スポンサーリンク 意識障害患者の緊急処置から解剖まで:108医B50-52 - 医療関係資格試験マニア
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意識障害患者の初期診断、処置

https://medu4.com/ から

Male-patient-in-vegetative-state-523583.jpg 
https://www.express.co.uk/ から引用


108B50-52
次の文を読み、50~52の問いに答えよ。

108B50
78歳の男性。意識障害のため搬入された。
現病歴:昨日から37.4℃の発熱、頭痛および悪心を訴えていた。
今朝になって意識がもうろうとしているところを家族に発見され、救急搬送された。
既往歴:30年前から高血圧症の治療を受けている。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父親が脳出血のため82歳で死亡。
現 症:意識レベルはJCSIII-200。
身長167cm、体重68kg。体温38.1℃。
脈拍104/分、整。血圧106/78mmHg。呼吸数20/分。
SpO2 98%(マスク5L/分 酸素投与下)。
眼瞼結膜に貧血を認めない。咽頭に軽度発赤を認める。
項部硬直を認める。
心音と呼吸音とに異常を認めない。
腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
顔面と四肢とに明らかな麻痺を認めない。
腱反射に異常を認めない。
意識障害のため感覚障害は不明。
血液検査と同時に血液培養の検体を提出した。
検査所見:
血液所見:赤血球428万、Hb 13.6g/dL、Ht 42%、
白血球14,300(桿状核好中球16%、分葉核好中球64%、単球4%、リンパ球16%)、
血小板23万。
血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL、アルブミン3.4g/dL、AST 24IU/L、ALT 19IU/L、
LD 277IU/L(基準176~353)、ALP 283IU/L(基準115~359)、γ-GTP 46IU/L(基準8~50)、
CK 124IU/L(基準30~140)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、
血糖106mg/dL、Na 134mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 96mEq/L。CRP 2.4mg/dL。

抗菌薬の投与について正しいのはどれか。

a 髄液検査の結果を待たずに速やかに開始する。
b 髄液検査で圧の上昇があれば開始する。
c 髄液検査で多形核球優位の細胞数増加があれば開始する。
d 脳脊髄液のGram染色で細菌を認めれば開始する。
e 髄液培養で原因菌が判明すれば開始する。


108B51
頭部CTでは異常を認めなかった。
ICUに入室し髄液検査が実施された。
脳脊髄液所見:初圧210mmH2O(基準70~170)、
細胞数4,200/mm3(基準0~2)(単核球8%、多形核球92%)、
蛋白340mg/dL(基準15~45)、糖18mg/dL(基準50~75)。
脳脊髄液のGram染色では細菌は検出されなかった。
6時間後に血圧が76/52mmHgに低下し無尿となった。
意識レベルはJCSIII-200。体温39.0℃。脈拍112/分。四肢末梢の皮膚は温かい。

この時点の治療として適切なのはどれか。

a フロセミド急速静注
b アドレナリン急速静注
c カルシウム拮抗薬持続静注
d ノルアドレナリン持続静注
e アセトアミノフェン直腸内投与


108B52
翌日、患者の病態は悪化し死亡が確認された。
病態の解明のため、遺族の同意の下で、
この病院に勤務する病理医による解剖が行われた。
当てはまるのはどれか。

a 行政解剖
b 系統解剖
c 司法解剖
d 承諾解剖
e 病理解剖


解答:MOREへ

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解答

108B50

解答: a

108B50の解説
昨日からの発熱・頭痛・悪心があり、項部硬直もみられているため、髄膜炎を考える。
発熱・項部硬直・意識障害は髄膜炎の3徴とされる。

a 正しい
  検体をすでに採取してあるため、empirical(経験的)に抗菌薬投与を開始する。
b~d 特にこうした条件はない。
e 原因菌の判明すれば確かに確実ではあるが、これには時間がかかり、患者の生命が危険にさらされる。


108B51


解答: d

108B51の解説

時間が少し経過した時点でのdecision-makingが問われています。
髄液所見は、心の準備をしていた通りに細菌性髄膜炎の所見でした。
そして血圧低下、無尿を認めたのでショックと判断します。
お分かりの通り、敗血症性ショックに陥ってしまいました。
この時点で大量補液と昇圧剤を使うのですが、使う薬剤は限られています。
敗血症のガイドラインによれば、敗血症性ショックではノルアドレナリンを使うことが推奨されています。
これは、敗血症性ショックの病態である、
血管透過性亢進と血管拡張に対して、ノルアドレナリンの血管収縮作用が奏功するということを示しています。

一つ、この問題で個人的に面白いと思うのが、
「髄液Gram染色で細菌は検出されなかった」という一文です。
これは現場のリアリティをよく反映しています。
髄液のGram染色は手技が難しく、また感度もさほど高くはないので結果が陰性でも何ら驚きません。
菌が見えた場合には有用な情報(抗菌薬選択のヒントになる)が得られるというくらいの認識で診療をしています。
このように最近の国試では、フェイクというか実臨床さながらの症例提示が
少しずつ増えてきているような印象を受けます。

(解説:日経メディカル 1日1問医師国試 から)



a 利尿薬投与により、さらに血圧が低下してしまう。

b アドレナリン急速静注は心肺停止時に行う。

c カルシウム拮抗薬投与により、さらに血圧が低下してしまう。

d 正しい
  敗血症初期のwarm shock時は末梢血管拡張とそれによる静脈還流低下が血圧低下の原因の1つとなる。
  ゆえにα1刺激薬であるノルアドレナリンが有用。

e 解熱鎮痛作用はあるも、現時点での優先度は低い。


108B52


解答: e

108B52の解説

a・d 
監察医のいる地域では監察医が行政解剖を行う。
監察医のいない地域において行われる行政解剖を承諾解剖と呼び、
警察の嘱託医あるいは法医学者が行う。ともに死因の究明を目的とする。

b 系統解剖は、人体の構造解明のため、大学の解剖学教室で行われる。

c 司法解剖は、犯罪性が疑われる死体に対し、法医学者などが行う。

e 正しい
病死した患者の病態解明のため、病理医が遺族の同意を得て実施する。
 
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