110回歯科国試で出そうな項目3-2 (dentalkokushi から)
歯科医師国家試験 臨床問題を熱く語るブログ110回国試で出そうなところ★その10★
2017年01月03日(火) 配信より引用改編
6)プレガバリンの作用機序&適用
7)アスピリンの作用機序
(注1)109回国試でCOX1の不可逆的阻害が聞かれている。
(注2)他のNSAIDsとの違い。
抗血小板薬として用いられていることを強く認識しておく。
8)アドレナリン反転の説明ができるか?
9)真性コリンエステラーゼと偽性コリンエステラーゼの区別
(エステル型局所麻酔薬での役割は?)
10) ROC曲線の意味
11) 年齢調整死亡率の意味
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解説
6)プレガバリンの作用機序&適用
以下は、
http://kusuri-jouhou.com/medi/pain/pregabalin.html から
プレガバリン(商品名:リリカ)の作用機序
痛みがずっと続く状態を「疼痛」と表現します。
神経が障害されると、疼痛として痛みが引き起こされてしまいます。
この時、神経細胞にはカルシウムが流入するための受容体(カルシウムチャネル)が存在します。
疼痛が起きている状態では、カルシウムチャネルを通じてカルシウムが神経細胞内に入ってきます。
これによって神経細胞が興奮し、神経伝達物質が過剰に放出されます。
この時に放出される神経伝達物質の中には痛みを引き起こす物質も含まれるため、結果として痛みが起こります。
これが、神経障害性疼痛が起こるメカニズムです。
この状態を改善するためには、神経細胞に存在するカルシウムチャネルを阻害すれば良いことが分かります。
カルシウムの流入を抑制することで、神経細胞の過剰興奮を抑えるのです。
これにより、神経伝達物質の過剰な放出を抑制し、神経障害性疼痛を鎮めます。
適応疾患
・椎間板ヘルニアなどによって神経が圧迫される「腰痛症」
・腰のあたりに存在する神経の束が圧迫される「坐骨神経痛」
・帯状疱疹ウイルスによって神経線維が障害される「帯状疱疹後神経痛」
・糖尿病によって引き起こされる「糖尿病神経障害に伴う痛み・しびれ」
7)アスピリンの作用機序
(注1)109回国試でCOX1の不可逆的阻害が聞かれている。
(注2)他のNSAIDsとの違い。
抗血小板薬として用いられていることを強く認識しておく。
以下は、http://kusuri-jouhou.com/ からの引用再編
アスピリン喘息
昔から使用されているNSAIDsとしてアスピリンがあります。
このアスピリンは前述の通り、副作用として胃腸障害があります。
それだけでなく、NSAIDsの副作用としてはアスピリン喘息と呼ばれるものがあります。
つまり、NSAIDsを服用することによって喘息のような症状が出ます。
プロスタグランジン(PG)の合成過程として、
シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素が関与している。
アスピリンはCox1を不可逆的にアセチル化
この時、実はアラキドン酸はプロスタグランジンへと合成される過程だけでなく、
ロイコトリエン(LT)と呼ばれる物質へ変換される過程にも関与しています。
このロイコトリエンはアナフィラキシーや気管支収縮作用などに関与しています。
アスピリンの抗凝固作用
血小板による血液凝固に関わる物質としてTXA2(トロンボキサンA2)があります。
簡単に言い換えると、TXA2(トロンボキサンA2)が作用すると血栓が作られやすくなります。
そして、このTXA2は血小板に存在するCOX-1(シクロオキシゲナーゼ1)という酵素によって生成されます。
つまり、COX-1の作用を阻害することができれば、血小板凝集に関わるTXA2が作られなくなるために
血栓の生成を防止することができます。
http://kusuri-jouhou.com/domestic-medicine/NSAIDs6.html
8)アドレナリン反転の説明ができるか?
一つの例題を用いて説明
http://www.yakugaku-tik.com/home/guo-si-guo-qu-wenno-jie-shuo/yao-ji-shi-guo-jia-shi-yan99hui-guo-qu-wen-jie-shuo/yao-li-bi-xu-1/wen99-29-jie-shuo
薬剤師99-29
麻酔下の動物に、アドレナリンを静脈注射すると
急速な血圧上昇とそれに続く下降が認められた。
しかし、ある薬物を前処置後に、先と同量のアドレナリンを
静脈注射すると血圧下降のみが認められた。
前処置した薬物はどれか。1つ選べ。
1 スコポラミン
2 フェントラミン
3 イソプレナリン
4 プロプラノロール
5 クロニジン
本問の問題文はアドレナリン反転についての記述です。
アドレナリン反転とは
α1 受容体遮断薬投与後に、アドレナリンを注射すると血圧下降作用が見られる現象
アドレナリンは
α1 受容体及び、β2 受容体に作用します。
α1 受容体が刺激されると、血圧上昇が引き起こされ
β2 受容体が刺激されると、血圧下降が引き起こされます。
α1受容体を介した作用の方が、より大きい作用のため
従来は、アドレナリンにより、血圧は上昇します。
しかし、α1 受容体遮断薬を投与していると
β2 作用のみが見られることで
アドレナリンを投与して血圧が降下する、という現象が
見られます。
さて、選択肢の5つの薬物ですが
スコポラミンは、M 受容体拮抗薬です。
フェントラミンは、α受容体遮断薬です。
イソプレナリンは、β受容体刺激薬です。
プロプラノロールは、β受容体遮断薬です。
クロニジンは、α2 受容体作動薬です。
前処置をした薬物は、
α遮断薬であるフェントラミンであると考えられます。
正解は 2
9)真性コリンエステラーゼと偽性コリンエステラーゼの区別
(エステル型局所麻酔薬での役割は?)
コリンエステラーゼは
アセチルコリン分解酵素(アセチルコリン→コリン+酢酸)だから
阻害するとシナプス間隙のアセチルコリン濃度が上昇して副交感神経興奮。
コリンエステラーゼは
アセチルコリンエステラーゼ(真性)と血漿コリンエステラーゼ(偽性)の2種類。
真性のほうはアセチルコリンのみを分解して、
偽性はアセチルコリンのほかにもスキサメトニウム、プロカインとかを分解。
コリンエステラーゼ阻害薬の分類
○可逆的コリンエステラーゼ阻害薬
エステル部に結合する:フィゾスチグミン
陰性部に結合する:エドロホニウム
陰性部・エステル部に結合する:ネオスチグミン、ジスチグミン、ピリドスチグミン、アンベノニウム
○非可逆的コリンエステラーゼ阻害薬
エステル部に結合する:有機リン系(サリン、パラチオンなど)
(http://kanimomonga.blogspot.jp/2014/10/blog-post_20.html から)
10) ROC曲線の意味
特定の疾患(群)に罹患した患者群と非患者群とを分ける最適なカットオフ値を決めるために、
ROC曲線(Receiver Operator Characteristic Curve)などを用いて設定される。
ROC曲線は
縦軸に感度、
横軸に偽陽性率(=1-特異度)をとって、
カットオフ値を変動させながらプロットしたときに得られる曲線である。
http://kimuakilabo.main.jp/stat11.html
関連記事:
11) 年齢調整死亡率の意味
都道府県別に、死亡数を人口で除した通常の死亡率(以下「粗死亡率」という。)を比較すると、
各都道府県の年齢構成に差があるため、
高齢者の多い都道府県では高くなり、
若年者の多い都道府県では低くなる傾向がある。
このような年齢構成の異なる地域間で死亡状況の比較ができるように
年齢構成を調整した死亡率が年齢調整死亡率(人口10万対)である。
この年齢調整死亡率を用いることによって、
年齢構成の異なる集団について、
年齢構成の相違を気にすることなく、
より正確に地域比較や年次比較をすることができる。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/other/00sibou/1.html
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