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日経メディクイズ(2017/11/28 配信)改編

かなり珍しい疾患。
医師国試では、時々出され、選択肢の中にはよく出るようです。

歯科では出ないと思われますが、染色方法の名前だけは覚えておきましょう。
以下の記事を参照

この染色法は?




9歳女児。
主訴:頭痛、意識消失

現病歴:
1年前から頭痛、ふらつき、意識消失発作を繰り返していた。
近医で頭部CT、脳波検査を施行されたが異常所見はなく、経過観察されていた。
1カ月前から聴覚過敏、性格変化も認めるようになり、当院を受診した。
幼少期から運動は苦手であり、特別支援学級に通っている。

当院来院時の血液検査所見:
白血球数7200/μL、赤血球数532万/μL、 Hb12.5g/dL、血小板数30万/μL、
CRP0.4mg/dL、AST33IU/L、ALT13IU/L、LDH258IU/L、CK60U/L、血糖80mg/dL、
乳酸28.5mg/dL(基準値3.7~16.3mg/dL)、ピルビン酸2.1mg/dL(基準値0.3~0.9mg/dL)。

脳脊髄液所見:
細胞数1/μL、蛋白20mg/dL、糖60mg/dL、オリゴクローナルバンドは陰性。

写真1に入院時のMRI拡散強調画像を示す。

thumb_553791_pho01.jpg
写真1 入院時のMRI拡散強調画像


問1 最も考えられる疾患はどれか。

(1)急性脳炎
(2)MELAS(ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群)
(3)もやもや病
(4)筋ジストロフィー
(5)多発性硬化症


問2 この疾患に関する説明として正しいのはどれか。2つ選べ。

(1)ライソゾームの機能異常が原因
(2)母親からの遺伝が原因
(3)皮膚生検で赤色ぼろ線維を認める
(4)糖尿病合併の可能性がある
(5)酵素補充療法が有効


解答:MOREへ





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解答

9歳女児。
主訴:頭痛、意識消失

現病歴:
1年前から頭痛、ふらつき、意識消失発作を繰り返していた。
近医で頭部CT、脳波検査を施行されたが異常所見はなく、経過観察されていた。
1カ月前から聴覚過敏、性格変化も認めるようになり、当院を受診した。
幼少期から運動は苦手であり、特別支援学級に通っている。

当院来院時の血液検査所見:
白血球数7200/μL、赤血球数532万/μL、 Hb12.5g/dL、血小板数30万/μL、
CRP0.4mg/dL、AST33IU/L、ALT13IU/L、LDH258IU/L、CK60U/L、血糖80mg/dL、
乳酸28.5mg/dL(基準値3.7~16.3mg/dL)、ピルビン酸2.1mg/dL(基準値0.3~0.9mg/dL)。

脳脊髄液所見:
細胞数1/μL、蛋白20mg/dL、糖60mg/dL、オリゴクローナルバンドは陰性。 


写真1に入院時のMRI拡散強調画像を示す。

thumb_553791_pho01.jpg
写真1 入院時のMRI拡散強調画像


問1 最も考えられる疾患はどれか。

(1)急性脳炎
(2)MELAS(ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群)
(3)もやもや病
(4)筋ジストロフィー
(5)多発性硬化症

問2 この疾患に関する説明として正しいのはどれか。2つ選べ。

(1)ライソゾームの機能異常が原因
(2)母親からの遺伝が原因
(3)皮膚生検で赤色ぼろ線維を認める
(4)糖尿病合併の可能性がある
(5)酵素補充療法が有効



正解

問1
(2)MELAS(ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群)
(Mitochondrial myopathy, Encephalopathy, Lactic Acidosis, Stroke-like episodes)


オリゴクローナルバンド:多発性硬化症(MS)の髄液中では陽性
http://www.ms.med.tohoku.ac.jp/explain.html 参照


問2 
(2)母親からの遺伝が原因
(4)糖尿病合併の可能性がある


1)ライソゾームの機能異常が原因なのはライソゾーム病

糖原病II型 - 糖原(グリコーゲン)が蓄積するタイプ
ポンペ病 (Pompe disease) - 糖原病II型。
α-グルコシダーゼ (酸性マルターゼ) 欠損症

スフィンゴリピドーシス - スフィンゴリピドが蓄積するタイプ
GM1ガングリオシドーシス (GM1 gangliosidoses)
GM2ガングリオシドーシス (GM2 gangliosidoses) (テイ=サックス病, サンドホッフ病)
異染性白質ジストロフィー (MLD)
ファブリー病 (Fabry's disease) - α-ガラクトシダーゼA欠損
ファーバー病 (Farber disease)
ゴーシェ病 (Gaucher's disease) - β-グルコセレブロシダーゼ欠損
ニーマン・ピック病 (Niemann-Pick disease) (A, B, C型)
クラッベ病 (Krabbe disease)

ムコ多糖症 (Mucopolysaccharidosis) - ムコ多糖が蓄積するタイプ


3)皮膚生検でなく筋生検で赤色ぼろ線維を認める


解説

慨説:
MELAS(ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群)は、
ミトコンドリアの機能異常により全身性に多彩な症状を呈する疾患である。
ミトコンドリアDNAは、卵子からのみ遺伝されるため、
本疾患は母系遺伝の形式をとり、60~70%が20歳以下で発症する。

ミトコンドリアの変異が原因になって、十分な好気的エネルギー産生が行えなくなることによって起こる。
昔の推定と違い、最近の研究では必ずしもミトコンドリアDNAの異常が原因でないことがわかってきた。
ミトコンドリア病は、このエネルギー需要の多い、脳、骨格筋、心筋が異常を起こすことが多い。
体内全てのミトコンドリアが一様に異常をきたすわけではないため、多彩な病態を示す。
また、嫌気的エネルギー産生機構が異常に酷使されるため、
代謝産物の乳酸やピルビン酸の蓄積を来すことがある。

mitochondria-8.gif 
http://www.1ginzaclinic.com/DCA/DCA+LA+ART.html

糖尿病様の病態を示すこともあり、実際、糖尿病の1%はミトコンドリア病であると考えられている。
ミトコンドリア病には核遺伝子の変異によるものもある(チトクロームc酸化酵素欠損の一部)。
(Wikipedia)

症状:
初発症状は、繰り返す頭痛、食思不振、嘔吐、てんかん発作などが多く、低身長もよく認められる。
運動が苦手なことも多く、四肢の脱力が起こることもある。
また、一過性の片側不全麻痺や、皮質盲などの脳卒中様症状発作をしばしば合併し、繰り返すことが多い。
幼少期の精神運動発達は正常だが、脳卒中様発作を反復し、
徐々に運動能力、視力、聴力、精神発達の機能障害を認める。
20~30%の患者が糖尿病や心機能障害を合併する。

診断:

MELASの診断基準(表1)では、
鑑別には脳卒中様発作の臨床所見と、
ミトコンドリア異常の根拠となる生化学検査や病理学的検査、
遺伝学的検査の結果に加え、
画像所見が必須項目とされている。



表1 MELASの診断基準

thumb_553791_hyo01.jpg


本症例でも、
脳卒中様発作時の脳MRIでは、T2強調画像で高信号領域が認められた。
(MELASでは、後頭部病変が多いらしい)

拡散強調MRIでは、可逆性でADC(見かけの拡散係数)が低下しない点が
虚血性脳卒中と異なるため、鑑別に有用である。
また、中枢神経への乳酸の蓄積の所見として、
MRスペクトロスコピー(MRS)で病変部位に乳酸ピークを認めることも重要な所見である。

血中の乳酸値は、発作間欠期に正常となる場合があり、繰り返し測定することが重要である。

遺伝子検査で最も高頻度に見られる異常は、塩基番号3243のAからGへの変異であり、
本症例も同部位に変異を認めた。

筋生検:
Gomori-trichrome変法染色により、赤色ぼろ線維(RRF)を認めた。

akaboro.jpg 

MELASでの筋生検。
ゴモリ・トリクローム染色を行うと赤色ぼろ線維と呼ばれる。
このような異常ミトコンドリアの集積像がみられる。
(Wikipedia から)


治療:
対症療法が中心となる。
他のミトコンドリア異常症と同様に、ミトコンドリアの機能改善を目的に、
コエンザイムQ10やL-カルニチン、ノイキノン、ビタミンC、タウリンなどが投与される。

本症例は、既往歴と脳卒中様症状、乳酸値の上昇からMELASを疑い画像検査を施行した。
拡散強調画像(写真1)で左後頭葉に大脳皮質の腫脹、信号強度増強を認め、
MRSで同部位の乳酸の蓄積が確認された。
その後、遺伝子検査を行い本症と確定診断した。
血管内皮機能を改善し、脳卒中発作の発症・重症化を予防するため、
既存の治療にL-アルギニン療法を併用したところ、頭痛などの症状は改善し、
脳卒中様症状もなく経過している。


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2017/11/30 06:00 小児・発達 TB(-) CM(0)
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