見たら、どのくらい危険なのかを知るために、乳酸値をチェックします。
それで正常値であれば、「思ったほど重症ではない」と考えたりします。

(注)乳酸値は、ショック時にその産生が亢進するだけでなく、肝・腎などからの排泄が低下しているために増加します。


しかし、乳酸値が上昇しない状態でも、腎血流が滞り腎不全になることはあります。
なので、ショックとは乳酸だけで解釈するのではなく、腎血流という観点でも考えたいところです。
乳酸がたまっていなかったからといって、一晩放置しておけば、
尿量が得られず翌日腎不全が完成しているかもしれません。

また、乳酸も溜まらず、腎機能も大丈夫で、しかし意識障害が発生することもあります。
これは脳血流の減少による臓器不全であり、立派なショックです。
もともと脳の機能が衰えている高齢者ではこのようなことがよくあります。
肝不全が前面にでるショックもあります(ショックリバーというのかな?)。
よって、ショックとは、臨床の現場で一義的に定義することは難しく、
身体症状や検査所見全般を見る視野が必要です。

http://qq8oji.tokyo-med.ac.jp/pg-report/1248 から)


× B 患者は高血圧(hypertensive)に陥る
通常は低血圧 hypotensive といえるが、必ずしもhyper, hypoはshockの病態を示すわけではない。
選択肢としては、よい選択肢とはいえません。

× C 血流量 (blood volume)の増加
むしろ低下なので、×?

× D 心拍出量 (cardiac output CO)の増加
× E 1回拍出量 (stroke volume SV)の増加

CO=SI X 心拍数 で定義される。

shock初期では、COを補うべく心拍数は増加するが
代償しきれなくなり、COは低下する。
よくよく考えると、これらの選択肢も微妙。

明らかに正しいのはAということになるのか。


08-05.jpg 
https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1254


補足 http://www.nms.co.jp/QQ/shock.html から


1)定義:
   血圧低下により末梢循環が著しく障害され、その結果、末梢組織の代謝が損われた状態。
   現在の血圧低下が末梢循環不全、重要臓器の代謝障害を引き起こ しているか、
   なんらかの緊急処置を必要としているかの判断が重要。
       また、ショックは放置しておくと代謝面の悪循環の結果、不可逆性の臓器障害を
       引き起こすので、できるだけ早く病態を把握し、適切な治療を行うことが必要。

  2)分類
   1.神経原性ショック(neurogenic shock、primary shock)
   2.循環血液量減少性ショック(hypovolemic shock)
   3.アナフィラキシーショック(anaphylaxy shock)
   4.敗血症性ショック(septic shock)
   5.心原性ショック(cardiogenic shock)
   6.その他のショック

  3)症状:(5P)
   1.蒼白(pallor)            
   2.虚脱(prostration)        
   3.冷汗(perspiration)        
   4.脈拍触知不能(pulselessness)   
   5.呼吸不全(pulmonary deficiency)

    6.血圧低下(収縮期圧90-100以下)
   7.脈圧減少
    8.表在性静脈虚脱
       9.呼吸促拍
     10.乏尿(25ml/hr以下)

   [参考]米国MIRUの診断基準 
     1.収縮期圧<90mmHg、または通常の血圧より30mmHg以上低下
      2.臓器循環障害(尿量<20ml、意識障害、末梢血管収縮)
      ただし、迷走神経反射・不整脈などによる低血圧を除く

B)各論

 1)神経原性ショック
  1.病態生理:疼痛などの何らかの引金(trigger)による血管迷走神経反射
   (Vaso-vagal reflex)の結果、徐脈・心収縮力の低下に起因する心拍出量の低下
   および末梢血管拡張による血圧低下が起こる。

  2.症状の特徴
   a)比較的急激に発症
   b)徐脈、血圧低下、時に意識消失が主症状。
   c)不安や疼痛が誘因となり、それが明らかなことが多い。
   d)末梢は暖かく、全身状態が血圧低下の割に良好。

  3.診断
   a)検査中などに起こり易い。
   b)徐脈と四肢の温感がかなり特徴的。
   c)全身状態が良好なことも1つの根拠となる。

  4.治療
   a)多くの場合、頭を低くして衣服をゆるめ、しばらく観察するのみで改善する。
   b)上記にて改善が見られないときは、ラクテックにて血管確保を行い、硫酸アトロ
    ピン1A(0.5mg)静注。
   c)更に改善が見られないときは、エホチ-ル1A/生食20mlを1/5ずつ繰り
    返し静注する。
   d)ショックが遷延するときは、上記の処置を行いながら、他のショックの可能性も
    考え、原因の検索を行う。
   e)必要に応じ、循環血液量減少性ショックに準じた治療を施行する。

 2)循環血液量減少性ショック
  1.病態生理:種々の原因により循環血液量の減少が起こり、末梢血管の虚脱が生じ血
   圧の低下をきたす。この結果、下記の全身性の反応が起こる。原因として、出血
  (血球の減少を伴うもの)と脱水(細胞外液のみの減少)の2つがあげられる。

   a)交感神経の緊張亢進:頻脈、冷汗、蒼白
   b)末梢循環不全による組織の虚血(anoxia):アシドーシス
   c)血管内凝固
      d)過換気、急性肺水腫
      e)心筋虚血、心筋収縮性低下(MDFなどによる)
      f)急性腎不全

    2.原因疾患

      a)比較的急性の出血をきたす疾患
      1)各種外傷
       2)心大血管からの出血:大動脈瘤破裂、心破裂
       3)喀血をきたす疾患:気管支拡張症、肺結核、肺癌、気管支炎、肺梗塞、僧帽弁狭
         窄、肺炎、動静脈瘻、Goodpasture 症候群
       4)上部消化管出血:胃十二指腸潰瘍、出血性胃炎、胃癌、食道炎、食道静脈瘤破裂、
          Mallory-Weiss 症候群
       5)下部消化管出血:大腸癌、痔核、出血性大腸炎、大腸ポリープ、虚血性腸炎、潰
         瘍性大腸炎、憩室炎、腹腔内出血、肝腫瘍、脾破裂

      b)脱水をきたす疾患
       1)不感蒸泄の増加:各種発熱性疾患(補液が不適当な場合が多い)
       2)尿よりの体液の喪失:急性腎不全利尿期、利尿剤使用時、糖尿病性昏睡、尿崩症
       3)消化管よりの体液喪失:嘔吐をきたす全ての疾患、下痢をきたす全ての疾患(特
         にコレラ)
       4)その他:腸閉塞(嘔吐に加え、third spaceに大量の細胞外液が移行),急性膵炎
        (脱水と末梢血管拡張)
       5)医原性:医師が考えていたよりも体液喪失が著しかったとき。これは如何なる疾
         患でも起こりうる!

     3.症状・徴候
   a)循環血液量減少による直接症状と反射性の交感神経緊張による症状:血圧低下、
        頻脈、四肢冷感、皮膚の緊張(turgor)の低下、舌の乾燥
      b)呼吸器系(出現頻度は低い):初期は過換気。肺水腫になると、呼吸困難、起坐呼
        吸、喘鳴、泡沫様喀痰など
      c)循環器系:血圧低下、頻脈
      d)中枢神経系:無欲、無関心、意識喪失

     4.診断
      a)原因疾患がはっきりしている時(特に出血)は診断は容易。
      b)他のショックとの鑑別が困難なときには、
       1)中心静脈圧の測定(できればスワンガンツカテーテルにてPCWPを)
       2)これを行う余裕のないときは動脈圧をモニターしながら250ml~1000ml
         の血漿代用剤(ヘスパンダーまたはプラズマネートカッター)の急速注入。必要な
         らパンピングを行い、反応を見る。
   c)血液検査上は、
    1)出血の時は、貧血と低蛋白血症(出血初期には貧血は軽度)。
    2)脱水の時は、逆に血液濃縮の所見が見られる。
      d)重症度の把握
    *ショック指数=脈拍数/血圧
             ショック指数   循環血液量の減少
                  0.5            なし
                  1.0      23%
                  1.5      33%
                  2.0      43% 


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