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低ホスファターゼ症に対する新薬

CreNet 2015/10/06 配信



jhg20116f1.jpg 
http://www.nature.com/jhg/journal/v56/n3/fig_tab/jhg20116f1.html


アレクシオンファーマ合同会社(以下、アレクシオン)の主催により、
周産期・乳児期で生命を脅かす危険性が高い
“低ホスファターゼ症”初の治療薬登場で変わる治療現場」をテーマに、
メディアセミナーが2015年9月17日、東京都千代田区で開催された。

冒頭で、同社社長ヘルマン・ストレンガー氏より
低ホスファターゼ症(Hypophosphatasia:HPP)治療薬、
ストレンジックの日本における開発経緯について説明が行われた。


日本におけるストレンジックの開発経緯

同社が先月発売したストレンジックの日本における開発は、
2012年、日本でHPP患者を持つ母親からアレクシオンに、
薬の必要性を切実に願う手紙が届いたことがきっかけであった。こ
れにより、日本人HPP患者の国際共同治験参加が実現し、
2015年8月、世界に先駆けて日本で発売されることとなった。


HPPとは?

次に、藤原 幾磨氏(東北大学大学院 医学系研究科
環境遺伝医学総合研究センター 小児環境医学分野 教授)より、
「低ホスファターゼ症とストレンジック」と題した講演が行われた。

HPPは、アルカリホスファターゼ(以下、ALP)をコードするALPL遺伝子の変異により、
ALP活性が低下することが原因のきわめて
まれで重篤な、進行性、全身性代謝性疾患
である。

日本における患者数は100~200人1)で、「小児慢性特定疾病」、「指定難病」に認定されている。


HPPの症状と病型

HPPでは、ALPの活性低下に伴い、
その基質であるPPiの蓄積による骨石灰化障害、
PLPの蓄積によるビタミンB6依存性痙攣など、
生命に関わる症状が引き起こされる。

HPPは、
「周産期型」、「乳児型」、「小児型」、「成人型」、「歯限局型」に加え、
「周産期良性型」(周産期型で従来よりも症状が軽度で予後良好な例)を含めた6病型に分類されている。
病型によって特徴的かつ多彩な臨床症状(骨石灰化障害に伴う呼吸不全、頭蓋骨早期癒合症、
腎石灰化や重度の腎不全、筋肉/関節痛、運動機能障害など)を全身に発現し、
最も重篤な周産期重症型では、生存期間の中央値が4ヵ月であったという報告もある2)。

周産期型
(perinatal
type)
胎児期から骨の石灰化がみられず死産となる場合や、生まれてきても、呼吸障害、高カルシウム血症、痙攣発作などにより、生後早期に亡くなられることが多い最も重症のタイプです。劣性遺伝(両親から両方を受け継ぐ)の致死型と優性遺伝(片方の親から受け継ぐ)の良性型があるといわれています。
乳児型
(infantile type)
生後6ヶ月以内に発症するタイプです。生まれてまもなくは順調に発育しますが、徐々に体重増加不良や高カルシウム血症、くる病様変化、骨折、呼吸障害など、重症化することが多く、約50%が亡くなられています。劣性遺伝と言われています。
小児型
(childhood type)
小児期に発症するタイプが小児型です。重症度はさまざまで、骨が弱い、骨折しやすい、乳歯が早期にまとまって抜けてしまうなどの症状がみられます。
なぜか、犬歯や前歯が早期に抜けてしまいます。優性遺伝、劣性遺伝の両方があると言われています。
成人型
(adult type)
中年期以降になって発症するタイプです。病的骨折、骨折治癒遅延、骨痛などがみられ、ひどい場合は歩行困難となります。優性遺伝と言われています。


歯限局型
(odonto type)
骨には症状がなく、歯のみに異常が出るタイプです。優性遺伝と言われています。



http://hypophosphatasia.life.coocan.jp/hypophosphatasia.html


1750-1172-4-6-4-l.jpg 
早期に歯が脱落
http://www.gfmer.ch/genetic_diseases_v2/gendis_detail_list.php?cat3=2006


HPPの診断

 これらの臨床症状を回避し、予防するためには、
早期かつ正確にHPPを診断することが重要である。
その際、「ALP活性値の低下」を確認
することが、
HPPの診断、類似疾患との鑑別に不可欠だが、
藤原氏は、「患者の年齢や検査施設によってALP基準値が異なるため、
配慮が必要だ」と注意を促した。


58151-0550x0475.jpg 
https://www.netterimages.com/hypophosphatasia-labeled-young-orthopaedics-frank-h-netter-58151.html



HPP治療薬、ストレンジックとは?
 ストレンジックは、HPP患者に対する初めての治療薬で、
HPPの原因であるALP活性の低下に対する酵素補充療法である。
本剤の投与により、HPP患者の生存率(投与168週時)84%、2
4週という早期にくる病様症状や、胸郭石灰化促進による肺機能の改善、
運動能力や身体機能の改善が認められ、
身体障害、疼痛の軽減によるADL、QOLの改善が示唆された。

 藤原氏は、
「当院で実施した治験でも、著明な長管骨彎曲や骨化不全がみられた患者に、ストレンジックを投与したところ、
骨病変の著しい改善がみられ、現在では歩くことができるようになっている」、
「ストレンジック発売前は、HPP患者を発見しても辛く、悔しい思いをすることが多かったが、
心待ちにしていた薬剤の登場と、その効果に喜んでいる」と述べた。

HPP患者家族、喜びの声
 最後に、原 弘樹氏(低フォスファターゼ症の会 代表)より「患者会の紹介と、
ご家族の闘病」についての講演が行われた。

「低フォスファターゼ症の会」は、大阪大学の大薗 恵一氏が会の顧問を務めており、
2008年より患者、医師、製薬会社、行政の架け橋として、精力的に活動を続けている。

今回、患者家族を代表して、ハウ氏(低フォスファターゼ症の会 副代表)夫妻から闘病の様子が語られた。
ハウ氏の子息は、1997年に生まれた。
先天性代謝異常スクリーニングでは、異常が見つからず、
翌年、発熱した際に血液検査をしたところカルシウム高値であることが発覚し、
その後「低ホスファターゼ症の乳児型」と診断された。

首、腰がなかなかすわらないという悩みから始まり、
気管支炎や肺炎による入院、
乳歯早期脱落による入れ歯、
頭蓋骨早期癒合症の手術、
歩行困難のため車いす移動など、
大変な日々だった、とハウ氏は当時を振り返った。

昨年、治験に参加し、ストレンジックを投与したところ、
2ヵ月ほどで運動能力の向上がみられ、
腰の痛みも治まってきたという。
ハウ氏は、
「現在、息子は高校3年生となり、
力をつけたいという本人の要望から、
親子で筋肉トレーニングを始め、
今では家の手伝いができるほど力がついてきた、
今後は、持久力をつけて自転車に挑戦するのが目標。
頑張る息子の姿を大変うれしく思う」と喜びを語った。

原氏は、
「会の結成当時は治療法がなく、自分たちの無力さ、無念さで苦しい思いをたくさんしてきた」、
「世界に先駆けて日本で承認、販売されたことに対して、感謝の気持ちでいっぱい。
ここまで成し遂げられたのは、“日本人の魂”だと感じた」と述べ、会を締めくくった。

ストレンジックによって、1人でも多くの“幼い命”が救われることを期待したい。

参考文献
1) 難病情報センター. 低ホスファターゼ症. (参照2015.9.30)
2) Taketani T, et al. Arch Dis Child. 2014; 99: 211-215.



歯科国試では、選択肢の中で、時々問われる病気です。
重症な本疾患に対し、いくらかの光が差し込んだのか?



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2015/10/06 17:33 小児歯科 TB(-) CM(0)
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