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胃切除後合併症についての問題。
歯科ではこの辺まで問われることはないとは思うが。

医師国家試験過去問データベース から


108I47
57歳の男性。動悸を主訴に来院した。
半年前に早期胃癌の診断で幽門側胃切除術を受けた。
術後、1回の食事量を少なくしてよくかんで食べるように心掛けていた。
徐々に体調も良くなり、3か月前から食欲も増して食事量も多くなってきた。
2か月前から時々、気分が悪くなり冷や汗が出て、胸がどきどきするようになった。
症状は食後2~3時間で出現し、30~40分ほど持続して消失する。
症状出現時に間食を摂ると症状は軽快する。
運動時の胸痛や食後の胸やけはないが、心配になり受診した。
既往歴は早期胃癌以外に特記すべきことはない。
脈拍72/分、整。血圧138/72mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。
腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。
最も考えられるのはどれか。

a 狭心症
b 悪性貧血
c 心房細動
d 逆流性食道炎
e ダンピング症候群



解答: MOREへ

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解答

57歳の男性。動悸を主訴に来院した。
半年前に早期胃癌の診断で幽門側胃切除術を受けた。
術後、1回の食事量を少なくしてよくかんで食べるように心掛けていた。
徐々に体調も良くなり、3か月前から食欲も増して食事量も多くなってきた。
2か月前から時々、気分が悪くなり冷や汗が出て、胸がどきどきするようになった。
症状は食後2~3時間で出現し、30~40分ほど持続して消失する。
症状出現時に間食を摂ると症状は軽快する。
運動時の胸痛や食後の胸やけはないが、心配になり受診した。
既往歴は早期胃癌以外に特記すべきことはない。
脈拍72/分、整。血圧138/72mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。
腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。
最も考えられるのはどれか。

a 狭心症
b 悪性貧血
c 心房細動
d 逆流性食道炎
e ダンピング症候群


解答: e

胃切除後の合併症についての出題。
術後すぐは医師の指導を守っていたが、喉元過ぎれば熱さ忘れる。
3か月前から食事量が多くなってきたという。
症状は食後2~3時間で発生しており、後期ダンピング症候群の診断となる。

a 狭心症では運動時の胸痛がみられる。

b 悪性貧血はビタミンB12欠乏でみられるが、ビタミンB12はもともと豊富なストックがあるため
  胃切除後3~10年経過してからみられる。

c 心房細動では脈拍が不整となる。

d 逆流性食道炎では食後の胸やけがみられる。

e 正しい。
  後期ダンピング症候群は急激に腸管へと食物が流入するためインスリン分泌が過剰となり、
  食後しばらくしてから低血糖をきたす病態である。


追加解説:
胃癌術後によくみられる合併症の一つに「ダンピング症候群」があります。

ダンピング症候群は、
食後30分以内に現れる「早期」と、
食後2~3時間で症状が出現する「後期」とに分類されます。

早期ダンピング症候群と後期ダンピング症候群で病態は異なるので、比較して整理する必要があります。

th-n-01194.jpg
http://medick.biz/category/select/pid/91966


早期タンピング症候群は脱水症状が主体です。
その原因としては、高張の食物が胃を経由しないで、
直接小腸に放り込まれることで、
細胞外液が腸管内腔に引き込まれます。
その結果、循環血液量が低下して、発汗・頻脈等のhypovolemiaの症状が前面に出ます。
また、消化管ホルモン(セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニン)が亢進することで小腸運動が亢進し、腹満感・腹痛が生じます。

後期ダンピング症候群は低血糖症状が主体です。
食物が一気に小腸に流入するために、一過性の高血糖が起こり、インスリンが過剰分泌されることが原因とされています。
低血糖症状として空腹感、冷汗、動悸、手指振戦、頭痛・めまい・意識障害が起こります。

治療は食事療法です。少量頻回に食事をし、糖質を制限することで、上記の病態を未然に防ぐことができます。

本症例で、術後に1回の食事摂取量を減らしていたのはダンピング症候群の予防策として良かったのですが、
体調が改善して食事量が増えたことが症状出現のトリガーとなったのだと考えられます。
食後2~3時間で気分不良、冷汗、動悸といった症状が出現するといった点も後期ダンピング症候群と合致しますし、
間食を摂ると症状が改善するのは低血糖の補正がなされるためだと説明が付きます。


追加解説:日経メディカル 1日1問 医師国試問題 から



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