NSAIDsとその副作用
http://www.slideshare.net/DMG33/nsaids-cardiovascular-risk-cgrand-rounds-uc-oct-22-2014
問1次にあげるNSAIDsについての設問に答えよ。
A aspirin
B phenylbutazone
C phenacetin
D piroxicam
E ibuprofen
説問
(1) 酸性化合物であるものはいずれか?3つ選べ。
(2) 最もcyclooxygenase(COX)阻害作用の弱いものはいずれか。選択肢から一つ選べ。
(3) Indomethacinなどの化合物は可逆的にcyclooxygenaseを阻害するが、
選択肢の中で、cyclooxygenaseをアセチル化して、不可逆的に阻害するものはいずれか。
一つ選べ。
問2 次の選択肢の中で 間違ったもの を選べ (複数選択可)
1 ステロイド性抗炎症薬には各種の炎症性サイトカインの産生抑制作用がある。
2 束状層は副腎皮質全体の約8割を占め、ステロイド性抗炎症薬が長期間全身投与されると束状層が萎縮し、
副腎皮質全体が小さくなる。
3 ステロイド性抗炎症薬を長期間全身投与すると視床下部からのCRHおよび脳下垂体前葉からの
ACTH分泌が促進され、副腎皮質の萎縮がおこる。
4 ステロイド性抗炎症薬の副作用のために、消化性潰瘍、骨粗しょう症、
糖尿病、精神病患者への投与は注意しなくてはならない。
5 ステロイド性抗炎症薬を長期間投与して、症状の改善がみられたらすぐに投与を中止したほうがよい。
問3アスピリンの副作用のうち、アレルギー性に起こるものはどれか?
(a) 腎障害
(b) 消化性潰瘍
(c) 出血傾向
(d) 発疹
(e) 再生不良性貧血
問4以下のNSAIDsに関する文章のうち、正しいものを選べ。
(a) cyclooxygenaseには常在性のCOX-1と炎症時に増加するCOX-2が存在する。
(b)i ndomethacinやaspirinは可逆的にcyclooxygenaseを阻害する。
(c) 選択的COX-2阻害薬は血小板凝集抑制薬として用いられる。
(d) アスピリン中毒として呼吸性アシドーシスがある。
(e) 抗炎症作用は直接作用ではなく、間接作用である。
問題5NSAIDsの副作用を選びなさい。ただし、解答は1つとは限らない。
(a) 骨粗鬆症
(b) 喘息発作
(c) 白内障
(d) Cushing症候群
(e) ネフローゼ症候群
問5次の記述のうち正しいものを選べ。ただし、解答は1つとは限らない。
(a) 大半のNSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害によるPG生成抑制作用もつ。
(b) COXは、COX-1とCOX-2があり、ともに常在する。
(c) COX-1は胃粘膜保護作用をもつ。
(d) COX-2は出血時の血小板凝集に必要なTXA2を産生する。
(e) 糖質コルチコイドはホスホリパーゼA2の作用を阻害して、
PG類およびロイコトリエン類の生成を抑制する。
問6次の記述のうち正しいものを選べ。ただし、1つとは限らない。
(a) アセトアミノフェンはNSAIDsである。
(b) セレコキシブは選択的COX-2阻害薬である。
(c) アスピリンはCOXを可逆的に阻害するが、他の多くのNSAIDsは不可逆的に阻害する。
(d) アスピリンによって1度COX活性を失った血小板は寿命(7-10日間)まで機能が抑制されたままである。
(e) アスピリンは心筋梗塞、脳梗塞の予防薬としても用いられる。
問7炎症及び抗炎症薬に関する次の記述のうち正しいものをすべて選べ。
a. 炎症部位では、COX-2が遺伝子の転写促進により発現する。
b. アスピリンによって胃粘膜障害が起きる一因として、アスピリンによる胃のCOX-1の阻害がある。
c. ジクロフェナクナトリウムは、インドメタシンに比べて胃粘膜障害作用は弱い。
d. インドメタシンは、現在では内服薬よりも外用剤として使用されることが多い。
e. ロキソプロフェンナトリウムは、胃粘膜障害作用が弱いので、消化性潰瘍患者にも使用される。
問8 抗炎症薬に関する次の記述のうち正しいものをすべて選べ。
a. アスピリンは、解熱作用が強いが、喘息発作を誘発させることが報告されている。
b. メフェナム酸は、非ステロイド性消炎鎮痛薬の中では鎮痛効果が強く、
咽頭痛、歯科領域の痛みや月経痛に対して効果がある。
c. インドメタシンを坐剤で用いると経口投与より肝臓での代謝を受けやすくなる。
d. ロキソプロフェンナトリウムはプロドラッグで、鎮痛作用が強力である。
e. NSAIDsはニューキノロン系抗菌薬との併用は、中枢性痙攣発作を惹起することがある。
問9合成ステロイド性抗炎症薬の多くは、糖質コルチコイド作用を天然のヒドロコルチゾンより強くし、
鉱質コルチコイド作用を除去あるいは弱くし、使用しやすくしたものである。
糖質コルチコイド製剤に関する次の記述のうち正しいものをすべて選べ。
a. 糖質コルチコイドの外用は、皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には単独で使用しないことを原則とする。
b. 関節リウマチの治療では、その抗炎症作用の他に免疫抑制作用も期待される。
c. 炎症を再発を防止する効果は、非ステロイド性抗炎症薬よりも弱い。
d. 副腎皮質ホルモンの補充療法には、主としてデキサメタゾン製剤が使われる。
e. 長期連用では耐性が生じるため、副作用の憎悪する例は少ない。
問10 次のうち選択的COX-2阻害薬はどれか。
a. indomethacin
b. diclofenac sodium
c. etodolac
d. tiaramide hydrochloride
e. ketoprofen
問11NSAIDsに関する次の文のうち、正しくないものを一つ選べ。
a) アスピリンはNSAIDsの一つである。
b) アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼによりプロスタグランジンになる。
c) 選択的COX2阻害薬のセレコキシブは、血小板凝集抑制作用を持つ。
d) NSAIDsは、副作用として胃腸障害を引き起こすことがある。
問12ある患者は関節リウマチや変形性関節症を患っているので、
長期間、薬を投与しなければなりません。
どれが一番良い薬でしょう?
a) アスピリン
b) セレコキシブ
c) インドメタシン
d) フェニルブタゾン
e) フェナセチン
問13次の疾患のうちプレドニゾロンを投与してはいけないのはどれか?
a) リウマチ性疾患
b) 全身性エリテマトーデス
c) 蜂巣炎
d) アレルギー性気道疾患
e) 臓器移植後の拒絶反応
問14非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害するが、
その作用機序について誤っている記述はどれか?
a) 中枢神経系に作用することで鎮痛作用を持つ。
b) トロンボキサンA2の産生を阻害することで血小板凝集を抑制する。
c) 体温調節中枢に作用することで解熱作用を持つ。
d) プロスタグランジンE2の産生を阻害することで細動脈拡張を抑制する。
e) NSAIDsは酸性化合物なので、血中で約80%が血漿タンパク質と結合している。
解答:MOREをクリック
スポンサーリンク
解答、解説
問1次にあげるNSAIDsについての設問に答えよ。
A aspirin
B phenylbutazone
C phenacetin
D piroxicam
E ibuprofen
説問
(1) 酸性化合物であるものはいずれか?3つ選べ。
(2) 最もcyclooxygenase(COX)阻害作用の弱いものはいずれか。選択肢から一つ選べ。
(3) Indomethacinなどの化合物は可逆的にcyclooxygenaseを阻害するが、
選択肢の中で、cyclooxygenaseをアセチル化して、不可逆的に阻害するものはいずれか。
一つ選べ。
正解
:(1)A、D、E (2)C (3)A 解説:
(1)(2)
選択肢のうち、A、Eは構成成分にカルボキシル基をもった酸性化合物でありCOX阻害作用を示す。
Bのphenyllbutazoneは酸性化合物ではないがCOX阻害作用を示し、
Dのpiroxicamはカルボキシル基をもたない酸性化合物で、COX阻害作用を示す。
Cのphenacetinはカルボキシル基をもたず、酸性化合物ではなく、COX阻害作用は極めて弱い。
(3)
Aのaspirinのみはindomethacinなどとは異なり、不可逆的に阻害する。
シクロオキシゲナーゼの阻害
細胞膜のリン脂質からホスホリパーゼA2を介してアラキドン酸が遊離し、
その後シクロオキシゲナーゼによって、種々のプロスタグランジン(PG)とトロンボキサンに代謝されます。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の主たる作用機序は、
このシクロオキシゲナーゼの阻害によるPGなどの炎症のメディエーターの産生抑制と考えられています。
問2
次の選択肢の中で 間違ったもの を選べ (複数選択可)
1 ステロイド性抗炎症薬には各種の炎症性サイトカインの産生抑制作用がある。
2 束状層は副腎皮質全体の約8割を占め、ステロイド性抗炎症薬が長期間全身投与される
と束状層が萎縮し、副腎皮質全体が小さくなる。
3 ステロイド性抗炎症薬を長期間全身投与すると視床下部からの
CRHおよび脳下垂体前葉からのACTH分泌が促進され、副腎皮質の萎縮がおこる。
4 ステロイド性抗炎症薬の副作用のために、消化性潰瘍、骨粗しょう症、
糖尿病、精神病患者への投与は注意しなくてはならない。
5 ステロイド性抗炎症薬を長期間投与して、症状の改善がみられたらすぐに投与を中止したほうがよい。
正解 3、5
3 CRH、ACTHの分泌が抑制されることによって副腎皮質は萎縮する。
5 長期間ステロイドを投与した場合、中止する場合には
withdrawal syndrome(離脱症候群、退薬症候群)に注意する必要がある。
徐々に投与量を減らしていかなくてはならない。
問3
アスピリンの副作用のうち、アレルギー性に起こるものはどれか?
(a) 腎障害
(b) 消化性潰瘍
(c) 出血傾向
(d) 発疹
(e) 再生不良性貧血
正解:(d)
解説:
腎障害、消化性潰瘍は共にCOX-1阻害によるPG産生阻害が原因である。
出血傾向はTXA~2~産生が抑制されることによる血小板凝集抑制が原因である。
再生不良性貧血は骨髄機能が低下することにより起こる。
発疹だけがアスピリンの過敏症として起こる。
問4
以下のNSAIDsに関する文章のうち、正しいものを選べ。
(a)cyclooxygenaseには常在性のCOX-1と炎症時に増加するCOX-2が存在する。
(b)indomethacinやaspirinは可逆的にcyclooxygenaseを阻害する。
(c)選択的COX-2阻害薬は血小板凝集抑制薬として用いられる。
(d)アスピリン中毒として呼吸性アシドーシスがある。
(e)抗炎症作用は直接作用ではなく、間接作用である。
正解:(a)
解説:
(b) indomethacinは可逆的に、aspirinは不可逆的にcyclooxygenaseを阻害する。
(c) COX-1阻害薬が血小板凝集抑制薬として用いることができる。
(d) アスピリン中毒では呼吸性アルカローシスとなる。
(e) ステロイド性抗炎症薬が間接作用として抗炎症作用をもたらす。
問題5
NSAIDsの副作用を選びなさい。ただし、解答は1つとは限らない。
(a) 骨粗鬆症
(b) 喘息発作
(c) 白内障
(d) Cushing症候群
(e) ネフローゼ症候群
解答:(b),(e)
解説:
NSAIDsは各種の関節疾患や一般の炎症に広く用いられるほか、鎮痛薬や解熱薬として用いられる。
そのため、NSAIDsによる副作用の発現は重要である。
副作用の主な発現機序は、NSAIDsが炎症部位のPG(プロスタグランジン)合成を抑制するだけでなく、
生体の機能維持に必要なPG合成をも阻害するためであると考えられる。
◎NSAIDsによる主な副作用
副作用の種類 | 発生機序 |
胃腸障害 消化性潰瘍・嘔吐・吐き気など | 消化管粘膜におけるPGE2,PGI2の合成阻害作用やNSAIDsの 直接的な作用 |
腎障害 急性間質性腎炎・ネフローゼ症候群など | 腎のPGE合成を阻害することによる腎血流量の低下(糸球体濾 過の低下) |
アスピリン喘息・喘息発作 | 肺PGE2合成阻害またはアラキドン酸からのLT合成経路促進 |
スティーブンス-ジョンソン症候群(皮膚粘膜 眼症候群)・ライエル症候群(中毒表皮壊死症) 発疹・口腔内びらん・紅斑など |
発現機序は明らかではないが、まれにアレルギー反応が関与
|
不妊症 | 妊娠に不可欠なPG阻害 |
出血傾向 | TXA2産生抑制による血小板凝集抑制 |
◎糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)による主な副作用
副作用の種類 | 発生機序 |
感染誘発・増悪 | 免疫系抑制 |
糖尿病 | インスリン分泌抑制 |
消化性潰瘍 | 消化管粘膜におけるPG合成阻害、胃酸分泌亢進、粘液分泌抑制 |
骨粗鬆症・骨折 | 骨形成抑制と骨吸収増大、腎からのCa排泄増加、腸管でのCa吸収抑 制、ビタミンD合成の低下 |
白内障 | 水晶体のタンパク代謝異常 |
Cushing症候群 満月様顔貌・野牛肩・中心部肥満など | 内臓脂肪合成亢進、抗インスリン作用 |
以上より、(b),(e)はNSAIDsの副作用で、(a),(c),(d)は糖質コルチコイドによる副作用である。
問5
次の記述のうち正しいものを選べ。ただし、解答は1つとは限らない。
(a) 大半のNSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害によるPG生成抑制作用もつ。
(b) COXは、COX-1とCOX-2があり、ともに常在する。
(c) COX-1は胃粘膜保護作用をもつ。
(d) COX-2は出血時の血小板凝集に必要なTXA2を産生する。
(e) 糖質コルチコイドはホスホリパーゼA2の作用を阻害して、PG類およびロイコトリエン類の生成を抑制する。
解答:(a),(c),(e)
解説:
(a)
細胞に炎症性刺激が与えられると、ホスホリパーゼA2が活性化され、
細胞膜のリン脂質に蓄えられているアラキドン酸を遊離する。
この遊離したアラキドン酸にシクロオキシゲナーゼ(COX)が働くと、
中間体を経てプロスタグランジン(PG),トロンボキサン(TX)などが産生する。
一方、リポキシゲナーゼが働くと、中間体を経てロイコトリエン(LT),HETEなどを産生する。
(これをアラキドン酸カスケードという)
大半のNSAIDsはこのCOXの働きを阻害してPG生成を抑制する。よって、〇。
(b)
COXにはCOX-1とCOX-2のアイソザイムがある。
COX-1は胃粘膜や腎臓など全身の細胞に常在するが、
COX-2は主に炎症時に局所に誘導され、産生は主に核で行われる。
が、COX-2は腎臓には常在し、濾過量を調節する働きをもっている。
また脳や内皮細胞にも存在することがわかっている。
よって、この解答は×とは言えず、〇。(問題としてはよくない問題でした。すみません。)
(c)
上記のように、COX-1は胃粘膜に常在し、アラキドン酸からPGE2を産生して胃酸分泌抑制、
胃粘膜血流増加、粘液分泌亢進などの作用により胃粘膜保護作用を示す。よって、〇。
(d)
血小板には核がないためにCOX-2は誘導することはできない。
よって、血小板にはCOX-1のみが常在し、TXA2産生に関与している。
よって、×。
(e)
糖質コルチコイドは、上記のアラキドン酸カスケードのうち、ホスホリパーゼA2の活性を阻害して、
細胞膜からのアラキドン酸の遊離を阻止し、その結果、COX代謝系ばかりでなくリポキシゲナーゼ代謝系も抑制し、
PGやTXおよびLTやHETEなどの生成を抑制し強力な抗炎症作用を示す。
よって、〇。
問6
次の記述のうち正しいものを選べ。ただし、1つとは限らない。
(a)アセトアミノフェンはNSAIDsである。
(b)セレコキシブは選択的COX-2阻害薬である。
(c)アスピリンはCOXを可逆的に阻害するが、他の多くのNSAIDsは不可逆的に阻害する。
(d)アスピリンによって1度COX活性を失った血小板は寿命(7-10日間)まで機能が抑制されたままである。
(e)アスピリンは心筋梗塞、脳梗塞の予防薬としても用いられる。
解答:(b),(d),(e)
解説:
(a)アセトアミノフェンにも弱い抗炎症作用があるが、一般に解熱鎮痛薬として扱われる。よって、×。
(b)多くのNSAIDsはCOX-1とCOX-2を共に阻害するため、
有害反応としてCOX-1阻害による胃粘膜障害、腎機能障害が避けられなかった。
このため、選択的にCOX-2を阻害する薬が開発された。
それがセレコキシブである。
胃粘膜障害などは減少したが、血小板凝集抑制作用はない。よって、〇。
(c)アスピリンはCOXをアセチル化して不可逆的に阻害するが、他の多くのNSAIDsは可逆的に阻害する。
よって、×。
(d)上記のように、アスピリンはCOXを不可逆的に阻害するため、
タンパク合成能のほとんどない血小板では寿命が終わるまで血小板凝集作用が抑制される。
よって、〇。
(e)アスピリンがCOXを阻害し、TXA2の産生を阻害する。
よって、TXA2の強い血小板凝集誘発作用を抑制するため、
心筋梗塞や脳梗塞の予防薬として用いられる。よって、〇。
問7
炎症及び抗炎症薬に関する次の記述のうち正しいものをすべて選べ。
a. 炎症部位では、COX-2が遺伝子の転写促進により発現する。
b. アスピリンによって胃粘膜障害が起きる一因として、アスピリンによる胃のCOX-1の阻害がある。
c. ジクロフェナクナトリウムは、インドメタシンに比べて胃粘膜障害作用は弱い。
d. インドメタシンは、現在では内服薬よりも外用剤として使用されることが多い。
e. ロキソプロフェンナトリウムは、胃粘膜障害作用が弱いので、消化性潰瘍患者にも使用される。
解答 a,b,c,d
解説
a COXには2種類ある。
COX-1は常在型で、胃粘膜、血小板などを含め多くの細胞に普遍的に分布しているが、
COX-2は炎症関連細胞などで種々の炎症刺激により発現する。
b アスピリンのCOX阻害作用により、胃を保護する働きのあるPG類の生成が抑制され胃粘膜障害が起こる。
c ジクロフェナクナトリウムは酸性抗炎症薬共通の副作用を示すが、その発現頻度はインドメタシンやアスピリンに比べ少ない。
d インドメタシンは、COXを阻害し作用を発現する。主に外用で用いる。(内服で用いないわけではない。)
e ロキソプロフェンナトリウムは、体内で生成する代謝物が作用を現す。
消化管障害は弱い者の消化性潰瘍の患者には使用禁忌である。
http://m.australianprescriber.com/magazine/23/2/30/2
問8
抗炎症薬に関する次の記述のうち正しいものをすべて選べ。
a. アスピリンは、解熱作用が強いが、喘息発作を誘発させることが報告されている。
b. メフェナム酸は、非ステロイド性消炎鎮痛薬の中では鎮痛効果が強く、咽頭痛、歯科領域の痛みや月経痛に対して効果がある。
c. インドメタシンを坐剤で用いると経口投与より肝臓での代謝を受けやすくなる。
d. ロキソプロフェンナトリウムはプロドラッグで、鎮痛作用が強力である。
e. NSAIDsはニューキノロン系抗菌薬との併用は、中枢性痙攣発作を惹起することがある。
解答 a,b,d,e
解説 c 坐剤で投与された薬は初回通過効果を受けにくい。
問9
合成ステロイド性抗炎症薬の多くは、糖質コルチコイド作用を天然のヒドロコルチゾンより強くし、
鉱質コルチコイド作用を除去あるいは弱くし、使用しやすくしたものである。
糖質コルチコイド製剤に関する次の記述のうち正しいものをすべて選べ。
a. 糖質コルチコイドの外用は、皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には単独で使用しないことを原則とする。
b. 関節リウマチの治療では、その抗炎症作用の他に免疫抑制作用も期待される。
c. 炎症を再発を防止する効果は、非ステロイド性抗炎症薬よりも弱い。
d. 副腎皮質ホルモンの補充療法には、主としてデキサメタゾン製剤が使われる。
e. 長期連用では耐性が生じるため、副作用の憎悪する例は少ない。
解答 a,b
解説
c 炎症の再発防止効果であるから、疾患として膠原病が考えられる。これに対する治療薬の第一選択は糖質コルチコイドである。
d アジソン病や急性副腎不全では、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドの分泌障害をきたし、
治療方針としては糖質コルチコイドと鉱質コルチコイド作用を有するヒドロコルチゾンの補充が基本となる。
e 長期連用で下垂体-副腎皮質機能系の抑制がおこり、、副腎不全が起こる。
問10
次のうち選択的COX-2阻害薬はどれか。
a. indomethacin
b. diclofenac sodium
c. etodolac
d. tiaramide hydrochloride
e. ketoprofen
解答 c
解説
他はCOX-1選択的阻害またはCOX-1・COX-2両方阻害、COXとは関係ないである。
a,eは外用剤で主に使われている。
bは内服や坐剤としてNSAIDsの中で強力な解熱鎮痛消炎剤として使われている。
最近は外用剤としても使用されている。
cは選択的COX-2阻害なので、胃障害の少ない薬として使われている。
ただし、消化性潰瘍には禁忌である。また、消炎効果がCOX-1を阻害するものよりも弱いとされている。
dは塩基性抗炎症薬として使用されている。
塩基性抗炎症薬の作用はCOXとは関係ないが、作用機序はあまりよくわかっていない。
鎮痛効果が強いが、酸性抗炎症薬と異なり解熱作用はない。
問11
NSAIDsに関する次の文のうち、正しくないものを一つ選べ。
○ a) アスピリンはNSAIDsの一つである。
○ b) アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼによりプロスタグランジンになる。
× c) 選択的COX2阻害薬のセレコキシブは、血小板凝集抑制作用を持つ。
○ d) NSAIDsは、副作用として胃腸障害を引き起こすことがある。
正解 c
解説:
a) アスピリン(アセチルサリチル酸)は代表的な非ステロイド性抗炎症薬である。
PG生合成阻害により鎮痛・解熱・抗炎症作用を持つ。
b) アラキドン酸はリポキシゲナーゼによりロイコトリエンになり、シクロオキシゲナーゼによりプロスタグランジンになる。
c) 選択的COX2阻害薬は胃粘膜傷害、腎機能障害は少ないが、抗凝固作用は持たない。
d) 従来のNSAIDsはCOX1に強い作用を示し、これによる胃粘膜傷害、腎機能障害があった。
問12
ある患者は関節リウマチや変形性関節症を患っているので、長期間、薬を投与しなければなりません。
どれが一番良い薬でしょう?
a) アスピリン
b) セレコキシブ
c) インドメタシン
d) フェニルブタゾン
e) フェナセチン
答:b)セレコキシブ
解説:
選択的COX-2阻害薬について問題を作りたかったので、このようにしました。
標準薬理学(P.389,397)を参照して欲しいのですが、これまでのNSAIDsはCOX-2だけでなく、
COX-1までも阻害してしまうので 、副作用として胃粘膜障害、腎機能障害が起こってしまうのですが、
選択的COX-2阻害薬はCOX-2のみに働くので、このような副作用が少なく、長期投与出来るとの事です。
問13
次の疾患のうちプレドニゾロンを投与してはいけないのはどれか?
a) リウマチ性疾患
b) 全身性エリテマトーデス
c) 蜂巣炎
d) アレルギー性気道疾患
e) 臓器移植後の拒絶反応
説明;
プレドニゾロンは糖質ステロイドの一種であり、リンパ球の働きを抑え過敏反応を抑制する免疫抑制薬である。
そのため、感染症にもちいると感染を悪化してしまうため、感染症には禁忌である。
よって、自己免疫疾患やアレルギー性疾患や拒絶反応など、免疫過敏による炎症には有効であるが、
蜂巣炎などの感染症にはプレドニゾロン単独では用いるべきではない(抗生物質との併用ならOK)。
蜂巣炎は表皮の小さな外傷や毛孔から主としてブドウ球菌が侵入して発症する。治療には抗生物質を使う。
余談ですが、僕の知人は下肢に蜂巣炎を発症した際、誤って救急医にステロイド系の薬を投与されたため、
感染が拡大し左足を太ももから切断する結果となりました。
問14
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害するが、
その作用機序について誤っている記述はどれか?
a) 中枢神経系に作用することで鎮痛作用を持つ。
b) トロンボキサンA2の産生を阻害することで血小板凝集を抑制する。
c) 体温調節中枢に作用することで解熱作用を持つ。
d) プロスタグランジンE2の産生を阻害することで細動脈拡張を抑制する。
e) NSAIDsは酸性化合物なので、血中で約80%が血漿タンパク質と結合している。
正解 ac?
説明:
NSAIDsは、解熱・鎮痛・抗炎症・血小板凝集抑制の作用を持つ。
解熱作用におけるNSAIDsの作用点は中枢神経系ではなく、末梢の痛覚神経線維終末である。
プロスタグランジンは、自身で痛みを起こす作用はないが、痛覚神経線維終末の感受性を増大させることで発痛を起こす。
したがって、NSAIDsでプロスタグランジンの産生を抑えることで鎮痛効果が得られる。
重箱の角をつつくような問題を作ってごめんなさい 笑 アラキドン酸代謝物の合成経路と、
NSAIDsの作用機序についての問題を作ろうとしたらこのようになりました..
出典
医師国家試験対策 薬理 問題と解説
http://bioupdate.jp:8080/pages/viewpage.action?pageId=17596437
- 関連記事
-