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各種医療職の資格試験問題に挑戦しつつ、資格を目指す方々を励ますブログです。
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日経メディクイズ (2017/11/15  配信)から改編

症例

80歳代女性。発熱
既往歴が特にない、ADL自立の80歳代女性。
来院10日前に右下肢を蚊に刺され、皮膚を掻破した。
来院7日前から発熱と倦怠感と悪寒を認めていた。
市販の総合感冒薬を内服していたが改善せず、当院救急外来を受診した。
喫煙・飲酒歴なし。内服歴なし。

来院時、ややぐったりしている様子だった。
体温38.5℃、心拍数115回/分、血圧160/90mmHg、
呼吸数30回/分、SpO295%(roomair)、
右眼に写真1の所見を認めた。
頸静脈の怒張の有無ははっきりしなかった。
口腔内は総入れ歯であり、衛生環境の悪化ははっきり確認できなかった。
聴診上、胸骨右縁第2肋間を最強点とし、
頸部に放散する収縮期駆出性雑音(Levine分類III)を聴取した。
また、胸骨左縁第4肋間を最強点とする拡張期雑音(Levine分類II)も確認できた。
呼吸音は整だった。

四肢末梢は温かく、下腿の浮腫ははっきりしなかった。
右下肢に掻破痕があるが、明らかな発赤、腫脹、熱感は認めなかった。
異常な神経所見はなかった。

thumb_553669_pho01.jpg
写真1 受診時の右眼の所見


1)最も考えられる診断はどれか。

(1)蜂窩織炎
(2)結膜炎
(3)感染性心内膜炎
(4)肺高血圧症
(5)巨細胞性動脈炎

2)今後の対応として適切なものを2つ選べ。
(1)血液培養採取
(2)ステロイド静注
(3)ステロイド内服
(4)抗菌薬内服
(5)抗菌薬静注


解答:MOREへ




 

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解答

80歳代女性。発熱
既往歴が特にない、ADL自立の80歳代女性。
来院10日前に右下肢を蚊に刺され、皮膚を掻破した。
来院7日前から発熱と倦怠感と悪寒を認めていた。
市販の総合感冒薬を内服していたが改善せず、当院救急外来を受診した。
喫煙・飲酒歴なし。内服歴なし。

来院時、ややぐったりしている様子だった。
体温38.5℃、心拍数115回/分、血圧160/90mmHg、
呼吸数30回/分、SpO295%(roomair)、
右眼に写真1の所見を認めた。
頸静脈の怒張の有無ははっきりしなかった。
口腔内は総入れ歯であり、衛生環境の悪化ははっきり確認できなかった。
聴診上、胸骨右縁第2肋間を最強点とし、
頸部に放散する収縮期駆出性雑音(Levine分類III)を聴取した。
また、胸骨左縁第4肋間を最強点とする拡張期雑音(Levine分類II)も確認できた。
呼吸音は整だった。

四肢末梢は温かく、下腿の浮腫ははっきりしなかった。
右下肢に掻破痕があるが、明らかな発赤、腫脹、熱感は認めなかった。
異常な神経所見はなかった。

thumb_553669_pho01.jpg
写真1 受診時の右眼の所見


1)最も考えられる診断はどれか。

(1)蜂窩織炎
(2)結膜炎
(3)感染性心内膜炎
(4)肺高血圧症
(5)巨細胞性動脈炎


2)今後の対応として適切なものを2つ選べ。
(1)血液培養採取
(2)ステロイド静注
(3)ステロイド内服
(4)抗菌薬内服
(5)抗菌薬静注




1) 正解 (3)感染性心内膜炎

2) 正解 (1)血液培養採取、
       (5)抗菌薬静注



■解説


感染性心内膜炎の一例である。
眼瞼結膜の点状出血、持続する発熱と心雑音を合わせて感染性心内膜炎を疑った。
また、眼瞼結膜の点状出血は左眼にも認めた(写真2)。
点状出血は感染性心内膜炎を疑うきっかけとなる所見であり、
見逃さないように注意したい。

thumb_553669_pho02.jpg 
写真2 受診時の左眼の所見

感染性心内膜炎は、一過性の菌血症が起きた後に、
解剖学的に心内膜が損傷している部位に菌が付着し、
疣贅を形成し発症する。

全身に血栓が飛ぶと塞栓症状を来す。

起因菌:
レンサ球菌や黄色ブドウ球菌が大部分を占める。
特に、皮膚や粘膜のバリア機能が破綻している際は、
菌血症から感染性心内膜炎に至るリスクが上がる。

日本では海外ほど多くはないが、経静脈的な違法薬物の使用は発症のリスクとなる。
弁置換後であるとグラム陰性桿菌の頻度も増す
また、中心静脈カテーテルの長期留置により、真菌が原因となることもある。
本症例では右下肢の掻破によって生じた可能性も考えられる。

悪寒戦慄や発熱、倦怠感といった非特異的な症状が多く、不明熱として捉えられることも多い。

新規心雑音は疑うきっかけになるが、心雑音を聴取しなくても感染性心内膜炎は否定できない。

高齢者では生理的に収縮期駆出性雑音を聴取することもあるが、全ての拡張期雑音は病的意義がある。

血栓が終末血管に詰まると写真1、2のような眼瞼結膜の点状出血を呈する。

他に
口腔内の点状出血、
網膜のRoth斑(ロート斑)
爪下出血 splinter hemorhage
指趾のOsler結節、
Janeway病変
を来す。

B9781455748600000256_f025-002-9781455748600.jpg 
https://thoracickey.com/infective-endocarditis-14/


Roth.png 
中が白くなっている出血斑をRoth斑といいます。
網膜の病変です。
https://ishikokkashiken.com/roth/


大血管に塞栓を起こすと、脳塞栓、肺塞栓、腎梗塞を生じる。
経過中に膿瘍化しないか注意が必要である。

診断:
持続的な菌血症を証明するために3セット以上の血液培養の採取と、
心エコー検査で疣贅を確認する必要がある。

血液培養は感染性心内膜炎の診断に非常に重要であり、抗菌薬投与前に採血する必要がある。

経胸壁心エコー検査で疣贅がはっきりしない場合は、経食道心エコー検査を検討する。
感染性心内膜炎でも血液培養が陰性となることがある。
血液培養で検出されにくい菌が原因の場合もあるが、血液培養の採取前に抗菌薬が投与され、
その影響で陰性になっていることの方が多い。

治療:
通常、内科的に抗菌薬静注で加療するが、
弁破壊が強く心不全をコントロールできない場合や巨大疣贅の場合は、
外科的な治療が必要
となる。
治療開始後も心雑音の変化や新たな塞栓の出現がないか注意が必要となる。


本症例では、
血液培養3セット採取後に経験的な抗菌薬静注を始めた。
心エコー検査で石灰化した大動脈弁に疣贅を認め、
軽度の大動脈弁閉鎖不全と中等度の大動脈弁狭窄を認めた。

頭部造影CTでは明らかな塞栓を認めず、
眼底検査を行ってもRoth斑ははっきりしなかった。
入院数日後、血液培養3セットから黄色ブドウ球菌を検出した。
抗菌薬の点滴加療を4週間で終了し退院となった。

 
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