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かず

Author:かず
某総合病院で日々、臨床で忙しい医師カズです。
各種医療職の資格試験問題に挑戦しつつ、資格を目指す方々を励ますブログです。
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抜歯後などによく起こる心臓疾患



1)102医D23

43歳の女性。微熱と倦怠感とを主訴に来院した。
微熱は3週前から続いている。
体温 37.8℃。脈拍 96/分,整。血圧 132/86mmHg。
心尖部に2/6度の収縮期雑音を聴取する。
右指先に有痛性の赤紫色の結節を認める。
血液所見:赤血球 322万,白血球 15800。CRP 12.5mg/dl。

診断に有用な検査はどれか。2つ選べ。

a 血液培養
b 喀痰培養
c 胸部造影CT
d 胸部単純MRI
e 心エコー検査


2)101医A19
32歳の女性。
発熱と労作時呼吸困難とを主訴に来院した。
1か月前に抜歯を受けたが,発熱が持続し,
昨日から労作時呼吸困難が出現した。
意識は清明。身長 155cm,体重 48kg。
血液所見:赤血球 330万,Hb 10.5g/dl,白血球 14500。
CRP 11.2mg/dl。
断層心エコー図とドプラ図とを別に示す。

IE# 
IE$.jpg


この患者でみられないのはどれか。

a 蝶形紅斑
b 四肢動脈閉塞
c 指先の有痛性小結節
d 頭部MRAで脳動脈瘤の描出
e 血液培養でグラム陽性菌の検出


3)100医F10
12歳の男児。
遷延する発熱を主訴に来院した。
1歳時に心室中隔欠損症の根治術を受けたが残存短絡がある。
2週前に扁桃摘出術を受けた。
5日前から夕方になると39℃以上の発熱を認める。
食思不振と嘔気とがある。体温 38.2℃。
呼吸数 30/分。脈拍 100/分,整
。四肢に点状出血を認める。
胸骨第3肋間左縁に2/6度の全収縮期雑音を聴取する。
腹部は平坦,軟。
肝を右肋骨弓下に3cm,脾を左肋骨弓下に3cm触れる。
血液所見:赤沈 68mm/1時間,赤血球 352万,Hb 11.0g/dl,
白血球 22000(桿状核好中球 12%,分葉核好中球 64%,
好酸球 3%,単球 5%,リンパ球 16%),血小板 12万。
CRP 12.0mg/dl。

診断に必要な検査はどれか。2つ選べ。

a 血液培養
b 大動脈造影
c 冠動脈造影
d 頭部単純CT
e 心エコー検査


4)100医F23
32歳の女性。
2週以上続く37℃台の発熱を主訴に来院した。
3週前に抜歯を行った。
体温 37.8℃。脈拍 84/分,整。
Ⅲ音と心尖部を最強点とする3/6度の全収縮期雑音とを聴取する。
血液所見:赤血球 320万,Hb 9.8g/dl,Ht 32%,
白血球 9800,血小板 20万。
血清生化学所見:AST 18単位,ALT 16単位,
LDH 260単位(基準 176~353),CK 35単位(基準 10~40)。
CRP 7.6mg/dl。心エコー検査で僧帽弁に疣贅を認める。

この疾患に特徴的でないのはどれか。

a 黄色腫
b 爪下線状出血斑
c Osler結節
d Roth斑
e 脾腫


解答:MOREへ

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解答

今回は、すべて感染性心内膜炎の問題。

まずは、IEについての概略を少々。

感染性心内膜炎
感染性心内膜炎 - meddic

概念
感染性心内膜炎は弁膜や心内膜、大血管内膜に細菌集蔟を含む疣腫(vegetation)を形成し、
菌血症、血管塞栓、心障害など多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患である。
感染性心内膜炎はそれほど頻度の多い疾患ではないがいったん発症すれば、
的確な診断の下、適切な治療が奏功しないと多くの合併症を引き起こし、ついには死に至る。

疫学
緑色連鎖球菌が感染性心内膜炎の原因として最多である。
院内発症:Streptococcus viridans > ブドウ球菌 > 腸球菌
院外発症:ブドウ球菌(Staphylococcus aureus > CNS ) > Streptococcus viridans

発症のメカニズム
非細菌性血栓性心内膜炎(nonbacterial thrombogenic endocarditis, NBTE)は
次の2つの影響で生じるとされる;

(1) 弁膜疾患や先天性心疾患に伴う異常血流、
(2) 人工弁置換術語例など異物の影響。

非細菌性血栓性心内膜炎の存在下で一過性の菌血症(医原性など)すると、
NBTEに病原体が付着・増殖し疣腫が形成される。
疣腫は僧帽弁の心房側、半月弁の心室など逆流血流がアル部位や、
シャント血流や狭窄血流の異常ジェット血流が心内膜面にある所に認められる。
ジェット血流の存在が発症に関わっているので、軽症の弁膜症の方がジェット血流を来しやすい。
従って、心内膜炎も来しやすい。
 
nrcardio_2013_174-f1.jpg 

http://www.nature.com/nrcardio/journal/v11/n1/full/nrcardio.2013.174.html


リスクファクター
心室中隔欠損(VSD)、動脈管開存症(PDA)
僧帽弁閉鎖不全症(MR)、大動脈弁閉鎖不全症(AR)
で起こりやすい。

心房中隔欠損(ASD)、僧帽弁狭窄症(MS)
で起こりにくい。


IEで生じる皮膚病変、眼所見

endo.jpg 
A-splinter haemorrhage, B-Conjunctival petechiae, C-Osler's node, D-Janeway's Lesion
http://mrcp1and2.blogspot.jp/2007/01/infective-endocarditis-in-mrcp.html より)


Roth斑

3d9c68ffb82940194d3affb5577eab49.png 


中が白くなっている出血斑をRoth斑(ロート斑)
といいます。網膜の病変です。

Roth斑はどれ?【正しい読み方は?】 | 医師国家試験のきちんとした解説 ...




今回の問題は、以下のブログからの出題です。

医師国家試験対策wiki - 感染性心内膜炎

1)102D23
43歳の女性。微熱と倦怠感とを主訴に来院した。微熱は3週前から続いている。
体温 37.8℃。脈拍 96/分,整。血圧 132/86mmHg。心尖部に2/6度の収縮期雑音を聴取する。
右指先に有痛性の赤紫色の結節を認める。血液所見:赤血球 322万,白血球 15800。CRP 12.5mg/dl。

診断に有用な検査はどれか。2つ選べ。

a 血液培養
b 喀痰培養
c 胸部造影CT
d 胸部単純MRI
e 心エコー検査

○ a 
× b 
× c 
× d 
○ e 

正解 ae


2)101A19
32歳の女性。発熱と労作時呼吸困難とを主訴に来院した。
1か月前に抜歯を受けたが,発熱が持続し,昨日から労作時呼吸困難が出現した。
意識は清明。身長 155cm,体重 48kg。
血液所見:赤血球 330万,Hb 10.5g/dl,白血球 14500。
CRP 11.2mg/dl。断層心エコー図とドプラ図とを別に示す。

IE#
IE$.jpg


この患者でみられないのはどれか。

a 蝶形紅斑
b 四肢動脈閉塞
c 指先の有痛性小結節
d 頭部MRAで脳動脈瘤の描出
e 血液培養でグラム陽性菌の検出

× a ;SLEの兆候
○ b 
○ c ;Osler nodule
○ d 
○ e 

正解 a

診断 感染性心内膜炎


3)100F10
12歳の男児。遷延する発熱を主訴に来院した。
1歳時に心室中隔欠損症の根治術を受けたが残存短絡がある。
2週前に扁桃摘出術を受けた。5日前から夕方になると39℃以上の発熱を認める。
食思不振と嘔気とがある。体温 38.2℃。呼吸数 30/分。脈拍 100/分,整。
四肢に点状出血を認める。胸骨第3肋間左縁に2/6度の全収縮期雑音を聴取する。
腹部は平坦,軟。肝を右肋骨弓下に3cm,脾を左肋骨弓下に3cm触れる。
血液所見:赤沈 68mm/1時間,赤血球 352万,Hb 11.0g/dl,白血球 22000
(桿状核好中球 12%,分葉核好中球 64%,好酸球 3%,単球 5%,リンパ球 16%),
血小板 12万。CRP 12.0mg/dl。

 診断に必要な検査はどれか。2つ選べ。

a 血液培養
b 大動脈造影
c 冠動脈造影
d 頭部単純CT
e 心エコー検査

○ a 
× b 
× c 
× d 
○ e 

正解 ae

診断 感染性心内膜炎(IE)


4)100F23
32歳の女性。2週以上続く37℃台の発熱を主訴に来院した。3週前に抜歯を行った。
体温 37.8℃。脈拍 84/分,整。Ⅲ音と心尖部を最強点とする3/6度の全収縮期雑音とを聴取する。
血液所見:赤血球 320万,Hb 9.8g/dl,Ht 32%,白血球 9800,血小板 20万。
血清生化学所見:AST 18単位,ALT 16単位,LDH 260単位(基準 176~353),
CK 35単位(基準 10~40)。CRP 7.6mg/dl。
心エコー検査で僧帽弁に疣贅を認める。

この疾患に特徴的でないのはどれか。

a 黄色腫
b 爪下線状出血斑
c Osler結節
d Roth斑
e 脾腫

× a 
○ b 
○ c 
○ d 
○ e 

正解 a

診断 感染性心内膜炎による僧帽弁閉鎖不全


★ 追加アドバイス;
左房粘液腫との鑑別が必要だった問題についてのコメント

IEの基礎疾患
IEは「健康なひとが知らない間になっちゃった」みたいな病気
ではありません。何かしら基礎疾患があります。特に心臓の
弁に異常が起こるような疾患を持っています。

例えば
• リウマチ熱の既往
• 心室中隔欠損症
• 僧房弁逸脱症候群
• 僧房弁閉鎖不全症
• 大動脈弁閉鎖不全症
• 人工弁
などが有名です。

菌が体に入る原因
基礎疾患があっても血液に菌がいないと本症は起こりません。

これも、「なぜか知らないけど血液に菌が入っていた」ということは
起こりません。何かしら原因があります。

例えば
• 抜歯
• う歯
• 尿カテーテル
• 血管カテーテル
• 注射針の使い回し(麻薬使用者)
などが有名ですね。


検査
血液培養
感染性心内膜炎のガイドラインによれば95%陽性になります。
非常に重要な検査です。

心エコー
感染性心内膜炎はどこの病気でしょうか?
基本的に弁の病気です。疣贅は弁にできます。

それでは左房粘液腫はどこの病気でしょうか?
その名の通り、左心房です。塊は左心房の中にあります。
※心房中隔と茎でつながっています。

このようにIEと左房粘液腫は存在する場所が違います。
また、左房粘液腫は腫瘍なのででかいのが特徴です。

以上で解説は終わりですが、これらの所見がなかったら左房粘液腫
とかいう消極的なものではなく非常に重要な所見なんです。

感染性心内膜炎と左房粘液腫の鑑別のポイント | 医師国家試験... から


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2015/07/26 17:07 循環:歯科 TB(-) CM(0)
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