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骨盤内炎症性疾患(PID)

救急医の挑戦 in 宮崎 
を転用 (2011-09-21 配信)
http://ameblo.jp/bfgkh628/entry-11024719919.html



ご存じのとおり婦人科疾患でありますが、近年、性行為感染症(STD)の増加に伴い救急外来でも高頻度で遭遇する疾患の一つです。救急外来で『腹痛』患者をみる場合、いつも消化管の問題とは限りませんね。

婦人科疾患、泌尿器科疾患、血管外科、上腹部では呼吸器、循環器疾患なども鑑別にいれてアプローチしていく必要があります。


PIDとは女性の上部生殖管(upper genital tract)の感染症、具体的には子宮内膜炎、子宮留膿腫、付属器炎(卵管炎、卵巣炎)、骨盤腹膜炎、卵管卵巣膿瘍などを含む疾患の総称であります。

本来無菌的な状態であるべき子宮内膜、卵管、付属器、腹腔内が連絡のある下部の子宮頸部、膣、外陰を汚染、感染した微生物により生じる感染症です。


t02200204_0300027811497324706.jpg

PIDのrisk factor:

若年 ②大勢の性パートナー ③喫煙 ④月経 と言われています。



IUDに関しては以前はPIDの大きな原因の一つと考えられていましたが、現在は挿入後1か月までがriskと考えられています。

しかしながら大半のPIDの患者は明らかなrisk factorがないとも言われて
ます。risk factorがなくても否定できません。



治療の目的

1)急性炎症の治療と 2)後遺症の予防


1) 急性期の合併症である卵管卵巣膿瘍、Fitz-Hugh-Curtis症候群(肝周囲炎)への進展を防ぐ。

PIDの約10%でみられる。肝周囲炎を起こすと右上腹部痛を訴える。

フィッツ・ヒュー・カーティス症候群とは 参照



その場合もPIDの症状や所見ないかしっかり確認することが大事。

淋菌やクラミジア卵管炎によって引き起こされる。トランスアミナーゼや腹部エコーで異常を呈さない。

診断には腹腔鏡が必要であるが臨床的に疑い、他疾患が除外されてクラミジアIgA抗体が陽性あれば臨床的に診断して治療をしていく。


2) PIDの後遺症として、不妊、子宮外妊娠、慢性骨盤痛がある。

いずれもPIDを繰り返すごとにリスクが増える。

例えば、PIDを繰り返すごとに不妊のリスクは倍増する(あるデータでは1回目で8%、3回繰り返すと40%)と言われている。



診断


最も多い症状は下腹部痛です。他には発熱、性交痛、不正出血、帯下の増加がある。

典型的な症状が揃うことは多くはなく、診断が困難なことがある。


PIDの多くは軽度で、わずかな、はっきりしない症状を呈することが多くPIDとして認識されないことが多い。PIDとして診断されたことがなく、卵管性不妊を生じている場合にslilent PIDやatypical PIDを生じていると考えられる。こうした患者さんでは腹痛や性器出血を認めても発熱を伴ってないとなかなか婦人科受診に結びつかずに見逃されることがある。


臨床診断の正診率は50~75%(腹腔鏡をゴールドスタンダードにした場合)にとどまる。PIDの診断や除外に十分な単一のhistorycal,physical,laboratory findingはないため、いくつか組み合わせて考慮してく必要がある。前述のように適切な治療がなされないと後遺症が残ってしまうため、「疑わしきは罰する」という姿勢で治療する必要がある。


ではどんな時に疑うのか。


性感染症のリスクのある女性 

月経から5日以内の発症

➂発症2.3日前に最終の性交歴あり

24時間以内に両側に拡大する下腹部痛

反跳痛は強いが筋性防御は弱い



こうした特徴を考慮します。

高齢者(閉経後の婦人)でも子宮頸管の閉鎖、狭搾、寝たきりなどの状態から『子宮留膿腫』を起こすこともあります。


また少なくとも以下の二つのうちどちらかを満たし、他の原因が除外されたらPIDとして治療を考える。


子宮/付属器の圧痛 もしくは

子宮頸部を動かした時の痛み(cervical motion pain)


 他に診断の補助となるものとしては、発熱(38℃以上)、子宮頸部・腟の膿性分泌物、腟の分泌物の鏡検で白血球が存在すること、ESRの上昇、CRPの上昇、淋菌またはクラミジア・トラコマティスの子宮頸部への感染の証明といったものがある。これらに画像診断などを加えて確定診断とする。



治療


 起因菌は通常複数で、淋菌、クラミジア・トラコマティス、嫌気性菌(バクテロイデスを含む)、腸内細菌が主なものである。これらをカバーするように抗菌薬を選択する。

原則として入院加療を奨める。特に、妊婦、外科的緊急症(虫垂炎など)が除外しきれていない場合、外来での内服治療が失敗した場合、内服ができない(重度の悪心、嘔吐)、全身状態不良(高熱、腹膜炎)、卵管卵巣膿瘍があるような場合は絶対的な入院適応である。やむを得ず外来治療を行う場合も必ず3日以内の再評価が必要である。


治療例: 必ず妊娠検査を行い、妊娠している場合は感染症内科コンサルトを考慮(抗菌薬の催奇形性のため)。


救急室での治療

・セフトリアキソン(ロセフィン)1g点滴静注+ミノサイクリン(ミノマイシン)100mg点滴静注し、翌日婦人科外来へ紹介
 

・セフトリアキソン(ロセフィン)1g点滴静注+ミノサイクリン(ミノマイシン)100mgを1日2回14日


セフトリアキソン(ロセフィン)1g点滴静注+アジスロマイシン(ジスロマック)1gを経口投与


・セフメタゾール(CMZ) 2g点滴 8時間毎 + ドキシサイクリン(ビブラマイシン®)100mg 1日2回内服

 

内服治療:

・レボフロキサシン(クラビット®)500mg 1日1回 + メトロニダゾール(フラジール®)500mg 1日2回内服




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