スポンサーリンク 高齢者のふらつきの原因:110医H33-34 - 医療関係資格試験マニア
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高齢者のふらつきの原因に関する探索問題。
病歴、症状でほぼ正解は簡単であろう。
詳細な問診が重要であることが再認識される。

歯科の方は参考問題まで。

https://medu4.com/110H33 から


furatuki.jpg 
https://www.senior-anshin.com/news/health/20160810/ から


110H33-34

次の文を読み、33、34の問いに答えよ。

71歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。
現病歴:
1週前から朝の目覚めが悪く、散歩中に気分が悪くて座りこむことが多くなった。
階段を上がる際に息切れを自覚するようになり、心配になったため受診した。
2週前から便が黒かったという。
以前から通院中の内科で3週前に行った検査結果を持参している。
既往歴:
高血圧症と心房細動のため、前述の内科に通院中である。
1か月前に右膝を痛め、自宅近くの診療所で処方された鎮痛薬を服用している。
生活歴:
6年前に会社を退職して、妻、長男夫婦および小学生の孫と同居している。
喫煙は45歳まで15本/日を25年間。飲酒は機会飲酒。
検査所見(持参したもの):
血液所見:赤血球343万、Hb 10.6g/dL、Ht 33%、白血球7,300、血小板10万、
PT-INR 1.9(基準0.9〜1.1)、APTT 38.4秒(基準対照32.2)。
血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン1.2mg/dL、
直接ビリルビン0.3mg/dL、AST 33IU/L、ALT 26IU/L、LD 256IU/L(基準176〜353)、
尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖98mg/dL、
Na 131mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。
現症:
意識は清明。身長173㎝、体重78kg。体温36.2℃。脈拍96/分、不整。
血圧148/78mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97%(room air)。
皮膚は乾燥している。
眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。眼振を認めない。
口腔内と咽頭とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。
甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。
心音と呼吸音とに異常を認めない。
腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。
四肢の筋力は保たれており、起立と歩行とに異常を認めない。
腱反射に異常を認めない。
診断のために再度確認すべきなのはどれか。


110H33
a 食物アレルギー歴
b 感染性疾患の有無
c 2週間以内の海外渡航
d 医療機関での処方内容
e 家庭でのストレスの程度


110H34
次に行うべきなのはどれか。

a 頭部CT
b 直腸鏡検査
c 骨髄穿刺検査
d 血清ビタミンB12測定
e 上部消化管内視鏡検査



解答:MOREへ


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解答

次の文を読み、33、34の問いに答えよ。

71歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。
現病歴:
1週前から朝の目覚めが悪く、散歩中に気分が悪くて座りこむことが多くなった。
階段を上がる際に息切れを自覚するようになり、心配になったため受診した。
2週前から便が黒かったという
以前から通院中の内科で3週前に行った検査結果を持参している。
既往歴:
高血圧症と心房細動のため、前述の内科に通院中である。
1か月前に右膝を痛め、自宅近くの診療所で処方された鎮痛薬を服用している。
生活歴:
6年前に会社を退職して、妻、長男夫婦および小学生の孫と同居している。
喫煙は45歳まで15本/日を25年間。飲酒は機会飲酒。
検査所見(持参したもの):
血液所見:赤血球343万、Hb 10.6g/dL、Ht 33%、白血球7,300、血小板10万、
PT-INR 1.9(基準0.9〜1.1)、APTT 38.4秒(基準対照32.2)。
血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン1.2mg/dL、
直接ビリルビン0.3mg/dL、AST 33IU/L、ALT 26IU/L、LD 256IU/L(基準176〜353)、
尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖98mg/dL、
Na 131mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。
現症:
意識は清明。身長173㎝、体重78kg。体温36.2℃。脈拍96/分、不整。
血圧148/78mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97%(room air)。
皮膚は乾燥している。
眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない
眼振を認めない。
口腔内と咽頭とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。
甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。
心音と呼吸音とに異常を認めない。
腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。
四肢の筋力は保たれており、起立と歩行とに異常を認めない。
腱反射に異常を認めない

診断のために再度確認すべきなのはどれか。


110H33
a 食物アレルギー歴
b 感染性疾患の有無
c 2週間以内の海外渡航
d 医療機関での処方内容
e 家庭でのストレスの程度

解答: d

110H33の解説

消化管出血に関する超典型問題。
現病歴3文目にある「便が黒かった」という記載が目に留まれば、ゴールまで一直線である。
なお、PT-INRが1.9と延長していることは確認しておこう。
ワルファリン等の抗凝固薬内服により、易出血性となっている可能性が示唆される。

a〜c アレルギー性疾患でも、感染性疾患でも、輸入感染症でもない。

d 正しい。
1か月前に受診した自宅近くの診療所で非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉が処方されていた可能性が高い。

e 
ストレス性の消化性潰瘍もありうるが、既往歴に消化性潰瘍を反復している旨の記載もないため、
71歳になって突如ストレスが出現することは考えにくい。



110H34
次に行うべきなのはどれか。

a 頭部CT
b 直腸鏡検査
c 骨髄穿刺検査
d 血清ビタミンB12測定
e 上部消化管内視鏡検査

解答: e

110H34の解説


a〜e 上部消化管出血が疑われるため、次に行うべきなのはeの上部消化管内視鏡検査である。
まさか読み違えてbの直腸鏡を選んだ者はいないことを祈る(これが「直腸診」であれば正解の余地はある)。


補足:
日経メディカル 1日1問医師国試 から

71歳男性、主訴がふらつきの症例です。
症状は、労作時の息切れと黒色便です。
既往歴に心房細動があるので、抗凝固薬の内服が予想されます。
止血異常のリスクがある上に、1か月前より鎮痛剤の内服があり、消化管出血をよく支持します。

この時点で上部消化管出血を疑います。
3週間前に行った採血結果でも既にHb 10.6g/dLと貧血を認めています。

現症においても、軽度頻脈、眼瞼結膜の貧血があり、
病歴からは3週間前より進行した貧血が推測されます。

問われているのは、次に実施すべき検査です。
選択肢に並んでいるのは、routineの検査というよりも、
診断に有用な「疾患特異度の高い検査」です。
前述のように、上部消化管出血を検索することが差し当たっての目標となります。

<選択肢考察>
a 
主訴がふらつきという点で頭蓋内病変を探すために頭部CTを行うという発想はあるかもしれませんが、
まずターゲットにすべきは貧血の精査なので、現時点での必要性は低い検査と言えます。

b 
直腸鏡は、その名称通り肛門から直腸の範囲を肉眼で観察するための機器です。
痔核の検出には有利ですが、今回は黒色便と明記されているのでTreitz靭帯より口側の病変をまず疑います。

c 
MCVを計算すると、80から100fLの間の値であり、正球性貧血であることが分かります。

平均赤血球容積(MCV)=
Ht(%)/RBC(×104/μL)×1000
33/343 X 1000=96.2



また、赤血球系のみの減少であり、白血球や血小板には介入が必要な異常所見を認めていません。
血液疾患による貧血ももちろん鑑別に挙がるのですが、
出血を止めるチャンスがあるという点でeの選択肢よりも優先されることはありません。

d 
大球性貧血では、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血を考慮すべきかもしれませんが、
本症例は正球性貧血という点で合致しません。

e 
上部消化管内視鏡検査で胃十二指腸潰瘍の検索を行います。
活動性の出血があれば止血することも可能なので、題意をよく満たします。


参考文献

高齢者のめまい、ふらつきの診断治療

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/8/103_1869/_pdf


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