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日経メディクイズの改編

かなり特殊なcaseです。
本腫瘍に対する新しい治療法についても問う問題です。
このレベルはコアカリではどうなっているのか、確認はしていませんが。

問題

1歳8カ月男児。左頸部の腫瘤。

在胎41週2 日,体重3572 g,Apgar score10/10で他院総合病院の産婦人科にて出生した。
出生直後より呼吸障害を認め,同院の新生児科にて保育器管理となっていた。
生下時より下口唇と左頸部に暗赤色病変を,左頸部に嚢胞性病変を指摘されていた。
徐々に呼吸状態が増悪し,日齢7 で陥没呼吸が出現し,
日齢14で同院耳鼻咽喉科受診したところ,
喉頭内視鏡検査で喉頭蓋左側に黄白色の腫瘤性病変を確認されていたが,
哺乳も可能であり,経過観察となっていた。
しかし陥没呼吸が軽快せず,精査目的のため
日齢20で当院当科紹介受診となった。

来院時には、左頸部に4cm大の軟らかい腫瘤を触れた。
下口唇にも暗赤色の病変を認めた。
腫瘤の表面、辺縁は整、可動性なし。
表面皮膚はやや青色を帯びていた。

明らかな圧痛はない。
咳嗽なし、喘鳴あり。嗄声なし。母乳の飲みも良好だった。

頸部腫瘤の外観(図1)と入院時に撮影した造影CT(図2)、
および急性期治療後に撮影されたMRI画像(図3)を示す。

neck mass
図1 頸部腫瘤の外観

neck mass ct 
図2 入院時に撮影した造影CTI画像


neck mri 
図3 入院後に撮影したMRI画像(STIR)



問1
最も疑われる疾患はどれか。
(1)急側頸嚢胞
(2)神経芽腫
(3)海綿状血管腫
(4)非ホジキンリンパ腫
(5)乳児血管腫

問2
患児への対応で最も適切なものはどれか。
(1)経過観察
(2)圧迫療法
(3)プロプラノロールの内服
(4)ステロイドの内服
(5)パルス色素レーザー治療


解説など;MOREへ


関連記事(一部広告含む)


解説

1歳8カ月男児。左頸部の腫瘤。

在胎41週2 日,体重3572 g,Apgar score10/10で他院総合病院の産婦人科にて出生した。
出生直後より呼吸障害を認め,同院の新生児科にて保育器管理となっていた。
生下時より下口唇と左頸部に暗赤色病変を,左頸部に嚢胞性病変を指摘されていた。
徐々に呼吸状態が増悪し,日齢7 で陥没呼吸が出現し,
日齢14で同院耳鼻咽喉科受診したところ,
喉頭内視鏡検査で喉頭蓋左側に黄白色の腫瘤性病変を確認されていたが,
哺乳も可能であり,経過観察となっていた。
しかし陥没呼吸が軽快せず,精査目的のため
日齢20で当院当科紹介受診となった。

来院時には、左頸部に4cm大の軟らかい腫瘤を触れた。
下口唇にも暗赤色の病変を認めた。
腫瘤の表面、辺縁は整、可動性なし。
表面皮膚はやや青色を帯びていた。

明らかな圧痛はない。
咳嗽なし、喘鳴あり。嗄声なし。母乳の飲みも良好だった。

頸部腫瘤の外観(図1)と入院時に撮影した造影CT(図2)、
および急性期治療後に撮影されたMRI画像(図3)を示す。

neck mass
図1 頸部腫瘤の外観

neck mass ct 
図2 入院時に撮影した造影CTI画像


neck mri 
図3 入院後に撮影したMRI画像(STIR)



問1
最も疑われる疾患はどれか。
(1)急側頸嚢胞
(2)神経芽腫
(3)海綿状血管腫
(4)非ホジキンリンパ腫
(5)乳児血管腫

正解 5

本症例は、乳児血管腫(infantile hemangioma)である。
乳児血管腫は、グルコーストランスポーター1(GLUT-1)陽性の毛細血管内皮細胞が増殖する良性の腫瘍である。
以前は、苺状血管腫と呼ばれていた。
我が国における発生頻度は0.8~1.7%で、乳児期に最も頻度の高い腫瘍の1つである。

本症は、女児、早産児・低出生体重児に多く表れる傾向があり、
その多くは孤発例で家族性の発生は極めてまれとされる。
一方で、家族歴が一親等にある場合には発生率が2倍程度に上昇するという報告もある。
発生部位は頭頸部が60%と多く、体幹25%、四肢15%と続く。
腫瘍の形状から表在型、深在型、混合型に大別される。

本疾患の臨床経過は特徴的で、
出生時にはないか目立たない状態だが、
生後2週ごろから徐々に腫瘤が大きくなり、1歳半まで徐々に増殖(増殖期)、
その後5歳までに退縮し(退縮期)、5歳以降には消失することが多い(消失期)。
だが、経過には個人差が大きく、時に全経過が10年を超えるなど、長期にわたるケースもある。

診断は視診のみで可能なケースが多いが、深在型や混合型では、
病変の深達度を知るためや他の腫瘍との鑑別のためにMRIが用いられる。
脂肪抑制画像(STIR法)が有用であり、
増殖期の乳児血管腫は、微細な顆粒が集簇したような形状の境界明瞭な
T1-low、T2-high、STIR-highの病変として描出される。

鑑別を要する疾患としては、
血管奇形に属する海綿状血管腫や、
カサバッハ・メリット症候群を併発しやすいカポジ肉腫様血管内皮腫が挙げられる。

視診で鑑別ができない場合には、生検による病理組織でGLUT-1陽性の証明を要することもある。
本症例では生検は施行せず、特徴的な経過と診察所見、画像所見から乳児血管腫と診断した。


問2
患児への対応で最も適切なものはどれか。
(1)経過観察
(2)圧迫療法
(3)プロプラノロールの内服
(4)ステロイドの内服
(5)パルス色素レーザー治療

正解 3

将来的には自然消退するため、経過観察のみでもよいが、機能障害、出血、感染を来すリスクがある場合や、
整容的な問題を残す可能性が高い場合、消失期が過ぎても腫瘍が残る可能性がある場合は早期からの治療を検討する。

 「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」で、
エビデンスレベルAで強く推奨されている治療法はプロプラノロール投与のみであるが、
現時点では作用機序の詳細は明らかではない。
一酸化窒素(NO)産生抑制による血管攣縮作用や、
VEGF、bFGFなどの血管増殖因子の抑制、血管内皮細胞のアポトーシス誘導による効果と考えられている。

副作用として血圧低下、徐脈、低血糖、高カリウム血症、呼吸器症状など重篤な症状が起きる可能性があるため、
この治療法に十分な知識と経験を持つ施設で、こまめな観察の下で治療の有益性と
危険性を評価しながら慎重に薬剤投与の適否を判断することが求められる。

その他、ステロイドの内服・静注・外用療法やパルス色素レーザー治療、
冷凍凝固療法、外科的療法も行われるが、適応や効果は限られる。


表 血管腫に対する従来の治療法

 長所・適応時期短所・副作用
 外科手術消褪期以降に有用手術侵襲が大きい
 凍結手術深部の細胞にも作用施術に相当な熟練を要する
 レーザー増殖期のごく早期に照射し,消褪期に誘導できる大きな血管腫に効果が薄い
  深部には作用しない
  色素異常,声門下狭窄
 塞栓術内科的治療抵抗性の時に考慮される組織障害や出血の危険
 ステロイド血栓形成阻害作用を有し,即効性がある長期投与でCushing 症候群や高血圧,創傷
  治癒遅延,成長障害
 vincristineステロイドと併用可能 骨髄抑制,神経障害
 IFNa-2a ステロイドと併用可能痙性対麻痺等神経障害が重篤
 照射治療一部の症例には著効二次癌発生の危険
 プロプラノロール経口投与で侵襲が少ない低血糖,低血圧,徐脈,高カリウム血症等
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/36/1/36_52/_pdf から引用


ここまでの解説は、日経メディクイズからの転用改編です。


今回の症例はかなり特殊例で以下のcase reportからの引用例です。

金子由佳ほか:プロプラノロールが奏効した頸部血管腫の乳児例.小児耳2015; 36(1): 5257
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/36/1/36_52/_pdf



以下は、このcaseの本当の流れについての記載


初診時現症
左頸部に弾性軟な腫脹があり,頸部正中に皮下型血管腫を散見した(図1)。
口腔底・下口唇にも暗赤色の血管腫が見られた。

喉頭内視鏡検査では,
右側を中心とした喉頭蓋の舌面の大きな腫脹を認めたが,
声帯の可動性は良好であり,その時点では狭窄をきたすほどの状態ではないと判断した。
喉頭蓋の腫脹については誘因を含め詳細不明な状態であったが,
呼吸状態が急激に悪化しうるという可能性を考慮し,入院して精査する方針とした。

入院後経過
頸部超音波検査では左頸部に明瞭な嚢胞多房性の腫瘤を認め,
同日造影CT を撮像した。
造影CT では,目視可能な口唇血管腫は低信号であり,
頸部腫瘤はこの部位と同様に低信号に写っており,
周囲にごく僅かな造影効果を認めた。
また低信号領域は喉頭と連続しており,喉頭の腫脹についても全て一連の腫瘤と考えられた(図2)。

入院翌日の喉頭内視鏡検査では喉頭蓋基部の腫脹の縮小を認めた。
症状も安定しており,入院3 日後にMRI を施行。
この際トリクロホスナトリウム内服にて鎮静下で検査をしたところ,
MRI 検査途中から呼吸症状が増悪した。

喉頭内視鏡検査では,2 日前にやや鋭になっていた喉頭蓋基部の腫脹が急増大し,
声帯を圧迫し気道狭窄が進行していたため,ICU に入室し気管挿管及び人工呼吸管理となった。
広範な血管腫の増大による気道閉塞を回避するため,ICU 入室後に気管切開を施行した。

また,この際のMRI 画像では,STIR で左側の大きな高信号領域の周囲に陳旧性の血管腫
などで示される低信号領域を認めた。
左から右にかけての頸部皮下にも広範囲に同様の組成を認め,
画像上頸部血管腫との診断に至った(図3)。

気管切開を要するほど急増大を認め,
今後感染を契機にDIC 症状を引き起こす可能性も考えられたため,
確実に自然消褪するか分からない状態を待つのではなく,
頸部血管腫に対して積極的な治療を開始することにした。

治療介入にあたり,小児科医師と協議の下で保存的療法である
プロプラノロールの内服投与を選択した。
当院の倫理委員会の承認の下,日齢27(入院7 日後)で治療を開始した。
1 mg/kg/day より開始し,日齢30で2 mg/kg/day,日齢56で3 mg/kg/day と
徐々に漸増投与を行った。

治療開始前と比較すると治療開始後4 日時点で喉頭蓋腫脹はやや縮小し,
その後の経過では徐々に縮小が進んだ。
左頸部の腫脹・皮膚・口唇については2 週間以内に縮小を認めた。
また全体的に腫瘍面積は縮小し,色調も薄くなった。

MRI でも以前は広範囲に認めた低信号領域が小さくなり,腫瘍の縮小を確認することができた(図4)。
治療の導入期には正常下限程度の血糖の低下は認めたが,哺乳で軽快し,低血糖症状は認めなかった。

MRI fu
図4 治療開始後4 カ月のMRI STIR
(全体的に腫瘍面積縮小)

その後の治療経過では,低血糖を含めその他の副作用は認めなかった。
維持量で症状再燃なく安定したことを確認し,退院とした。

退院後は外来通院にて内服治療を継続し,治療開始から6 カ月経過後に投与を中止した。
喉頭蓋の腫脹はほぼ消失し,頸部は左右差を認めなくなった。
皮膚血管腫は消失したものの,口唇・舌・口腔底の粘膜病変の発赤については6 カ月後にも残存していた。
内服中止後2 カ月で症状の再燃がないことを確認し,気管切開孔は閉鎖した。

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2017/12/24 14:25 口腔外科 TB(-) CM(0)
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