ある大学の小児科卒試の復元問題のようです。
http://tanakyu.fc2web.com/6study/kakomon/4f/4_juta_15s.htm
http://www.amazon.co.jp/Pediatrics-MCQ-English-Edition-Anilkumar-ebook/dp/B009Y105KQ2.細胞性免疫不全で易感染性を示す病原体はどれか?3つ選びなさい
a.マイコバクテリア b.インフルエンザ菌 c.サルモネラ d.MRSA e.水痘・帯状疱疹ウイルス
[解答]a,c,e
[解説]ウイルス、結核菌、サルモネラなどの細胞内寄生体に対する感染防御には細胞性免疫が必要となる。
マイコバクテリアには結核菌、非定型抗酸菌、らい菌などが属する。
4.熱性けいれんについて誤りを2つ a.日本では小児の0.8%に見られる b.単純型熱性痙攣は好発年齢が6生月〜2歳で持続も比較的短い c.予防目的としてジアゼパムの座薬を使用 d.後にてんかんを発症することがある e.発症型は全体の約5割の症例で複雑部分発作である |
[解答]a,e
[解説] a.×:小児人口の約3%にみられる。(STEP小児科p545)
b.○?:単純性熱性けいれんは発作初発時期が生後6ヶ月~4歳である。(STEP小児科p545)
c.○:熱性けいれんの非発作時の対応は、発症機序が解明されていないので確立された基準はないが、
現在のところ
1.抗けいれん薬を継続投与する。
2.発熱時のみ抗けいれん薬を投与する。
3.無治療とする。という考えになっている。
抗けいれん薬としてはジアゼパム坐薬が第一選択。(STEP小児科p547)
d.○:熱性けいれんの数%は複雑型で、てんかんに移行しやすい。(STEP小児科p547) e.?
6.問14.次の文章のうち誤っているものを2つ選びなさい. 1)ミトコンドリアDNAは細胞質遺伝(母系遺伝)する 2)ミトコンドリア病では一般に、細胞ごと臓器ごとに正常のミトコンドリアDNAと異常のミトコンドリアDNAが同じ割合で混在する. 3)ミトコンドリアDNAに変異を持つミトコンドリア病では骨格筋に赤色ぼろ線維(ragged-red fibers)が存在する. 4)副腎白質ジストロフィーの多くは乳児期後半にけいれんで発症する. 5) Zellweger症候群ではペルオキシソームが欠損している. |
解答:(2),(4)
【解説】(4)× 学童期発症の進行性脱髄性疾患
9.正しいものを3つ選べ a.臍帯動脈は1本、臍帯静脈は2本である。 b.末梢性チアノーゼまたは大理石紋様・網状チアノーゼは、主に体温調節が目的の生理的反応である。 c.モロー反射が8ヶ月で見られても異常ではない。 d.呻吟呼吸は、呼気時に声帯を閉じ、肺胞の虚脱を防ぐ防御反応である。 e.新生児期に50~60/分の早い呼吸後に10~15秒の無呼吸をきたしても、チアノーゼ・徐脈がなければ生理的反応である。 |
[解答]b,d,e
[解説]a.×:臍帯動脈2本、臍帯静脈1本である。
b.○:末梢性チアノーゼには生理的なものと病的なものとがある。生理的なチアノーゼの場合、体温調節のためである。
末梢性チアノーゼ |
a)アクロサイアノーシス | ①四肢・爪床および口周囲に認められる生理的なチアノーゼ。末梢の低体温により末梢血管の収縮が起こるため末梢血流の低下し生じる(新生児の体表面積が体重に比して大きいため)。 |
b)病的な末梢性チアノーゼ | 循環血漿量の減少;分娩時の出血 |
毛細血管床への血液灌流の減少;敗血症、代謝性アシドーシス、末梢血管収縮剤の使用 |
c.×:8ヶ月まで続く場合は異常を疑う。モロー反射は原始反射の一種で、手技は、乳児を座位にし、
頭を約30°後方へ落とすように、急に手を頭から数cm離す。
すると上肢の伸展と外転、手指を開いてから(第1相)、上肢の屈曲と内転、手指を閉じる(第2相)。
妊娠(胎生)28週から出現し、5~6カ月で消失する。
中枢神経系の全般的抑制がある場合は出生時にこの反射が見られない。
この反射の消失が遅延する場合は、感覚運動機能の不良を疑う。
左右差がある時は、大脳の一側障害かエルブ麻痺などの末梢神経損傷を疑う。
d.○:呻吟(しんぎん)呼吸は空気が声門を通過する時にうめき声として聴取するもので、
息を吐き終わった時も残気を維持することにより肺の圧を保つことである
(呼吸器管理の際、positive and expiratory pressure PEEPをかけることで呼吸を助けるのと同じ原理)。
呼吸に異常がある場合には多呼吸(1分間61回以上)、
陥没呼吸、呻吟呼吸、シーソー呼吸(腹部があがると胸部が下がる)、
チアノーゼなどの呼吸窮迫症候が出やすい。
e.○:未熟児無呼吸発作について問う問題でしょうか。
自律的呼吸運動は延髄の呼吸中枢と、その上位にある橋の呼吸調節中枢でのコントロールが考えられているが、
未熟児ではこれらの機能が抑制され無呼吸になりやすい。
これを未熟児無呼吸発作という。定義は20秒以上の呼吸の停止、
あるいは20秒未満でもチアノーゼまたは徐脈を伴う呼吸停止であり、
未熟児(多くは34週未満)で、無呼吸の定義を満たし、他の原因を除外し診断する。
| 周期性呼吸 | 無呼吸 |
定義 | 1)毎分呼吸数は正常 2)5~10秒の呼吸停止 3)心拍数/tcPO2の変動は軽度 | 1)20秒以上の呼吸停止 2)20秒未満でも徐脈またはチアノーゼを伴うもの |
頻度 | 1)低出生体重児の40~50% 2)成熟児にも見られる | 1)周期性呼吸の約半分 2)成熟児の場合は他疾患の合併を考える |
予後 | 1)一般に良好 2)無呼吸に移行することあり | 1)放置により脳障害・死亡することがあり合併症も問題になる |
治療 | 1)必要なし | 1)予防および治療が必要 |
10.正しいものを3つ選べ。 a.新生児の黄疸は直接型優位のものが多く治療の第一選択は光線療法であり、最終的な治療は交換輸血である。 b.光線療法により遊離ビリルビンが抱合型に変換され胆汁中に速やかに排出される。 c.急性ビリルビン脳症の初期症状としたシ眠、筋緊張低下吸てつ力低下がある d.低体重、低体温、感染症、低アルブミン血症は核黄疸のリスクファクターである。 |
[解答]b,c,d
[解説]a.×:新生児の黄疸で直接型ビリルビン優位のものは感染症、新生児肝炎と胆道疾患くらいである。
一方、間接型ビリルビン優位の高ビリルビン血症で代表的なものは生理的黄疸、母乳黄疸、血液型不適合、
核黄疸などである。
新生児黄疸の大部分は生理的黄疸であり、間接型ビリルビン優位である。
間接型ビリルビン優位の黄疸の治療法の第一選択は光線療法で、最終的な治療は交換輸血である。
b.○:間接型優位の黄疸に対し、皮膚に光を当てると、そのエネルギーによって皮下の間接型ビリルビンが光異性体に変化して水溶性になり、腎臓や肝臓から排泄されやすくなる。
c.○:核黄疸の症状は以下のように進行していく。
核黄疸の症状(Van Praagh) |
第一期 | 筋緊張の低下、嗜眠傾向、哺乳力の低下(吸啜反射の減弱)、モロー反射の減弱などの非特異的症状がみられる。これらの症状は発病後一両日中にみられる。高ビリルビン血症が同時に認められれば、核黄疸の初期症状を示唆する。この第一期症状の段階で交換輸血などの適切な処置が行われれば神経学的予後は良好である。 |
第二期 | 核黄疸に特有な後弓反張、四肢硬直、落陽現象、甲高い鳴き声、発熱などが起こる。発病後1~2日に起こり、重症例ではこの時期に死亡することもある。 |
第三期 | 痙性症状の消退期。発病後10~14日以後にみられる。 |
第四期 | 比較的恒久的な錐体外路症状が徐々に発現。具体的にはアテトーゼ、難聴、上方凝視麻痺、歯芽形成異常などの症状がみられる。 |
d.○:核黄疸は、まず赤血球の破壊により血中に間接ビリルビンが現れる。
この際、通常はアルブミンと結合するのだが、血漿蛋白の少ない状態では間接ビリルビンが血液中に溶けきれず
(遊離ビリルビン)、血液脳関門を通過して脳の大脳基底核、視床下核、海馬回などの組織に沈着し
脳細胞のミトコンドリアにおける電子伝達系を破壊する、という機序をとる。
未熟児の場合には成熟児に比べてアルブミンのビリルビン結合能が低いために、遊離ビリルビンが上昇しやすく、
核黄疸の危険因子となる。血液脳関門の透過性は低酸素血症、高炭酸ガス血症、高浸透圧血症、発熱、敗血症、髄膜炎
によって亢進し、黄疸の場合にはビリルビンの脳内侵入が容易になる。
11.次の内誤っているものを2つ選びなさい。 a.胎便吸引症候群は未熟児よりも成熟児に多い。 b.TORCH症候群などの先天感染症では出世時のIgMが高値である。 c.早発敗血症の起炎菌としては大腸菌、A群溶連菌が多い。 d.重症敗血症の治療としては抗生剤、血漿交換、GCSF投与が有効である。 E.新生児の感染症の症状は、無呼吸、定体温、notdoingwellなど非特異的なものが多い。 |
[解答]a,d
[解説]b:胎児期に感染があれば、IgMが産生される(出生時IgM>30mg/dlは異常)
c:生後数日以内の発症の場合母体からの垂直感染が考えられ、大腸菌、B群溶連菌などが主役であり、
それ以後は水平感染が考えられ、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などが多い。
e:新生児感染症の臨床像は一般状態(発熱・低体温、哺乳不良、not doing well)、消化器系(嘔吐、腹部膨満、下痢)、
呼吸器系(無呼吸、多呼吸、陥没呼吸、チアノーゼ)、循環器系(蒼白、皮膚冷感、血圧低下)、
神経系(易刺激性、大泉門膨隆、痙攣)、血液系(黄疸、出血斑)などである。
12. 次の内分泌疾患のうち新生児マス・スクリーニングの対象になっているのはどれか。 1.先天性腎性尿崩症 2.成長ホルモン欠損症 3.先天性副腎皮質過形成 (21水酸化酵素欠損) 4.クレチン症 5.甲状腺機能亢進症 a.1,2 b.1,5 c.2,3 d.3,4 e.4,5 |
[解答]d
[解説]現在新生児マススクリーニング対象はフェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、
ホモシスチン尿症、ガラクトース血症、クレチン症、先天性副腎皮質過形成、神経芽細胞腫。
13.成長障害の鑑別 1.Turner症候群 2.副腎皮質過形成 3.甲状腺機能亢進 4.頭蓋咽頭腫 5.慢性甲状腺炎 a.1 2 3 b.1 2 5 c.1 4 5 d.2 3 4 e.3 4 5 |
???
14.次の代謝異常症のうち、新生児マススクリーニングの対象となる疾患を選べ。 1.メチルマロン酸血症 2.フェニルケトン尿症 3.ホモシスチン尿症 4.チロシン血症 5.ムコ多糖症 a.1 2 b.1 5 c.2 3 d.3 4 e.4 5 |
[解答]c
16.6ヶ月の女児。在胎35週,胎児エコーで心臓腫瘍を指摘されたが、経過観察中に縮小した。在胎39週に仮死なく出生。出生時,体重3090g、身長50.2㎝、当為33.0㎝。5ヶ月頃から物音にびっくりしたように両上肢を挙上させる動作を5~7秒間隔で数回から10数回繰り返すようになり、あやしてもあまり笑わなくなってきたので来院した。(2) 可能性の高いものを2つ選べ。 a 木の葉様白斑 b 顔の血管線維腫 c 脳波で遅棘徐波結合 d CTで石灰化した上衣下結節 e 治療としてステロイドパルス |
[解答]a,d(?)
[解説]診断は結節性硬化症である。けいれん発作(West症候群)、知能障害、皮脂腺腫(顔面の血管線維腫)が3大症状である。
皮脂腺腫は出生児には見られず、4〜5歳頃から出現する。
検査上はMRI・CTにて石灰化した上衣下結節が認められる。
また本症では心臓の横紋筋腫、腎臓の血管近脂肪腫、肺の嚢腫、眼の網膜母斑など、全身臓器に種々の腫瘍が見られる。
17.6歳男児。家族歴、既往歴に特記すべきことはない。3日前より下痢、2日前より1日7~8回の水様下痢となり、腹痛、38℃台の発熱もみられるようになった。腹痛は排便前に最も強く、排便後に軽快した。昨日夕方より解熱したが、少しずつ便に血液が混じるようになり、本日朝より便汁の大部分を血液が占めるようになった。また、腹痛も増強した。身体所見では、皮膚異常なし。腹部全体に軽度の圧痛を認めるが、筋性防御は認めない。腸音亢進。検査所見は下記の通り。 CBC 白血球22130/μl(N75%、Ly16.5%、Mo8%、Eo0.5%)、赤血球387万/μl、Hb10.8g、Ht31%、血小板5.3万/μl 生化 TP5.5 Alb3.4 BUN28 Cr1.5 AST169 ALT30 LDH2046 T.bil 1.7 CRP3.2 尿 比重1.025 ケトン体++ 潜血++ 蛋白++ Bil- ウロビリノーゲン+ 白血球- 本症の起炎菌として最も可能性があるのはどれか。 aサルモネラ b腸管出血性大腸菌 cカンピロバクター d腸炎ビブリオ e黄色ブドウ球菌 |
[解答]b
[解説]腸管出血性大腸菌は潜伏期間は4〜8日、初期症状は下痢、腹痛などで大量の血便を呈する症例が多い。
重症例では脱水、意識障害、けいれんを来たす。
症状発症後7日前後にHUS(溶血性貧血、腎不全、血小板数減少を合併する)が発現することがある。
21.8歳女児。2ヶ月前から多飲・多尿が出現し、体重も3kg減少した。今朝から嘔吐が出現し、昏睡状態になったので救急車で来院した。口腔内は乾燥しており、クスマウル呼吸がみられた。病態について正しいものの組み合わせを選べ。 1脱水症 2低血糖 3代謝性アシドーシス 4尿ケトン体強陽性 5呼吸性アシドーシス a.123 b.125 c.145 d.234 e.345 |
[解答]c
[解説]典型的な臨床症状は、インスリン不足に伴うグルコース利用の低下、高血糖、
これによる高浸透圧利尿による多尿、このための口渇感、多飲、体重減少、脱水、全身倦怠感などである。
さらにこの状態が続くと、特に感染などが加わり、腹痛、嘔吐、著しい脱水、
深くて長い呼吸(Kussmaul呼吸)を伴った意識障害、昏睡を来たす。
- 関連記事
-