スポンサーリンク よく出る神経疾患:108医B59-61 - 医療関係資格試験マニア
fc2ブログ
様々な医療福祉関係の資格試験に挑むブログ
プロフィール

かず

Author:かず
某総合病院で日々、臨床で忙しい医師カズです。
各種医療職の資格試験問題に挑戦しつつ、資格を目指す方々を励ますブログです。
内容は、国内の医師、歯科、薬剤師、看護師国試など、さらには米国医師資格試験(USMLE)、米国歯科医師資格試験(NBDE)あたりの問題にも挑戦する予定です。
応援よろしくお願いいたします。

ブログ使用時の注意点:
PCビューで見ると、答えが隠れています。
解答を見る場合は、”MORE”ボタンをクリックして下さい。
スマホですと、全てが表示されてしまうので演習目的の場合はPCビューがお勧めです。

広告
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学校・教育
11位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
1位
アクセスランキングを見る>>
楽天お勧め
google+1
医師国試では、頻出疾患。

歯科では、選択肢の1つとしては出るでしょう。
臨床症状や経過を知るためにざーと読んでみてください。
なお、108B60は飛ばしていいでしょう。
医科はダメですよ。

医師国家試験過去問データベース から改編


108B59
22歳の男性。全身の筋力低下のため搬入された。
現病歴 : 5日前に下痢と悪心とがあった。
昨日の起床時に歯ブラシをしっかり握れず、朝食時には箸を使えなかった。
昼には両腕を持ち上げることができなくなり、夕食時には舌がもつれて話しにくく、
むせるようになった。
今朝は起き上がれず、母親が救急車を要請し、即日入院となった。
既往歴 : 特記すべきことはない。
生活歴 : 大学4年生。
家族歴 : 特記すべきことはない。
現症 : 意識は清明。身長168cm、体重63kg。体温36.8℃。脈拍64/分、整。
血圧150/96mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。
認知機能に異常を認めない。
両眼の睫毛徴候を認め、鼻唇溝は浅く、口笛を吹くまねができない。
構音はやや不明瞭で、軽度の嚥下障害を認める。
顔面の感覚には異常を認めない。臥位での頭部挙上ができない。
徒手筋力テストで上肢は1~2に低下し、下肢も3に低下している。
握力は両側0kgである。上下肢とも筋萎縮と感覚障害とを認めない。
腱反射は上下肢とも消失し、病的反射を認めない。自力歩行はできない。
排尿と排便とに異常を認めない。
検査所見 : 尿所見と血液所見とに異常を認めない。
血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、
AST 33IU/L、ALT 26IU/L、CK 86IU/L(基準30~140)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニ0.8mg/dL、
血糖86mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 0.8mg/dL。
動脈血ガス分析(room air)に異常を認めない。
呼吸機能検査:%VC 73.1 %、FEV1% 94.5%。
心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。
脳脊髄液所見:初圧155mmH2O(基準70~170)、細胞数2/mm3(基準0~2)(単核球100%)、
蛋白83mg/dL(基準15~45)、糖69mg/dL(基準50~75)。

この患者の筋力低下の原因はどれか。

a 脚気
b ペラグラ
c 重症筋無力症
d 周期性四肢麻痺
e Guillain-Barre 症候群


108B60
この患者の確定診断のために入院日と2週後に神経伝導検査を行った。
誘発筋電図ではwaningとwaxingとを認めなかった。
2週後の尺骨神経の運動神経伝導検査所見を別に示す。
なお、尺骨神経の運動神経伝導速度の正常値は45m/秒以上である。
この神経伝導検査でみられる所見はどれか。

thumb_108B-60.jpg

a 正 常
b M波の消失
c 時間的分散
d 伝導ブロック
e 伝導速度の低下


108B61

治療として適切なのはどれか。2つ選べ。

a 血液浄化療法
b 免疫抑制薬内服
c 副腎皮質ステロイド大量静注療法
d 免疫グロブリン大量静注療法
e 非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉内服



解答:MOREへ





スポンサーリンク


解答

108B59
22歳の男性。全身の筋力低下のため搬入された。
現病歴 : 5日前に下痢と悪心とがあった。
昨日の起床時に歯ブラシをしっかり握れず、朝食時には箸を使えなかった。
昼には両腕を持ち上げることができなくなり、夕食時には舌がもつれて話しにくく

むせるようになった。
今朝は起き上がれず、母親が救急車を要請し、即日入院となった。
既往歴 : 特記すべきことはない。
生活歴 : 大学4年生。
家族歴 : 特記すべきことはない。
現症 : 意識は清明。身長168cm、体重63kg。体温36.8℃。脈拍64/分、整。
血圧150/96mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。
認知機能に異常を認めない。
両眼の睫毛徴候を認め、鼻唇溝は浅く、口笛を吹くまねができない。
構音はやや不明瞭で、軽度の嚥下障害
を認める。
顔面の感覚には異常を認めない。臥位での頭部挙上ができない
徒手筋力テストで上肢は1~2に低下し、下肢も3に低下している。
握力は両側0kgである。上下肢とも筋萎縮と感覚障害とを認めない

腱反射は上下肢とも消失し、病的反射を認めない。自力歩行はできない。
排尿と排便とに異常を認めない。
検査所見 : 尿所見と血液所見とに異常を認めない。
血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、
AST 33IU/L、ALT 26IU/L、CK 86IU/L(基準30~140)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、
血糖86mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 0.8mg/dL。
動脈血ガス分析(room air)に異常を認めない。
呼吸機能検査:%VC 73.1 %、FEV1% 94.5%。
心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。
脳脊髄液所見:初圧155mmH2O(基準70~170)、
細胞数2/mm3(基準0~2)(単核球100%)、
蛋白83mg/dL↑(基準15~45)、糖69mg/dL(基準50~75)。

この患者の筋力低下の原因はどれか。

a 脚気
b ペラグラ
c 重症筋無力症
d 周期性四肢麻痺
e Guillain-Barre 症候群


解答: e

108B59の解説

key となるwordを赤字で示す。

前駆する感染徴候があり、その後徐々に進行する神経障害をみている。
「腱反射は上下肢とも消失し、病的反射を認めない」とのことで上位運動ニューロン障害は否定的。
CKも基準値内であり、ミオパチーは否定的。
ゆえに下位運動ニューロンの障害が考えやすい。
脳脊髄液検査による蛋白細胞解離からGuillain-Barre症候群を考えたい。


***********************************

蛋白細胞解離とは?

脳脊髄液中に蛋白が増加する一方、細胞の増加は認めない現象をさす。
ギラン・バレー症候群や慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、
多発性硬化症、視神経脊髄炎などでみられる。
(Wikipediaから)

************************************

鑑別すべきものは
その類縁疾患であるFisher症候群とCIDPです。
本症例では眼輪筋麻痺を認めず、運動失調も無いのでFisher症候群らしくはなく、
また慢性経過でもないのでCIDPは否定的となります。

************************************

慢性炎症性脱髄性多発神経炎とは?

慢性炎症性脱髄性多発神経炎(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy: CIDP)とは、
2ヶ月以上にわたり進行性または再発性の経過で、四肢の筋力低下やしびれ感をきたす末梢神経の疾患(神経炎)です。
典型的な症状としては、左右対称性に腕が上がらなくなる、握力が低下して物をうまくつかめなくなったり箸が思うようにつかえなくなる、
階段がうまく登れなくなる、転びやすくなる、などが挙げられます。
また手足のしびれ感やピリピリするなどの違和感を認めることがあります。
CIDPを発症する原因は現在もなお不明ですが、末梢神経に対する免疫異常により、
神経線維を覆う膜構造(ミエリン)が破壊されることでいろいろな症状が出現すると考えられています。
類似の症状をきたす疾患として、ギラン・バレー症候群(GBS)が挙げられますが、
大きな違いとして、CIDPの経過が2ヶ月以上慢性と慢性であること、
再発と寛解を繰り返す患者さんが多いのに対して、
GBSは4週間以内に症状はピークを迎え、その後は再発することはごく稀であることが挙げられます。
http://www.nanbyou.or.jp/entry/4089 から)

************************************

末梢神経の障害については、弛緩性・左右対称・腱反射低下~消失が特徴的です。
時に、脳神経障害(VII、III IV VI、IX Ⅹ)や、頻脈・高血圧・起立性低血圧等の
自律神経障害を認めることがありますが、膀胱直腸障害が稀だということも診断の根拠となります。

Guillain Barre症候群とした際に留意すべきは呼吸筋麻痺への進展です。
重症例では呼吸筋麻痺をきたし生命を脅かすこともあります。

有意な検査所見としては、
髄液検査の蛋白細胞解離、末梢神経伝導検査、抗ガングリオシド抗体(抗GM1抗体)が代表的。



a 脚気でも神経障害を見るが、文字通り「脚」に好発すること、
  それから高拍出性心不全を呈することから否定的。

b ペラグラでは認知症症状、皮膚症状、消化管症状をみる。

c 重症筋無力症〈MG〉は神経筋接合部の障害であり、
  次問であるような神経伝導検査の異常をみない。

d 周期性四肢麻痺ではカリウム値の変化をみる。

e 正しい。上記の通り。


108B60
この患者の確定診断のために入院日と2週後に神経伝導検査を行った。
誘発筋電図ではwaningとwaxingとを認めなかった。
2週後の尺骨神経の運動神経伝導検査所見を別に示す。
なお、尺骨神経の運動神経伝導速度の正常値は45m/秒以上である。
この神経伝導検査でみられる所見はどれか。

thumb_108B-60.jpg

a 正 常
b M波の消失
c 時間的分散
d 伝導ブロック
e 伝導速度の低下

解答: d

108B60の解説
a dで示すように、正常とはいえない。
b M波はピークのこと。4ヵ所の刺激点すべてで出現している。
c 時間的分散があればM波はいくつかの峰に分かれるはず。
d 正しい。M波の振幅は刺激部位が近位であるほど低下している。これを伝導ブロックと呼んでいる。
e 伝導速度はいずれの部位でも与えてある基準値(45m/秒)を上回っている。


108B61
治療として適切なのはどれか。2つ選べ。

a 血液浄化療法
b 免疫抑制薬内服
c 副腎皮質ステロイド大量静注療法
d 免疫グロブリン大量静注療法
e 非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉内服

解答: a,d

108B61の解説
a・d 正しい。
   血漿交換療法(血液浄化療法の1つ)と免疫グロブリン大量静注療法が治療として行われている。

b 免疫抑制薬は重症筋無力症〈MG〉や多発性硬化症〈MS〉に有効
c 副腎皮質ステロイドは慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〈CIDP〉等に有効。
e NSAIDsは鎮痛に用いられるのみで、本症の治療には適さない。

関連記事
2017/10/25 22:03 脳・神経 TB(-) CM(0)
コメント















 管理者にだけ表示を許可する

アクセス数
検索フォーム
知りたい疾患や用語に関連するブログ記事を探すのに使ってください
広告配信
人気記事
本ブログ内でよく読まれている記事
カレンダー
09 | 2023/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
月別アーカイブ(タブ)
各年のアーカイブ全体はLISTをクリック下さい。 LISTを閉じる際は、SELECTをクリック下さい。
リンク
医歯学などの勉強に有用なサイトを随時増やしていきます。 リンクサイトでアクセス出来ないものあれば、メールフォームで遠慮なく教えて下さい。
ブログランキングなど
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: