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さて、今回はRA治療中のcomplicationに関する問題。
114D51 70歳の女性。発熱と頸部のしこりを主訴に来院した。8年前に関節リウマチと診断されプレドニゾロン、メトトレキサート及びNSAIDによる治療を継続している。1週前から誘因なく発熱が持続するため受診した。身長155cm、体重43kg。体温38.4℃。脈拍104/分、整。血圧120/80mmHg。呼吸数20/分。口蓋扁桃の腫大を認めない。両頸部と両腋窩に径2cmの圧痛を伴わないリンパ節を1個ずつ触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。関節に腫脹と圧痛とを認めない。血液所見:赤血球315万、Hb 10.2g/dL、Ht 32%、白血球2,800(桿状核好中球36%、分葉核好中球44%、好酸球2%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球9%)、血小板12万。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、アルブミン3.3g/dL、AST 35U/L、ALT 23U/L、LD 780U/L(基準120〜245)。免疫血清学所見:CRP 2.2mg/dL、抗核抗体陰性、可溶性IL-2受容体952U/mL(基準157〜474)、結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉陰性。造影CTで縦隔・腸間膜に多発性のリンパ節腫大を認める。 まず行うべき対応はどれか。 a NSAIDの中止 b JAK阻害薬の追加 c 抗TNF-α抗体の追加 d プレドニゾロンの中止 e メトトレキサートの中止 解答:MOREへ スポンサーサイト スポンサーリンク 解答 正解 e 【思考過程】 ①関節リウマチ〈RA〉患者にプレドニゾロンとメトトレキサート〈MTX〉使用中→ともに免疫抑制作用を有する治療薬である。 ②両頸部、両腋窩、造影CT 上の縦隔・腸間膜の多発性リンパ節腫大→リンパ球の増殖亢進と活性化を示唆する。可溶性IL-2 受容体〈sIL-2R〉増加やLD 高値もこれを支持する。 ③体温38.4℃、CRP 2.2 mg/dL→炎症所見陽性である。関節の局所所見からはRA の活動性は低そうである。 ④IGRA 陰性→免疫抑制剤内服中に懸念される感染症、結核の既往はない。 MTXで加療中のリンパ節腫脹ということで、うーむ あれかな? と想像がつくでしょう。 そうですね、MTX関連リンパ増殖性疾患 (MTX related LPD)の診断。 ということで、MTXの中止が、まずは1st choiseでしょう。 【選択肢考察】 A(×):NSAIDの中止 リンパ球の増殖とは無関係であり、NSAID 中止の意味はない。 B(×): JAK阻害薬の追加 RA 自体の管理は悪くない。今、治療変更の必要はない。 C(×):抗TNF-α抗体の追加 やはりRA 自体の管理は悪くない。今、治療変更の必要はない。 D(×):プレドニゾロンの中止 使用量や使用期間にもよるが、突然のプレドニゾロン中止は副腎不全の危険がある。 E(○):メトトレキサートの中止 MTX によるLPD を疑うときの最初の一手はMTX 中止である。これだけでリンパ節腫大が短期間に退縮する例が半数近くある。 【関連知識】 関節リウマチ(RA)患者は一般人口に比較して 2~4 倍の頻度でリンパ腫の合併が多いことが知られています。近年、RA治療のアンカードラッグ(中心的薬剤)として位置づけられているメトトレキサート(MTX)投与中にリンパ腫を含めたリンパ増殖性疾患(MTX 関連リンパ増殖性疾患:MTX-LPD)がときに発症するという報告があり、一部は死亡に至る重篤な合併症として認識されています。 リンパ増殖性疾患(LPD)には 腫瘍性疾患(悪性リンパ腫)、非腫瘍性疾患(反応性過形成)、境界領域病変がありますが、臨床的に問題になるのは悪性リンパ腫です。診断は病変部位の生検(組織をとって調べる)で確定します。 組織型はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBL)が 35-60 %と最も多く、次にホジキンリンパ腫が 12-25 %となっています。 メトトレキサート(MTX)の投与期間、投与量と発症の因果関係は証明されていませんが、特徴的なのは MTX の休薬に伴って約 30 % に症状の寛解が見られることです。しかし約 50 % は寛解後に再燃するといわれています。 (治療) MTX-LPD の治療は疑われる症状出現後、ただちに MTX を中止し 2 週間の経過観察を行うことが治療の第一選択とされています。病変の退縮を認める場合は追加治療を行わずに慎重に経過観察をします。MTX の中止のみで寛解に至らなければ組織生検で診断を確定した後、組織型に応じた化学療法が必要となります。 (メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)とは から引用) 【コメント】 MTX のみならず生物学的製剤、カルシニューリン阻害剤、JAK 阻害薬でもMTX 同様のLPD を起こしうる。MTX を休止してリンパ節腫脹が改善すればMTX 関連のLPD といえる。
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