神経疾患の診断：114医A30

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まだまだ暑い日が続きますね。
ということで、今日は簡単な問題で。

114A30
72歳の男性。左足のしびれ感と歩行困難を主訴に来院した。進行期肝癌の加療中で、6か月間で体重が5kg減少した。本日、自宅で足を組んだ状態で1時間程度テレビを見た後に歩こうとすると、床に左足のつま先が引っかかり、何度か転びそうになったため来院した。意識は清明。身長162cm、体重49kg。体温36.3℃。脈拍68/分、整。血圧108/72mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98％（room air）。左足背部に鈍いしびれ感がある。下腿に腫脹は認めず、足背動脈は両側とも触知良好。腱反射は両側上下肢とも正常。徒手筋力テストで、上肢は左右差なく正常、下肢（右/左）は股関節屈曲5/5、膝関節伸展5/5、足関節背屈5/1であった。腰椎MRIで明らかな異常を認めない。

確定診断のため有用な検査はどれか。

ａ骨密度測定
ｂ脊髄腔造影検査
ｃ骨シンチグラフィ
ｄ末梢神経伝導検査
ｅ下肢動脈超音波検査

解答：MOREへ

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解答

正解　d

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解法の要点

自宅で足を組んだ状態で1時間程度テレビを見た後に歩こうとすると、床に左足のつま先が引っかかりとある。
この時点で、腓骨骨頭部での腓骨神経麻痺であろうと予想はつくでしょう。

突然発症の下垂足であることから、脳血管障害の可能性もあるが、腱反射の左右差がなく、足関節背屈のみの筋力低下であることから、圧迫性の神経根障害と末梢神経障害の可能性が高い。腓骨神経は腓骨頭部で圧迫性障害を受けやすく、局所的な末梢神経障害を検出するには、神経伝導検査が最も適している。

診断：腓骨神経麻痺

選択肢解説

×ａ　骨密度測定
骨粗鬆症の診断と治療効果をみるのに適しているが、麻痺の診断には用いない。

×ｂ　脊髄腔造影検査
MRIと異なり前後屈など動的な評価ができる点で有用であるが、検査に侵襲があるため適応は限られる。
本症例にはmuelographyは不要であろう。

×ｃ　骨シンチグラフィ
骨折部位の同定やがんの骨転移には有用であるが、末梢神経障害の評価には用いない。

○ｄ　末梢神経伝導検査
腓骨頭部での伝導障害が証明できれば、腓骨神経麻痺と診断できる。

×ｅ　下肢動脈超音波検査
閉塞性動脈硬化症などの末梢閉塞性動脈疾患（PAD）の検査に用いられる。
本症例はperopheral neuropathy caseにて不適である。

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