スポンサーリンク 股関節脱臼整復後の合併症:第30回整形専門医試験 問74改編 - 医療関係資格試験マニア
fc2ブログ
様々な医療福祉関係の資格試験に挑むブログ
プロフィール

かず

Author:かず
某総合病院で日々、臨床で忙しい医師カズです。
各種医療職の資格試験問題に挑戦しつつ、資格を目指す方々を励ますブログです。
内容は、国内の医師、歯科、薬剤師、看護師国試など、さらには米国医師資格試験(USMLE)、米国歯科医師資格試験(NBDE)あたりの問題にも挑戦する予定です。
応援よろしくお願いいたします。

ブログ使用時の注意点:
PCビューで見ると、答えが隠れています。
解答を見る場合は、”MORE”ボタンをクリックして下さい。
スマホですと、全てが表示されてしまうので演習目的の場合はPCビューがお勧めです。

広告
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学校・教育
12位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
1位
アクセスランキングを見る>>
楽天お勧め
google+1
これは、医師国試レベルでは多少難しいかもしれないが、出ないとは限らないし、正解可能な範囲でしょう。

Posterior-dislocation-of-the-right-hip-without-fracture.png
股関節後方脱臼のXP:画像 Posterior dislocation of Right hip から引用

整形専門医30-74改
35歳の男性.登山中に転落した.既往歴に特記すべきことなし。アルコールは機会飲酒程度で喫煙歴もない.受傷から12時間後に地域の総合病院に搬送され、右股関節後方脱臼の診断で麻酔下に徒手整復術を受けた. なお、単純X線像やCT像にて臼蓋部や大腿骨頭部・頸部の骨折は認めなかった.受傷後6か月の単純X線像は正常で、正常歩行が可能となっていたため,以後の通院を怠っていた.受傷後1年を過ぎて右鼠径部から大腿にかけての疼痛が発生し,最近は歩行が困難となり再び整形外科を受診した.股関節の可動域は保たれている.この症例の股関節画像所見で認めやすいのはどれか.3つ選べ。

a 単純X線像で骨頭内の帯状硬化像
b 単純X線像で関節裂激隙の消失
c 単純X線像で寛骨臼の骨棘形成
d MRI T1強調像で骨頭内のlow band像
e 骨シンチグラムで大腿骨頭部のcold in hot像


解答:MOREへ


スポンサーサイト
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

標準整形外科学 第14版 [ 井樋 栄二 ]
価格:10340円(税込、送料無料) (2022/12/30時点)



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

病気がみえる vol.11
価格:4180円(税込、送料別) (2022/12/30時点)





スポンサーリンク



解答

正解 ade


解説

主要所見
右股関節後方脱臼整復1年後に生じた疼痛


KEYWORD
① 右股関節後方脱臼にて受傷後12時間以降に整復(→外傷後大腿骨頭壊死のリスク)
② 右股関節後方脱臼整復後1年で右鼠径部から大腿にかけての疼痛出現(→腰椎由来か,股関節由来の痛み)
③ 臼蓋部や大腿骨頭部の骨折はない(→変形性股関節といった軟骨障害はない可能性)
④ 股関節の可動域は保たれている(→変形性股関節ではない可能性)

解法の要点
右股関節後方脱臼の症例で、整復完了にまでに受傷後12時間以上かかっている.最近のメタアナライシスによれば,成人外傷性股関節脱臼の整復に受傷後12時間以上経た症例は,12時間以内の整復例に比べて外傷後骨頭壊死の発生率が高い(オッズ比 5.6)という報告がある1).また,整復までに6時間以上で骨頭壊死の発生率が高まるという報告もある2).本例では,脱臼整復までに12時間以上かかっており,骨頭壊死が生ずるリスク大であろう.また、本例では同側の臼蓋骨折や骨頭骨折など股関節周囲の軟骨障害は軽度であると予想され、早期の二次性変形性股関節症は生じにくいであろう。ということで、大腿骨頭壊死の画像所見を選択すればよいということなる.もちろん、外傷後骨頭壊死が見逃され数年間が経てば変形性股関節症が生じる可能性はある.

参考文献

1) Kellam P, Ostrum RF. Systematic Review and meta-analysis of avascular necrosis and posttraumatic arthritis after traumatic hip dislocation. J Orthop Trauma 30(1),10-16, 2016.

2) Ahmed G, et al. Late versus early reduction in traumatic hip dislocations: a meta-analysis. Eur J Orthop Traumatol 8, 1109-1116, 2017.



診断
股関節後方脱臼後の大腿骨頭壊死


選択肢解説

〇a 単純X線像で骨頭内の帯状硬化像
骨頭壊死の典型的な像であるので,正解.図1参照

h2465_10.jpg

図1 単純X線像で骨頭内の帯状硬化像
出典:レントゲン 平成24年(2012年) - トニーの特発性大腿骨頭壊死症への挑戦 (biglobe.ne.jp)
から引用


×b 単純X線像で関節裂激隙の消失
×c 単純X線像で寛骨臼の骨棘形成

bcともに、変形性股関節症の所見であるので誤り.


〇d MRI T1強調像で骨頭内のlow band像
骨頭壊死のMRI所見にて正解.図2参照。

a00216f07_avn-mri-2_sjf-kh-compressor.jpg
図2 大腿骨頭壊死のMRI像(赤線:壊死骨と正常部の境界 low bad像)
出典:Osteonecrosis of the Hip - OrthoInfo - AAOS  から引用


〇e 骨シンチグラムで大腿骨頭部のcold in hot像
骨シンチでの ”cold in hot”とは,血流のある正常部に囲まれた血流のない壊死部を意味する.骨頭壊死の典型的骨シンチ所見である. “Doughnut” signともいう.MRIがない時代は有用な検査法であった.図3 参照.

Doughnutsign.png

図3 左大腿骨頭壊死の骨シンチ所見 “cold in hot”像
出典:Avascular Necrosis of the Femoral Head: Background, Diagnosis and Classification - Sports Medicine Review (sportsmedreview.com) から


関連記事
2022/12/30 14:51 整形外科 TB(-) CM(0)
コメント















 管理者にだけ表示を許可する

アクセス数
検索フォーム
知りたい疾患や用語に関連するブログ記事を探すのに使ってください
広告配信
人気記事
本ブログ内でよく読まれている記事
カレンダー
08 | 2023/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
月別アーカイブ(タブ)
各年のアーカイブ全体はLISTをクリック下さい。 LISTを閉じる際は、SELECTをクリック下さい。
リンク
医歯学などの勉強に有用なサイトを随時増やしていきます。 リンクサイトでアクセス出来ないものあれば、メールフォームで遠慮なく教えて下さい。
ブログランキングなど
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: