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日経メディカル:
1日1問 医師国家試験(2017 5/26, 27配信)から 髄膜炎関係の問題 108医B-50, 51 78歳の男性。意識障害のため搬入された。 現病歴 : 昨日から37.4℃の発熱、頭痛および悪心を訴えていた。 今朝になって意識がもうろうとしているところを家族に発見され、救急搬送された。 既往歴 : 30年前から高血圧症の治療を受けている。 生活歴 : 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。 家族歴 : 父親が脳出血のため82歳で死亡。 現症 : 意識レベルはJCSIII-200。身長167cm、体重68kg。 体温38.1℃。脈拍104/分、整。血圧106/78mmHg。 呼吸数20/分。SpO2 98%(マスク5L/分 酸素投与下)。 眼瞼結膜に貧血を認めない。 咽頭に軽度発赤を認める。項部硬直を認める。 心音と呼吸音とに異常を認めない。 腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。 顔面と四肢とに明らかな麻痺を認めない。腱反射に異常を認めない。 意識障害のため感覚障害は不明。 血液検査と同時に血液培養の検体を提出した。 検査所見 : 血液所見:赤血球428万、Hb 13.6g/dL、Ht 42%、白血球14,300 (桿状核好中球16%、分葉核好中球64%、単球4%、リンパ球16%)、血小板23万。 血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL、アルブミン3.4g/dL、 AST 24IU/L、ALT 19IU/L、LD 277IU/L(基176~353)、 ALP 283IU/L(基準115~359)、γ-GTP 46IU/L(基準8 ~50)、 CK 124IU/L(基準30~140)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、 血糖106mg/dL、Na 134mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 96mEq/L。 CRP 2.4mg/dL。 1)抗菌薬の投与について正しいのはどれか。 1 髄液検査の結果を待たずに速やかに開始する。 2 髄液検査で圧の上昇があれば開始する。 3 髄液検査で多形核球優位の細胞数増加があれば開始する。 4 脳脊髄液のGram染色で細菌を認めれば開始する。 5 髄液培養で原因菌が判明すれば開始する。 頭部CTでは異常を認めなかった。 ICUに入室し髄液検査が実施された。 脳脊髄液所見:初圧210mmH2O(基準70~170)、 細胞数4,200/mm3(基準0~2)(単核球8%、多形核球92%)、 蛋白340 mg/dL(基準15~45)、糖18mg/dL(基準50~75)。 脳脊髄液のGram染色では細菌は検出されなかった。 6時間後に血圧が76/52mmHgに低下し無尿となった。 意識レベルはJCSIII-200。 体温39.0℃。脈拍112/分。四肢末の皮膚は温かい。 2)この時点の治療として適切なのはどれか。 1 フロセミド急速静注 2 アドレナリン急速静注 3 カルシウム拮抗薬持続静注 4 ノルアドレナリン持続静注 5 アセトアミノフェン直腸内投与 解答:MOREへ スポンサーリンク 1) 正解 1 高齢男性の発熱・頭痛・意識障害です。 この時点で、細菌性髄膜炎を想起することが重要です。 細菌性髄膜炎の古典的三徴は、発熱・項部硬直・意識の変容であり、 これに頭痛を加えた4項目のうち、 2つ以上を満たすと臨床的には細菌性髄膜炎の可能性を考えることになるからです。 細菌性髄膜炎は内科的emergencyとみなされることも多く、 数分の遅れが生死を分けることがあり、時間との勝負の診療となります。 本症例においても、上述の理由から髄液検査に急ぎます。 禁忌事項(出血傾向、刺入部の感染、脳圧亢進)を除外できれば速やかに腰椎穿刺を行います。 本問で問われているのが抗菌薬投与のタイミングです。 上述のように、細菌性髄膜炎は時間との戦いなので、1分1秒を惜しんで対応していきます。 具体的には、抗菌薬をいつ投与するのかが重要で来院してから30分以内に投与することが目標とされています。 この30分という壁は結構に厚いのが現実のようです。 各種培養は抗菌薬が血中に入った直後より効いて「しまう」ので、 培養検査は抗菌薬投与の前というのが原則です。 したがって、血液培養と髄液培養を取った直後が抗菌薬投与のタイミングとなります。 即ち、髄液検査の結果を待たずに速やかに開始することになるのです。 2) 正解 4 前問に続き、時間が少し経過した時点でのdecision-makingが問われています。 髄液所見は、心の準備をしていた通りに細菌性髄膜炎の所見でした。 そして血圧低下、無尿を認めたのでショックと判断します。 お分かりの通り、敗血症性ショックに陥ってしまいました。 この時点で大量補液と昇圧剤を使うのですが、使う薬剤は限られています。 敗血症のガイドラインによれば、敗血症性ショックではノルアドレナリンを使うことが推奨されています。 これは、敗血症性ショックの病態である、血管透過性亢進と血管拡張に対して、 ノルアドレナリンの血管収縮作用が奏功するということを示しています。 一つ、この問題で個人的に面白いと思うのが、「髄液Gram染色で細菌は検出されなかった」という一文です。 これは現場のリアリティをよく反映しています。 髄液のGram染色は手技が難しく、また感度もさほど高くはないので結果が陰性でも何ら驚きません。 菌が見えた場合には有用な情報(抗菌薬選択のヒントになる)が得られるというくらいの認識で診療をしています。 このように最近の国試では、フェイクというか実臨床さながらの症例提示が少しずつ増えてきているような印象を受けます。 |
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