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解答110医D31
正解:d問題点をまとめると以下の通り。
主訴:労作時の息切れ、易疲労感
理学所見:
鎖骨上窩の多発LN
聴診:Ⅲ音+、肺音は正常
検査所見:
GPT軽度上昇
Ca上昇
ACE上昇
可溶性IL2上昇
chest XP:両側肺門腫脹 BHL (bilateral hilar lymphadenopathy
ECG:不完全右脚block
心echo:左室駆出率低下、心室中隔基部の菲薄化
病理:ラングハンス巨細胞を認める肉芽腫性病変(乾酪壊死は認められない)
以上から、診断:サルコイドーシス
治療は、ステロイド治療でdが正解
歯科では、
乾酪壊死のないラングハンス巨細胞を伴う肉芽腫性病変は
サルコイドーシスを疑う
ということは覚えておきましょう。
以下は
http://www.jssog.com/www/top/shindan/shindan2-1new.html から
少し詳しすぎますが。
サルコイドーシスの診断基準A. 診断基準
サルコイドーシスの診断は組織診断群と臨床診断群に分け下記の基準に従って診断する.
【組織診断群】
全身のいずれかの臓器で壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が陽性であり、かつ、既知の原因の肉芽腫および局所サルコイド反応を除外できているもの。
ただし、特徴的な検査所見および全身の臓器病変を十分検討することが必要である。
【臨床診断群】
類上皮細胞肉芽腫病変は証明されていないが、 呼吸器、眼、心臓の3臓器中の2臓器以上において本症を強く示唆する臨床所見を認め、かつ、特徴的検査所見の5項目中2項目以上が陽性のもの。
特徴的な検査所見 (表1)
- 1)両側肺門リンパ節腫脹
- 2)血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性高値または血清リゾチーム値高値
- 3)血清可溶性インターロイキン-2受容体(sIL-2R)高値
- 4)Gallium-67 citrateシンチグラムまたはfluorine-18 fluorodeoxygluose PETにおける著明な集積所見
- 5)気管支肺胞洗浄検査でリンパ球比率上昇、CD4/CD8比が3.5を超える上昇
特徴的な検査所見5項目中2項目以上陽性の場合に陽性とする。
付記
- 1)皮膚は生検を施行しやすい臓器であり、皮膚に病変が認められる場合には、診断のためには積極的に生検を行なうことが望まれる。微小な皮膚病変は皮膚科専門医でないと発見しづらいことがある。
- 2)神経系をはじめとする他の臓器において、本症を疑う病変はあるが生検が得難い場合がある。このような場合にも、診断確定のためには全身の診察、諸検査を行って組織診断をえるように努めることが望まれる。
- 3)臨床診断群においては類似の臨床所見を呈する他疾患を十分に鑑別することが重要である。
B. 各種臓器におけるサルコイドーシスを示唆する臨床所見
呼吸器系、眼、心臓、皮膚およびそれ以外の臓器におけるサルコイドーシスに
特徴的な臨床所見およびサルコイドーシスの関連病態に伴う臓器病変を以下に示す。
サルコイドーシスの診断には基本的に組織学的診断が必要であるが、
呼吸器系病変、眼病変および心臓病変に関しては組織学的証明がない場合でも、
臓器別のサルコイドーシスを強く示唆する臨床所見の基準を満たせば、“臓器病変あり”とみなす。
1.呼吸器系病変を強く示唆する臨床所見
呼吸器系病変は肺胞領域の病変(胞隔炎)および気管支血管周囲の病変、
肺門および縦隔リンパ節病変、気管・気管支内の病変、胸膜病変を含む。
1) または2)がある場合、呼吸器系病変を強く示唆する臨床所見とする。
呼吸器所見(表2)
- 1) 両側肺門リンパ節腫脹(BHL)
- 2) CT/HRCT画像で気管支血管周囲間質の肥厚やリンパ路に沿った多発粒状影。 リンパ路に沿った分布を反映した多発粒状影とは小葉中心性にも、小葉辺縁性(リンパ路のある胸膜、小葉間隔壁、気管支動脈に接して)にも分布する多発粒状影である。
下記眼所見の 6項目中2項目をみたしたものを,眼病変を強く示唆する臨床所見とする.
眼所見(表3)
- 1) 肉芽腫性前部ぶどう膜炎(豚脂様角膜後面沈着物、虹彩結節)
- 2) 隅角結節またはテント状周辺虹彩前癒着
- 3) 塊状硝子体混濁(雪玉状、数珠状)
- 4) 網膜血管周囲炎(主に静脈)および血管周囲結節
- 5) 多発するろう様網脈絡膜滲出斑または光凝固斑様の網脈絡膜萎縮病巣
- 6) 視神経乳頭肉芽腫または脈絡膜肉芽腫
参考となる眼病変:角膜乾燥症、上強膜炎・強膜炎、涙腺腫脹、眼瞼腫脹、顔面神経麻痺
3.心臓病変を強く示唆する臨床所見
心臓所見(徴候)は主徴候と副徴候に分けられ、以下の1)または2)のいずれかを満たす場合、心臓病変を強く示唆する臨床所見とする。
- 1)主徴候5項目中2項目以上が陽性の場合。
- 2)主徴候5項目中1項目が陽性で、副徴候3項目中2項目以上が陽性の場合。
心臓所見(表4)
- (1) 主徴候
- (a) 高度房室ブロック(完全房室ブロックを含む)または持続性心室頻拍
- (b) 心室中隔基部の菲薄化または心室壁の形態異常(心室瘤、心室中隔基部以外の菲薄化、心室壁肥厚)
- (c)左室収縮不全(左室駆出率50%未満)または局所的心室壁運動異常
- (d)Gallium-67 citrateシンチグラムまたはfluorine-18 fluorodeoxygluose PETでの心臓への異常集積
- (e) Gadolinium造影MRIにおける心筋の遅延造影所見
- (2)副徴候
- (a) 心電図で心室性不整脈(非持続性心室頻拍、多源性あるいは頻発する心室期外収縮)、脚ブロック、軸偏位、異常Q波のいずれかの所見
- (b)心筋血流シンチグラムにおける局所欠損
- (c)心内膜心筋生検:単核細胞浸潤および中等度以上の心筋間質の線維化
付記:
- 1)虚血性心疾患と鑑別が必要な場合は、冠動脈検査(冠動脈造影、冠動脈CTあるいは心臓MRI)を施行する。
- 2)心臓以外の臓器でサルコイドーシスと診断後、数年を経て心臓病変が明らかになる場合がある。
- そのため定期的に心電図、心エコー検査を行い、経過を観察する必要がある。
- 3)心臓限局性サルコイドーシスが存在する。
- 4)乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が、心内膜心筋生検で観察される症例は必ずしも多くない。
- 従って、複数のサンプルを採取することが望ましい。
- 5)Fluorine-18 fluorodeoxygluose PETは、非特異的(生理的)に心筋に集積することがあるので撮像条件に注意が必要である。
4.皮膚病変を強く示唆する臨床所見
サルコイドーシスの皮膚病変はすべて組織学的診断で診断可能なため,すべて組織診断陽性のものをいう.
以下表5に皮膚の臨牀所見を示す.
皮膚所見(表5)
- ①皮膚サルコイドーシス(特異的病変)
- ⅰ 結節型 ⅱ 局面型 ⅲ びまん浸潤型 ⅳ 皮下型 v その他(苔癬様型、結節性紅斑様、魚鱗癬型、その他のまれな病変)
- ② 瘢痕浸潤
- (皮膚病変を強く示唆する臨床所見として肉芽腫の組織学的証明が必要)
付記
肉芽腫のみられない非特異的病変として結節性紅斑を伴うことがあるが本邦ではまれである。
5.呼吸器系、眼、心臓、皮膚以外の臓器におけるサルコイドーシスを強く示唆する臨床所見
呼吸器系、眼、心臓、皮膚以外の臓器におけるサルコイドーシスを強く示唆する臨床所見にはCT、MRI、
超音波、各種内視鏡、gallium-67 citrateシンチグラムやfluorine-18 fluorodeoxygluose PETなどの画像所見が含まれる。
呼吸器系、眼、心臓、皮膚以外の臓器においてサルコイドーシスを強く示唆する臨床所見を確定する際は、
全身のいずれかの臓器において類上皮細胞肉芽腫の証明を必要とする。
その他の臓器所見(表6)
1)神経病変
①中枢神経
a 実質内肉芽腫性病変
a-1. 限局性腫瘤病変 a-2. びまん性散在性肉芽腫性病変 a-3. 脊髄病変
b 髄膜病変
b-1. 髄膜炎・髄膜脳炎 b-2. 肥厚性肉芽腫性硬膜炎
c 水頭症
d 血管病変
d-1. 血管炎 d-2. 脳室周囲白質病変 d-3. 静脈洞血栓症
e 脳炎
②末梢神経
a 脳神経麻痺
a-1. 顔面神経麻痺 a-2. 舌咽・迷走神経障害 a-3. 聴神経障害 a-4. 視神経障害
a-5. 三叉神経障害 a-6. 嗅神経障害 a-7. その他の脳神経の障害
b 脊髄神経麻痺
b-1. 多発性単神経炎 b-2. 多発神経炎 (small fiber neuropathyを含む)b-3. 単神経麻痺 b-4. その他の障害:神経根障害、馬尾症候群など
2)肝病変:肝腫、多発性結節
3)脾病変:脾腫、脾機能亢進症、多発性結節
4)消化管病変:潰瘍、粘膜肥厚、隆起性病変
5)腎病変:腎腫瘤、カルシウム代謝異常に伴う腎病変、尿細管間質性腎炎、肉芽腫性腎炎、糸球体腎炎、腎血管炎
6)胸郭外リンパ節病変:表在性リンパ節腫大、腹腔内リンパ節腫大など
7)外分泌腺病変:耳下腺腫大、顎下腺腫大、涙腺腫大
8)上気道病変:鼻腔病変、上気道腫瘤
9)骨病変:レース状の骨梁像、溶骨性病変、円形のう胞状骨透亮像
10)筋病変
ⅰ 急性~亜急性筋炎型
ⅱ 慢性ミオパチー
ⅲ 腫瘤型ミオパチー
11)関節病変:関節の腫脹、変形
12)生殖器病変:子宮、精巣、精巣上体、精索などの腫瘤
13)その他病変:骨髄病変,膵病変, 胆道・胆嚢病変、腹膜病変、乳腺病変、甲状腺病変など
付記
サルコイドーシスでは、以下のような関連病態(およびそれに伴う臓器病変)を呈しうる。
これらの関連病態は “臓器病変を強く示唆する臨床所見”とはならないが、サルコイドーシスに伴う所見として重要であるため、
ここに記載する。
①カルシウム代謝異常(高カルシウム血症,高カルシウム尿症,腎結石、尿路結石)
②下線を引いた神経病変
③下線を引いた腎臓病変
C.除外規定
以下の除外規定に従って、十分に鑑別診断を行う。
- ①原因既知あるいは別の病態の全身性疾患を除外する:悪性リンパ腫、他のリンパ増殖性疾患、がん(がん性リンパ管症)、結核、結核以外の肉芽腫を伴う感染症(非結核性抗酸菌症、真菌症など)、ベーチェット病、アミロイドーシス、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)/ウェゲナー肉芽腫症、IgG4関連疾患など。
- ②異物、がんなどによるサルコイド反応。
- ③他の肺肉芽腫を除外する:ベリリウム肺、じん肺、過敏性肺炎など。
- ④巨細胞性心筋炎を除外する。
- ⑤原因既知のブドウ膜炎を除外する:ヘルペス性ぶどう膜炎,HTLV-1関連ぶどう膜炎,ポスナー・シュロスマン症候群など。
- ⑥他の皮膚肉芽腫を除外する:環状肉芽腫,Annular elastolytic giant cell granuloma,リポイド類壊死,Melkerson-Rosenthal症候群,顔面播種状粟粒性狼瘡,酒さなど。
- ⑦他の肝肉芽腫を除外する:原発性胆汁性肝硬変など。
D.診断および経過観察における注意事項
サルコイドーシスは同時性および異時性に多臓器に病変を有する全身性疾患であるので、既往歴の確認を十分に行い、
各種臓器病変の有無を経時的に検討する必要がある。
また、サルコイドーシスとして各臓器の診断の手引きから典型的な症例で組織学的な検討が困難な場合でも臨床診断群として
申請し、治療ができるようにした。
この場合も十分に鑑別診断を行うことが前提である。
また、サルコイドーシスを疑うが、上記の基準を満たさない症例において治療の必要がない場合には、
疑診として経過観察を行うこととする。
一方、疑診でも心臓サルコイドーシスや中枢神経サルコイドーシスを強く疑い、
生命の危険が想定される場合は治療的診断として、診断に先行して治療を行う場合があることを付記する。
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