時々出題される難治性の皮膚疾患です。
110G58改題38歳の女性。左下腿の潰瘍を主訴に来院した。
3か月前から母指頭大の紅色結節が出現し、中央が潰瘍化した。
自宅近くの医療機関で抗菌薬を処方されたが、
潰瘍がさらに拡大したため受診した。
左下腿の写真を別に示す。

一般細菌、真菌および抗酸菌培養はいずれも陰性であった。
皮疹部の病理組織所見では真皮全層に好中球浸潤がみられるが血管炎像はない。
この患者で合併を疑うべき疾患はどれか。3つ選べ。
a クローン病
b 潰瘍性大腸炎
c 甲状腺機能低下症
d 弾性線維性偽性黄色腫
e 骨髄異形成症候群〈MDS〉
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皮膚科テキスト
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解答正解 abe画像では壊死を伴い、周囲が堤防状の広範な皮疹が認められる。
「一般細菌、真菌および抗酸菌培養はいずれも陰性」とのことで感染症ではなく、免疫学的な皮疹を疑う。
病理組織所見にて真皮全層に好中球浸潤がみられており、皮疹の形状とも合わせて壊疽性膿皮症なのだろう。
病因は不明であるが,
壊疽性膿皮症は,血管炎,γ-グロブリン血症,RA,
白血病,リンパ腫,C型肝炎ウイルス感染症,SLE,サルコイドーシス,多関節炎,
ベーチェット病,化膿性汗腺炎のほか,特に炎症性腸疾患(IBD)など,様々な全身性疾患に合併する。
国試レベルでは、特に以下の疾患に合併することを覚えておけばいいでしょう。
炎症性腸疾患(IBD)
クローン病
UC(潰瘍性大腸炎)
MDS(骨髄異形成症候群)
白血病
大動脈炎症候群
病態生理はあまり解明されていないが,好中球走化性に関する問題が関与している可能性がある。
病変内では
IL-8が過剰発現している。
約30%の患者では,皮膚に外傷ないし損傷が生じた後に壊疽性膿皮症の潰瘍化がみられ,
この現象は
パテルギー(pathergy)と呼ばれている。
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