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日経メディクイズ から
問題 糖尿病、高血圧のために通院中の男性。 来院2日前に右顔面に疼痛が出現し、前日の夜間に救急外来を受診していた。 血液検査、頭部CT検査を施行されたが異常所見は認められず、鎮痛薬を処方され帰宅した。 来院当日、家族に顔面の皮疹を指摘され、再度救急外来を受診した。 バイタルサインは、意識レベル清明、血圧148/88mmHg、心拍数89回/分(整)、 呼吸数18回/分、SpO2 98%(room air)、体温37.0℃。 来院時の身体所見では、写真1のような皮疹が認められた。 ![]() 写真1 診察時の顔面の皮疹(提供:水戸協同病院皮膚科 田口詩路麻氏) 1)必要性が低い診察、検査はどれか。 (1)項部硬直の確認 (2)血液検査(腎機能・肝機能を含む) (3)血液培養 (4)Tzanck試験 2)今後の対応として不適切なものはどれか。 (1)入院させ経静脈的抗ウイルス薬を投与する (2)抗菌薬を投与する (3)耳介の水疱形成や難聴があれば耳鼻科コンサルト (4)眼痛や強い結膜充血があれば眼科コンサルト 解答:MOREへ スポンサーリンク 糖尿病、高血圧のために通院中の男性。 来院2日前に右顔面に疼痛が出現し、前日の夜間に救急外来を受診していた。 血液検査、頭部CT検査を施行されたが異常所見は認められず、鎮痛薬を処方され帰宅した。 来院当日、家族に顔面の皮疹を指摘され、再度救急外来を受診した。 バイタルサインは、意識レベル清明、血圧148/88mmHg、心拍数89回/分(整)、 呼吸数18回/分、SpO2 98%(room air)、体温37.0℃。 来院時の身体所見では、写真1のような皮疹が認められた。 ![]() 写真1 診察時の顔面の皮疹(提供:水戸協同病院皮膚科 田口詩路麻氏) 1)必要性が低い診察、検査はどれか。 (1)項部硬直の確認 (2)血液検査(腎機能・肝機能を含む) (3)血液培養 (4)Tzanck試験 2)今後の対応として不適切なものはどれか。 (1)入院させ経静脈的抗ウイルス薬を投与する (2)抗菌薬を投与する (3)耳介の水疱形成や難聴があれば耳鼻科コンサルト (4)眼痛や強い結膜充血があれば眼科コンサルト 正解 1) (3)血液培養 2) (2)抗菌薬を投与する ■解説 本症例は顔面帯状疱疹の一例である。 救急外来で帯状疱疹を診察するときのポイントは、 帯状疱疹の重篤な合併症と帯状疱疹後神経痛に関してそれぞれリスク評価を行い、 適切な対応を行うことである。 まず、帯状疱疹の重篤な合併症に関して、今回のような顔面の帯状疱疹の患者では、 ラムゼイ・ハント症候群、眼合併症、髄膜炎を見逃してはならない。 ラムゼイ・ハント症候群とは、外耳道や耳介の帯状疱疹で見られ、末梢性顔面神経麻痺や内耳神経障害が出現する疾患である。 眼合併症としては、三叉神経第1枝眼神経での帯状疱疹で、結膜炎や角膜炎などの眼合併症を認めることがある。 まれではあるが、急性網膜壊死や続発性緑内障を来し失明に至ることもある。 特に、鼻尖部や鼻背部に皮疹を認める場合をハッチンソン徴候と呼び、高率に眼合併症を伴うことが知られている。 脳髄膜炎を疑う所見がある場合は、髄液検査を行う。 水痘・帯状疱疹ウイルスによる脳髄膜炎では、入院させて経過観察をしながら、経静脈的に抗ウイルス薬の投与を行う。 必要に応じ、ステロイドの投与も検討する。 これら合併症は、初診時に比較的軽い症状に見えても数日で症状が悪化する症例があり、 早期に適切な診療科につなぎ、経過観察や加療を行うことが必要になる。 帯状疱疹後神経痛は、皮疹の消失後、数カ月しても神経痛が持続する場合を指す。 リスクファクターは明確ではないものの、 症状出現時から生じる著しい疼痛や炎症所見の強い皮疹、 全身の汎発疹を伴う場合、高齢者とされている。 これらの症例では、初期より鎮痛管理を行い、抗ウイルス薬の投与を行う。 可能ならば、抗ウイルス薬は経静脈的投与が望ましい。 経静脈的投与の場合、通常の腎機能では8時間ごとに投与するため、入院加療を勧める。 入院加療の場合、帯状疱疹の感染対策は標準予防策でよいが、 全身に汎発疹を伴う場合は、水痘に準じて空気感染対策を行う。 感染対策についてはガイドラインなどを参照する。 救急外来で行う帯状疱疹の治療は、抗ウイルス薬および鎮痛薬の投与となる。 帯状疱疹は早期の治療が望ましいため、診断に迷う場合も、皮膚科の受診や再診を勧めることが望ましい。 今回の症例のように、初診時は皮疹が認められず、数日後に皮疹が出現する症例もあるため、 患者には「今は皮疹はないが、もしポツポツとできものが出てきたら早めに皮膚科を受診するように」と一言伝えるだけでも、 重症化を防げることがある。 設問について検討する。 問1の答えは3である。 本症例は、ウイルス疾患のため血液培養は診断に必要ない。 ただし、発熱や悪寒戦慄、感染の病巣を示唆する所見などがある場合は、 帯状疱疹の他に細菌感染症を伴う可能性があり、血液培養の必要がある。 本症例は、顔面の帯状疱疹症例であり、重篤な合併症を除外するため、 髄膜刺激徴候、眼球の充血、対光反射、外耳道や耳介周囲の水疱の有無、 顔面神経や内耳神経の診察は行うべきであり、髄膜炎除外のため、項部硬直も確認することが勧められる。 抗ウイルス薬投与の必要があり、用量を調節するため、腎機能は確認しておく。 鎮痛薬でアセトアミノフェン投与を想定する場合、薬剤投与前の肝機能も確認しておいてよいだろう。 Tzanck試験は診断を裏付けできるため有用だが、単純ヘルペスとの鑑別はできないことに注意したい。 ツァンク試験(Tzanck test)はツァンク細胞を探すために、小水疱を擦過して採取する試験である。 ツァンク細胞(多核巨細胞)は、以下の疾患で見られる。 単純疱疹 水痘と帯状疱疹 天疱瘡 サイトメガロウイルス (Wikipediaから) ![]() 多数のウイルス性巨細胞 http://www.hosp.ikeda.osaka.jp/02active/action/feature/zoster.html 問2の答えは2となる。 ウイルス疾患のため、抗菌薬投与は不要である。 |
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