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歯科国試に出そうな内科 腎臓5:腎構造・機能 他
![]() http://medicine.stonybrookmedicine.edu/transplant/renal%20disease%20facts 今回も管理栄養士国試の問題。 腎構造、機能 1)第19回(平成17年) 86 管理栄養士 腎臓の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)右腎臓の方が左腎臓より位置的に高い。 (2)腎小体のボウマン嚢はメサンギウム細胞から成り立っている。 (3)健常人の糸球体では1日に約20mLの原尿が作られる。 (4)腎臓はビタミンDを活性型にする。 (5)アルドステロンはヘンレ係蹄に作用してナトリウムの再吸収を促進する。 2)25-40 管理栄養士 尿の生成と排泄に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)ヒトの血漿浸透圧は、約50mOsm/Lである。 (2)ヒトは、最大約300mOsm/Lまで尿を濃縮することができる。 (3)血漿浸透圧が上昇すると、バソプレシンの分泌が低下する。 (4)腎前性急性腎不全では、高浸透圧尿となる。 (5)乏尿は1日尿量が100mL以下とされている。 3)28-39 管理栄養士 腎・尿路系の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)血液中の赤血球は、糸球体でろ過される。 (2)心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウムの排泄を促進する。 (3)尿細管で再吸収される原尿は、糸球体でろ過された量の約1%である。 (4)エリスロポエチンは、カルシウムの再吸収を促進する。 (5)レニンは、尿管から分泌される。 4)27-38 管理栄養士 尿細管におけるミネラルの調節に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)レニンは、カリウムの吸収を促進する。 (2)副甲状腺ホルモン(PTH)は、カルシウムの吸収を促進する。 (3)アルドステロンは、ナトリウムの排泄を促進する。 (4)バソプレシンは、ナトリウムの吸収を促進する。 (5)オキシトシンは、カリウムの排泄を促進する。 5)25(追加)-39 管理栄養士 血圧、体液の調節に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)レニンは、血圧上昇により腎臓から分泌が亢進する。 (2)アンギオテンシンⅠは、腎臓でのカリウムの再吸収を促進する。 (3)バソプレシンは、腎臓でのナトリウムの再吸収を促進する。 (4)アルドステロンは、傍糸球体装置から分泌される。 (5)アンギオテンシンⅡは、末梢血管を収縮させる。 6)29-40 管理栄養士 腎臓に作用する生理活性物質に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)カルシトニンは、カルシウムの再吸収を促進する。 (2)アルドステロンは、カリウムの再吸収を促進する。 (3)副甲状腺ホルモン(PTH)は、リンの再吸収を抑制する。 (4)バソブレシンは、水の再吸収を抑制する。 (5)活性型ビタミンDは、カルシウムの再吸収を抑制する。 代謝 7)25-30 管理栄養士 代謝性アシドーシスを示す病態とその機序に関する組合せである。正しいのはどれか。 (1)腎不全 - 重炭酸イオンの排泄障害 (2)1型糖尿病 - ケトン体の産生低下 (3)飢餓 - 血中二酸化炭素分圧の増加 (4)尿細管アシドーシス - 水素イオン(H+)の再吸収障害 (5)激しい運動 - 血中乳酸値の上昇 8)25(追加)-41 管理栄養士 代謝性アルカローシスの原因である。正しいのはどれか。 (1)激しい運動 (2)尿毒症 (3)過呼吸(過換気) (4)激しい嘔吐 (5)飢餓 9)29-29 管理栄養士 疾患・病態とそれらに伴う酸塩基平衡異常の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)過呼吸(過換気) - アシドーシス (2)原発性アルドステロン症 - アシドーシス (3)激しい嘔吐 - アルカローシス (4)腎不全 - アルカローシス (5)コントロール不良の1型糖尿病 - アルカロ一シス 電解質異常、各疾患 10) 28-33 管理栄養士 疾患の治療に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)血液透析は、腹膜を用いた血液浄化法である。 (2)アルブミン製剤の投与は、成分輸血にあたる。 (3)移植片対宿主反応は、輸血製剤中の赤血球が組織を傷害することをいう。 (4)心房細動には、人工ペースメーカー植込を行う。 (5)放射線治療では、食欲が増進する。 11) 25(追加)-137 管理栄養士 病態と電解質異常との関係である。正しいものの組合せはどれか。 a 原発性副甲状腺機能亢進症 - 高カルシウム血症 b 下痢による腸液喪失 - 高カリウム血症 c クッシング症候群 - 低ナトリウム血症 d 代謝性アルカローシス - 低カリウム血症 (1)aとb (2)aとc (3)aとd (4)bとc (5)cとd 12) 22-124 管理栄養士 電解質異常とそれらの原因となる病態との関係である。正しいものの組合せはどれか。 a 低カリウム血症 - 原発性アルドステロン症 b 高ナトリウム血症 - 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) c 高カルシウム血症 - 原発性副甲状腺機能亢進症 d 高カリウム血症 - 下痢による腸液喪失 (1)aとb (2)aとc (3)aとd (4)bとc (5)cとd 13) 27-39 管理栄養士 推算糸球体濾過量(eGFR)の計算に用いる項目である。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)身長 (2)体重 (3)尿中たんぱく質 (4)血清尿素窒素値 (5)血清クレアチニン値 14) 25(追加)-42管理栄養士 原発性アルドステロン症にみられる症候である。正しいのはどれか。 (1)低血圧 (2)高カルシウム血症 (3)満月様顔貌 (4)眼球突出 (5)低カリウム血症 15) 25(追加)-40 管理栄養士 腎・尿路疾患に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)小児の急性糸球体腎炎は、半数以上が黄色ブドウ球菌感染に続発する。 (2)高血圧は、ネフローゼ症候群の診断基準の1つである。 (3)血液透析の合併症に、アミロイドーシスがある。 (4)尿路結石は、尿酸結石が最も多い。 (5)大量出血により、腎後性急性腎不全をきたす。 16) 26-28 管理栄養士 健常成人の血液検査項目と、その数値及び単位の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)動脈血のpH - 7.1 (2)動脈血の酸素飽和度 - 48% (3)空腹時血糖値 - 96ℊ/ℓ (4)血漿の浸透圧 - 284mOsm/ℓ (5)血漿たんぱく質値 - 4.2ℊ/ℓ 17) 25-139 管理栄養士 慢性腎不全に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)血清リン値は、低下する。 (2)副甲状腺ホルモンの分泌は、低下する。 (3)代謝性アルカローシスを起こす。 (4)血中1α,25-ジヒドロキシビタミンD値は、上昇する。 (5)血清尿素窒素値は、上昇する。 18) 25-138 管理栄養士 成人ネフローゼ症候群に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)糸球体毛細血管のたんぱく質透過性は、亢進している。 (2)血漿膠質浸透圧は、上昇している。 (3)浮腫に対しては、水分摂取量を80㎖/㎏標準体重/日にする。 (4)たんぱく質摂取量は、1.5ℊ/㎏標準体重/日にする (5)エネルギー摂取量は、20~25㎉/㎏標準体重/日にする。 19) 25-122 管理栄養士 症状と臨床検査に関する記述である。正しいものの組合せはどれか。 a 低張性脱水では、血清ナトリウム値が高くなる。 b 溶血性黄疸では、血清間接ビリルビン値が高くなる。 c 感染による発熱では、血清C反応性たんぱく(CRP)値が高くなる。 d 頻回嘔吐では、血清クロール値が高くなる。 (1)aとb (2)aとc (3)aとd (4)bとc (5)cとd 20) 25-41 管理栄養士 透析に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)最近のわが国では、腹膜透析患者が血液透析患者より多い。 (2)物質除去能率は、腹膜透析が血液透析より高い。 (3)たんぱく質喪失量は、血液透析が腹膜透析より多い。 (4)腹膜透析では、透析液のブドウ糖が生体に移行する。 (5)血液透析の多くは、自宅で施行されている。 21) 24-141 管理栄養士 慢性腎不全についての記述である。正しいのはどれか。 (1)エリスロポエチンの分泌は、促進する。 (2)治療により回復する可逆性変化である。 (3)糸球体濾過量(GFR)は、正常の60%以上である。 (4)血清クレアチニン濃度は、1.2mg/dL以下である。 (5)尿毒症では、中枢神経症状が出現する。 解答:MOREへ スポンサーリンク 腎構造、機能 1)第19回(平成17年)86 管理栄養士 腎臓の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)右腎臓の方が左腎臓より位置的に高い。 (2)腎小体のボウマン嚢はメサンギウム細胞から成り立っている。 (3)健常人の糸球体では1日に約20mLの原尿が作られる。 (4)腎臓はビタミンDを活性型にする。 (5)アルドステロンはヘンレ係蹄に作用してナトリウムの再吸収を促進する。 (1)左右の腎臓の高さの問題はこれまでに3回も出題されているが、 右の腎臓は肝臓があるためにやや低い位置になっていると覚えておけばよい。 ![]() http://shimada-magokoro.com/2014/04/post-32.html (2)腎小体は糸球体とそれを包むボウマン嚢からなる。腎小体をマルピギー小体と呼ぶこともあるぞ。 ボウマン嚢の上皮は尿細管の上皮の続きで、1層の扁平上皮でできている。 この上皮は糸球体の基部で翻転して糸球体の毛細血管を包むタコ足細胞(被蓋細胞)に移行する。 さて、問題はメサンギウム細胞だ。これはちょっとだけ細かい知識が必要だ。 糸球体の毛細血管の内皮細胞とタコ足細胞の間には薄い基底膜が存在する。この基底膜によって血液は濾過される。 糸球体の一部には毛細血管側の基底膜とタコ足細胞側の基底膜の間に結合組織が存在する部分がある。 この結合組織の部分をメサンギウムという。メサンギウムに存在する細胞をメサンギウム細胞というんだ。 ![]() http://www.ninomiya.med.tottori-u.ac.jp/homepage/NE2.html (3)具体的な数値を示して正しいかどうか聞かれると、とたんに自信がなくなるでしょう。 いくつか腎臓の機能に関する数字を覚えなくちゃいけないが、丸覚えではすぐに忘れてしまいそうだ。 覚えやすい数字から順に考えていけばいいようにすればいいぞ。 まず1日の尿量から覚えよう。これは大体1.5Lだ。これはわかるよね。 じゃあ、次に糸球体濾過値(GFR)を覚えよう。これは大体100mL/minだ。これもきりがいいから覚えやすいよね。 単位も大事だぞ。さて、問題の原尿だが、これは糸球体で濾過された直後の、ボウマン嚢の中にある尿のことだ。 「1日に原尿がどれくらい作られるか?」ということだが、これは「1日に糸球体でどれくらい濾過されるか?」というのと同じ意味だ。 だから、1日の糸球体濾過量を求めればよい。よって、100×60×24÷1000=144Lで約150Lになる。 もうひとつの覚え方だが、糸球体で濾過された水分の99%が再吸収され、1%が尿として排泄されることを知っていれば、 1日の尿量の100倍が1日に作られる原尿の量ということで、これも約150Lになるぞ。 (4)腎臓は尿を作るところだということはみんな知っているけど、ホルモンを分泌する内分泌機能を持っていることは案外知らない人が多い。 腎臓が分泌するホルモンを3つ覚えておこう。 レニン、エリスロポイエチン、ビタミンDだ。 いずれも古典的な意味でのホルモンの範疇には入らないが、広い意味でホルモンと見なすことができる。 さて、ビタミンDだが、食物から摂取することもできるし、体内で作り出すこともできる。 いずれの場合でも、ビタミンDの活性化には肝臓と腎臓が必要だ。 肝臓と腎臓にある水酸化酵素により1位と25位の炭素に水酸基(OH)がついて活性型になるんだ。 (5)レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系は、腎臓の機能だけでなく、 循環系の調節、体液量の調節、血圧の調節など多くの場面ででてくるので、もう一度教科書をよく読んで、必ず理解しておこう。 アルドステロンが作用する部位は遠位曲尿細管から集合管へ移行する部位と皮質集合管である。 そこで、Naの再吸収とKの排泄を促進する。 正解は(4)。 2)25-40 管理栄養士 尿の生成と排泄に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)ヒトの血漿浸透圧は、約50mOsm/Lである。 (2)ヒトは、最大約300mOsm/Lまで尿を濃縮することができる。 (3)血漿浸透圧が上昇すると、バソプレシンの分泌が低下する。 (4)腎前性急性腎不全では、高浸透圧尿となる。 (5)乏尿は1日尿量が100mL以下とされている。 (1)× 数字を覚えているかどうかだけの、つまらない問題だ。ヒトの血漿浸透圧の基準値は、275~290mOsm/Lである。 だいたい280mOsm/Lと覚えておこう。 (2)× 体内の水分が多いときは、尿は希釈されて、尿量が増える。逆に、体内の水分が少ないときは、尿は濃縮されて、尿量が減る。 健常人の尿は、50~1,300mOsm/Lの範囲で変動する。つまり、血漿浸透圧の4~5倍くらいまで濃縮することができる。 (3)× バソプレシンは、下垂体後葉から分泌されるホルモンで、腎臓の集合管での水の再吸収を促進する。 つまり、体内の水分が足りないときに、水分が尿として排泄されるのを防いで、血液が濃縮されるのを防いでいるわけだ。 脱水のため血液が濃縮されて、血漿浸透圧が上昇することが刺激となって、バソプレシンは分泌される。 血漿浸透圧の上昇は、同時に視床下部にも働いて、口渇と飲水行動を起こさせる。 (4)〇 腎不全とは、腎臓の濾過機能が著しく低下して、老廃物を排泄できなくなった状態をいう。 腎前性急性腎不全とは、濾過機能低下の原因が腎臓の前にあり、急に老廃物が体内に蓄積する状態をいう。 腎臓の前とは、つまり、腎臓に血液がやってこなくなることである。 例えば、大出血や心筋梗塞によってショック状態になり、血圧が低下することが原因である。 腎臓は、血流が少なくなったので、体内の水分が少ないと判断してレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系を発動し、 水とNaの再吸収を亢進させる。その結果、尿は濃縮されて高浸透圧となり、尿量は減少する。 ちなもに、腎性腎不全のときは、尿細管障害のため、尿の濃縮も希釈もできなくなるので、等張尿となることが特徴である。 (5)× これは、言葉の定義だけの問題。 一般に、尿量が500mL以下になったものを乏尿といい、100mL以下になったものを無尿という。 ちなみに、2,000mL 以上は多尿という。 3)28-39 管理栄養士 腎・尿路系の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)血液中の赤血球は、糸球体でろ過される。 (2)心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウムの排泄を促進する。 (3)尿細管で再吸収される原尿は、糸球体でろ過された量の約1%である。 (4)エリスロポエチンは、カルシウムの再吸収を促進する。 (5)レニンは、尿管から分泌される。 (1)× 血液中の赤血球は、糸球体でろ過されない。 糸球体は、毛細血管を形成する内皮細胞と基底膜、およびその外側の足細胞(被蓋細胞)からなる。 血管内皮細胞と足細胞はコラーゲンでできた薄い基底膜を挟んで向き合っている。 この基底膜を介して血液からボウマン嚢内へ血液の濾過が起こる。 水、グルコース、アミノ酸、クレアチニン、尿素、電解質などの小分子は、基底膜を自由に通過することができるが、 たんぱく質など大きな分子や血球は通過することができない。 これを限外濾過という。 ただし、β2ミクログロブリン(HLAクラスⅠのL鎖、HLA(human leukocyte antigen)は、ヒト白血球の抗原)は、 分子量が小さいので糸球体を自由に通過し、近位尿細管でほぼ100%再吸収される。 よって、糸球体機能が障害されると、血中β2ミクログロブリン濃度が上昇し、尿細管機能が障害されると、 β2ミクログロブリンの尿中排泄が増加する。 (2)〇 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウムの排泄を促進する。 心房性Na利尿ペプチド(ANP)は、体液量が増加すると、右心房から分泌されるホルモンである。 ANPは、アルドステロンの作用に拮抗してNa-Kポンプの活性を抑制する。 その結果、集合管からのNa再吸収を抑制することにより、浸透圧利尿を引き起こして体液量を減少させる。 (3)× 尿細管で再吸収される原尿は、糸球体でろ過された量の約99%である。 濾過と再吸収の数字について、以下のように覚えておこう。1日の尿量は、約1.5ℓ/日である。 糸球体で濾過された水の1%が尿として排泄されるので、糸球体濾過量は、150ℓ/日である。 糸球体に入った血液の10%が濾過されるので、腎血流は、1,500ℓ/日である。 (4)× エリスロポエチンは、骨髄に働いて赤血球の産生を促進する。 カルシウムの再吸収を促進するのは、副甲状腺ホルモンである。 腎臓の内分泌機能として、3つ覚えておこう。 ①レニン、②エリスロポイエチン、③ビタミンDである。 レニンは、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系によって体液量を調節する。 エリスロポイエチンは、低酸素が刺激となって分泌され、赤血球を増加させる。 マラソン選手が高地トレーニングをするのは、エリスロポイエチンの分泌を促進するためである。 赤血球の寿命は120日あるので、低値の戻っても、しばらくは赤血球が増加した状態が続くので、持久力が高まるのである。 体内で産生されたビタミンD3(コレカルシフェロール)または食品由来のビタミンD2(エルゴカルシフェロール)は、 肝臓で25位が水酸化され25-OHビタミンDとなり、続いて腎臓で1位が水酸化され活性型の1,25-OHビタミンDとなる。 活性型ビタミンDは、小腸からのCa吸収を促進する。 (5)× レニンは、傍糸球体装置から分泌される。 腎臓の血流が減少すると、傍糸球体細胞(傍糸球体装置)からレニンが分泌され、 血液中を流れるアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠに変換する。 ![]() http://chousei58.com/?cat=13057&paged=9 正解(2) 4)27-38 管理栄養士 尿細管におけるミネラルの調節に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)レニンは、カリウムの吸収を促進する。 (2)副甲状腺ホルモン(PTH)は、カルシウムの吸収を促進する。 (3)アルドステロンは、ナトリウムの排泄を促進する。 (4)バソプレシンは、ナトリウムの吸収を促進する。 (5)オキシトシンは、カリウムの排泄を促進する。 (1)× レニンは、カリウムの排泄を促進する。血圧が低下すると、腎臓からレニンが分泌される。 レニンは、アンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠに変換する。 アンギオテンシンⅠは、アンギオテンシン変換酵素によって、アンギオテンシンⅡに変換される。 アンギオテンシンⅡは、副腎皮質に働いてアルドステロン分泌を亢進する。 アルドステロンは、皮質集合管でのナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促進する。 体内のナトリウム量が増加すると体液量が増加するので、血圧が上昇する。 これが、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系である。 ![]() http://www.izu.biz/pro-tecs/dive_spirit/study-four_f-1.html (2)○ 副甲状腺ホルモン(PTH)は、カルシウムの吸収を促進する。 PTHは、血清カルシウム濃度が低下すると分泌される。 PTHの作用は、 ①骨吸収の促進、 ②腎臓でのカルシウム再吸収促進、 ③ビタミンD活性化促進を介する小腸でのカルシウム吸収促進である。 その結果、血清カルシウム濃度は上昇する。 (3)× アルドステロンは、ナトリウムの再吸収を促進する。 アルドステロンは、皮質集合管の尿細管上皮の基底膜側の細胞膜のナトリウム‐カリウム・ポンプを活性化する。 その結果、ナトリウムの再吸収が促進され、カリウムの排泄が促進する。 (4)× バソプレシンは、水の吸収を促進する。バソプレシンは、集合管の上皮細胞に働いて、細胞内の貯蔵していたアクアポリンを細胞膜へ移動させる。アクアポリンは、水の細胞膜通過を促進する。 (5)× オキシトシンは、子宮と乳腺の平滑筋を収縮させる。オキシトシンの主な役割は、平滑筋を収縮させることである。 それも主な標的組織が、子宮と乳腺に限られている。 子宮では、分娩時の子宮の収縮を引き起こす。乳腺では、射乳反射を引き起こす。 正解(2) 5)25(追加)-39 管理栄養士 血圧、体液の調節に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)レニンは、血圧上昇により腎臓から分泌が亢進する。 (2)アンギオテンシンⅠは、腎臓でのカリウムの再吸収を促進する。 (3)バソプレシンは、腎臓でのナトリウムの再吸収を促進する。 (4)アルドステロンは、傍糸球体装置から分泌される。 (5)アンギオテンシンⅡは、末梢血管を収縮させる。 (1)× レニンは、血圧低下により腎臓から分泌が亢進する。 レニンは、腎臓の糸球体の輸入細動脈の内部にある傍糸球体装置から分泌される。輸入細動脈圧の低下がレニン分泌を亢進させる刺激である。血圧が低下すると輸入細動脈圧も低下するので、レニン分泌は亢進する。レニンは、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系を活性化して体液量を増加させる。輸入細動脈圧は、体液量の増減を知るセンサーになっている。 (2)× アンギオテンシンⅠには、生理活性はない。 アンギオテンシノーゲンは453個アミノ酸からなるたんぱく質である。レニンは、アンギオテンシノーゲンのN端を切り離して、10個のアミン酸からなるアンギオテンシノーゲンⅠを生成する。アンギオテンシンⅠは、さらにアンギオテンシン変換酵素の作用によりC端の2つのアミノ酸を切り離して、8個のアミノ酸からなるアンギオテンシンⅡを生成する。生理活性を持つ分子はアンギオテンシンⅡであり、アンギオテンシンⅠには生理活性はない。 (3)× バソプレシンは、腎臓での水の再吸収を促進する。 バソプレシンは、血漿浸透圧の上昇および体液量の減少が刺激となって下垂体後葉から分泌される。バソプレシンは、腎臓の集合管に働いて、水の再吸収を促進する。バソプレシンは、集合管上皮細胞内にあるアクアポリン(水分子を通過させるたんぱく質)を細胞膜に移動させることにより、再吸収を促進する。 (4)× アルドステロンは、副腎皮質から分泌される。 アンギオテンシンⅡが副腎皮質に作用すると、アルドステロンが分泌される。アルドステロンは、集合管に作用して、ナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促進する。ナトリウムの再吸収に伴い、水の再吸収も増加するので体液量が増加する。 (5)○ アンギオテンシンⅡは、末梢血管を収縮させる。 アンギオ(angio-)は、血管という意味である。テンシン(tensin)は、緊張(tension)に由来する。すなわち、血管を緊張させる物質という意味である。アンギオテンシンⅡは、体内で最も強力な昇圧物質の1つであり、ノルアドレナリンの4~8倍の血圧上昇作用がある。 正解(5) 6)29-40 管理栄養士 腎臓に作用する生理活性物質に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)カルシトニンは、カルシウムの再吸収を促進する。 (2)アルドステロンは、カリウムの再吸収を促進する。 (3)副甲状腺ホルモン(PTH)は、リンの再吸収を抑制する。 (4)バソブレシンは、水の再吸収を抑制する。 (5)活性型ビタミンDは、カルシウムの再吸収を抑制する。 (1)× カルシトニンは、カルシウムの再吸収を抑制する。 カルシトニンは、血清Ca濃度の上昇が刺激となって、濾胞上皮の基底部や間質にある傍濾胞細胞から分泌される。 カルシトニンは、破骨細胞の活動を抑制することにより、骨形成を促進して骨へのCa沈着を促進し、血清Ca濃度を低下させる。 また、カルシトニンは、尿中へのCa排泄を促進して、血清Ca濃度を低下させる。 (2)× アルドステロンは、カリウムの排泄を促進する。 アルドステロンは、腎臓の皮質集合管上皮細胞に働いてNa再吸収とK排泄を促進する。アルドステロンは、集合管上皮細胞の基底膜側の細胞膜に存在するNa-Kポンプを活性化する。その結果、上皮細胞内のNa濃度は低下し、K濃度は上昇する。集合管内のNaは、濃度勾配に従って管腔側の細胞膜に存在するNaチャネルを通って集合管上皮細胞内に流入するのでNa再吸収が促進する。一方、集合管上皮細胞内のKは、濃度勾配に従って管腔側に存在するKチャネルを通って集合管内に流出するので、尿中へのK排泄が促進する (3)○ 副甲状腺ホルモン(PTH)は、リンの再吸収を抑制する。 PTHは、血清Ca濃度が低下すると分泌が亢進する。 PHTは、 ①骨吸収を促進して、骨からのCa動員を増加させる、 ②腎臓に働いてビタミンDの活性化を促進することにより、小腸でのCaの吸収を増加させる、 ③腎臓の尿細管に働いてCaの再吸収を促進する。 以上3つの作用により、低下した血清Ca濃度を基準範囲まで上昇させる。 その他、PTHは、腎臓の尿細管に働いてリンと重炭酸イオン(HCO3-)の再吸収を抑制する。(言い換えると、リンと重炭酸イオンの排泄を促進する) (4)× バソブレシンは、水の再吸収を促進する。 バソプレシンは、血漿浸透圧の上昇、体液量の減少、痛みや精神的なストレス、外傷などが刺激となって分泌が亢進する。バソプレシンは、腎臓の集合管上皮細胞に作用して、細胞内に格納していたアクアポリンを管腔側の細胞膜上に移動させ、水の透過性を亢進させることにより、水の再吸収を促進する。アクアポリンは、水の分子が通過することができる膜たんぱく質である。 (5)× 活性型ビタミンDは、カルシウムの再吸収を促進する。 ビタミンDには、植物由来のエルゴカルシフェロール(D2)と動物由来のコレカルシフェロール(D3)の2種類がある。いずれも、肝臓で25位の炭素に水酸基がつき、腎臓で1α位の炭素に水酸基がついて、活性型ビタミンDになる。活性方型ビタミンDは、腸管からのCaとリンの吸収を促進し、腎臓でのCaとPの再吸収を促進する。また、ビタミンDは、副甲状腺からのPTHの分泌を抑制する。 正解(3) 代謝 7)25-30 管理栄養士 代謝性アシドーシスを示す病態とその機序に関する組合せである。正しいのはどれか。 (1)腎不全 - 重炭酸イオンの排泄障害 (2)1型糖尿病 - ケトン体の産生低下 (3)飢餓 - 血中二酸化炭素分圧の増加 (4)尿細管アシドーシス - 水素イオン(H+)の再吸収障害 (5)激しい運動 - 血中乳酸値の上昇 体内の緩衝系として、炭酸-重炭酸塩緩衝系が重要である。 H2CO3(炭酸) ⇔ H+ + HCO3-(重炭酸イオン) 炭酸の濃度は、主に血液中のCO2濃度によって調節される。重炭酸イオンの濃度は、主に腎臓での排泄・再吸収によって調節される。 体内での酸の産生が増加し、これを中和するための重炭酸イオンが消費されて起こるアシドーシスを、代謝性アシドーシスという。 (1)× 腎不全では、体内で発生した酸の排泄障害により体内の酸が増加する。これを中和するために重炭酸イオンが消費されて代謝性アシドーシスになる。 (2)× 1型糖尿病では、インスリン作用不足により、肝臓での解糖抑制、糖新生亢進の結果、脂肪酸の酸化が亢進して、ケトン体の産生が増加する。ケトン体であるアセト酢酸と3-ヒドロキシ酪酸は酸なので、これを中和するために重炭酸イオンが消費されて、代謝性アシドーシスになる。 (3)× 飢餓では、体内の異化が進み、酸が産生され、代謝性アシドーシスになる。すると呼吸が活発になり、肺からの二酸化炭素排泄を促進するので、血中二酸化炭素分圧は低下する。 (4)× 尿細管アシドーシスには、近位尿細管での重炭酸イオンを再吸収障害によるものと、遠位尿細管での水素イオンの排泄障害によるものの2種類がある。 (5)〇 激しい運動では、筋肉において相対的に酸素不足になり、解糖でできたピルビン酸がクエン酸回路に入ることができなくて、乳酸になる。乳酸は筋肉細胞から血液中にでて、代謝性アシドーシスを起こす。 正解(5) 8)25(追加)-41 管理栄養士 代謝性アルカローシスの原因である。正しいのはどれか。 (1)激しい運動 (2)尿毒症 (3)過呼吸(過換気) (4)激しい嘔吐 (5)飢餓 酸塩基平衡の問題では、①血中二酸化炭素(CO2)濃度が上昇するのか低下するのか、②血中重炭酸イオン(HCO3-)濃度が上昇するのか低下するのか、の2点を考えればよい。CO2が上昇するか、HCO3-が低下すれば、血液は酸性(acid)になるのでアシドーシス(acidosis)である。逆に、CO2が低下するか、HCO3-が上昇すれば、血液はアルカリ性(alkali)になるのでアルカローシス(alkalosis)である。先にCO2の変化が起こるものを呼吸性、先にHCO3-の変化が起こるものを代謝性という。 (1)× 激しい運動では、乳酸が大量に発生する。乳酸を中和するためにHCO3-が消費されて減少しるので、代謝性アシドーシスになる。 (2)× 尿毒症では、腎臓からの酸の排泄が障害される。その酸を中和するためにHCO3-が消費されて減少しるので、代謝性アシドーシスになる。 (3)× 過呼吸(過換気)では、肺からのCO2の排泄が増加する。その結果、血中のCO2が低下するので、呼吸性アルカローシスになる。 (4)○ 激しい嘔吐では、胃液中に分泌されたH+が大量に失われる。H+は、壁細胞においてH2CO3から作られるので、体内に残るHCO3-が過剰になる。その結果、代謝性アルカローシスになる。 (5)× 飢餓では、体内の異化が亢進する。その結果産生された酸を中和するためにHCO3-が消費されて減少しるので、代謝性アシドーシスになる。 ![]() pHは血漿・呼吸・腎の3つで調節している。 1)血漿の緩衝作用 血漿中の炭酸・タンパク質・ヘモグロビンなどには、 過剰の酸やアルカリと結合し中和する作用がある。 2)肺での調節(呼吸性) 通常1~3分以内に呼吸数と1回換気量を変化させて調節を行なう。 H+を二酸化炭素として排出することで調整をとる。 血漿中の炭酸が多くなりすぎるとH2CO3は二酸化炭素(CO2)と水に分解され、 CO2は呼吸によって肺胞から外に捨てられる。 呼吸機能に応じて血漿中の炭素は変動する。 呼吸性の異常では、肺胞の低換気によりCO2が上昇してアシドーシスになる場合と、 過換気によりCO2が低下してアルカローシスになる場合の2通りに分かれる。 3)腎での調節(代謝性) 数分以内に生じるが、最大効果の出現には数日を要する。 直接的に多くのH+やHCO3-を分泌、再吸収する。 血液中のpHを一定に保つように、腎臓では不要なH+、Na+、Cl-、場合によっては HCO3-などを尿中に排泄している。 代謝性因子の目安として、HCO3-(炭酸水素イオン)の増減が重要で、 24mEq/l以下で代謝性アシドーシス、30mEq/l以上で代謝性アルカローシスになる。 代謝性の異常では、体液中に酸が過剰に産生された場合や塩基が失われた場合の 代謝性アシドーシス、逆に塩基が蓄積し酸が失われた場合での代謝性アルカローシスなどがある。 ![]() ①腸の中はアルカリだから、下痢で出まくると酸性になってアシドーシスになる。 ②胃の中は酸性だから、嘔吐で出まくるとアルカリになってアルカローシスになる。 ③DM(糖尿病)だと、ケトン体(多量のアセチルCoAでH2を多く放出)がたまるため、ケトアシドーシスになる。 正解(4) 9)29-29 管理栄養士 疾患・病態とそれらに伴う酸塩基平衡異常の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)過呼吸(過換気) - アシドーシス (2)原発性アルドステロン症 - アシドーシス (3)激しい嘔吐 - アルカローシス (4)腎不全 - アルカローシス (5)コントロール不良の1型糖尿病 - アルカロ一シス (1)× 過呼吸(過換気) - アルカローシス 血液に溶解している二酸化炭素の大部分は、赤血球中に炭酸脱水素酵素の作用で炭酸(H2CO3)となって運搬される。 炭酸は弱酸なので、一部が水素イオンと重炭酸イオンに解離している。 CO2+H2O ⇔ H2CO3 ⇔H++HCO3- この式は、平衡状態にあるので、血液に溶解している二酸化炭素濃度が上昇すると、反応は右に進み、血液中の水素イオン濃度は上昇する。すなわち、pHは低下し、酸性になる。酸を英語でいうと「acid」なので、血液が酸性になることを「acidosis」という。 過呼吸では、肺からの二酸化炭素の排泄が増加するので、血液中の二酸化炭素濃度は低下する。すると、反応は左に進み、血液中に水素イオン濃度は低下する。その結果、pHは上昇し、アルカリ性になる。アルカリを英語でいうと「alkali」なので、血液がアルカリ性になることを「alkalosis」という。 (2)× 原発性アルドステロン症 - アルカローシス アルドステロンは、腎臓の集合管の上皮の基底膜側にあるNa-Kポンプを活性化する。その結果、ナトリウムイオンの再吸収とカリウムイオンの排泄が促進するので、低カリウム血症が出現する。血液中のカリウムイオン濃度が低下すると、それを補うために細胞内のカリウムイオンが細胞外に移動する。この時のカリウムの移動は、電荷のバランスを取るために水素イオンの細胞内移動と共役している。つまり、カリウムイオンと水素イオンが、細胞内と細胞外で交換される。その結果、血液中の水素イオン濃度が低下するのでpHが上昇し、アルカローシスになる。原発性アルドステロン症の症状として「高血圧」、「低カリウム血症」、「アルカローシス」の3点セットで覚えておこう。 (3)○ 激しい嘔吐 - アルカローシス 胃酸の水素イオン(H+)は、胃粘膜上皮で産生される炭酸(H2CO3)が解離してつくられる。水素イオンを胃液とともに分泌すると、体内には重炭酸イオン(HCO3-)が残る。正常な状態では、胃液に分泌された水素イオンは体内に吸収され、重炭酸イオンにより中和される。しかし、激しい嘔吐が続くと水素イオンが胃液とともに体外に排泄されるため、体内の重炭酸イオンが過剰になる。すると(1)で示した反応が左に進み、アルカローシスになる。単純には、酸を排泄するので、体はアルカリになると覚えておこう。反対に、持続する下痢により腸液に含まれる重炭酸イオンの排泄が過剰になるとアシドーシスになる。 (4)× 腎不全 - アシドーシス 腎不全では、酸の排泄が障害され、体内に酸が蓄積するため、アシドーシスになる。 (5)× コントロール不良の1型糖尿病 - アシドーシス コントロール不良の1型糖尿病では、インスリンが絶対的に不足している。そのため肝臓では解糖が抑制され、糖新生が促進される。脂肪酸のβ酸化でできるアセチルCoAは、オキサロ酢酸と結合してクエン酸回路に入るが、オキサロ酢酸が糖新生の基質として利用されるため、アセチルCoAがクエン酸回路に入ることができなくなる。その結果、細胞内にアセチルCoAが蓄積し、ケトン体の合成が促進する。2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoAができることがケトン体合成の第1段階であるが、この時放出されるCoAにより、β酸化が進む。こうして、血液中のケトン体(keton)が増加した状態をケトーシス(ketosis)という。ケトン体には、アセトン、アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸がある。アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸は酸なので、血中濃度が上昇すると血液のpHは低下し、アシドーシスになる。 正解(5) 電解質異常、各疾患 10) 28-33 管理栄養士 疾患の治療に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)血液透析は、腹膜を用いた血液浄化法である。 (2)アルブミン製剤の投与は、成分輸血にあたる。 (3)移植片対宿主反応は、輸血製剤中の赤血球が組織を傷害することをいう。 (4)心房細動には、人工ペースメーカー植込を行う。 (5)放射線治療では、食欲が増進する。 (1)× 血液透析は、体外循環と人工半透膜を用いた血液浄化法である。 血液透析は、血液を体外循環回路に導き、透析器の人工半透膜を介して、血液と透析液との間で物質交換を行う。利点は、物質除去能が高いことである。欠点は、操作が煩雑で週に2~3回通院必要とすることである。合併症として、短時間での水、溶質の除去による不均衡症候群(頭痛、悪心、嘔吐、低血圧)、体外循環による空気塞栓、抗凝固薬の使用による出血、感染などがある。長期透析の合併症として、心筋肥大(透析心)、アルミニウム中毒、二次性副甲状腺機能亢進症、透析アミロイドーシスがある。透析アミロイドーシスでは、β2ミクログロブリンが組織に沈着し、手根管症候群や破壊性脊椎関節症などを起こす。食事療法では、1回の透析による除水を体重の3~5%以内にとどめるために水分、塩分、Kを厳重に制限する必要がある。腹膜透析は、透析液を腹腔に入れて、腹膜を半透膜として物質交換を行う。水分の除去は高張ブドウ糖液(13~40g/Lグルコース、350~500mOsm/L)による浸透圧差を利用する。利点は、操作が簡便。持続式携帯型腹膜透析(Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis, CAPD)の進歩により、家庭で透析療法が可能となったことである。欠点は、物質除去能が低い、腹膜炎を生じやすい、約10年で透析できなくなることなどである。食事療法では、K制限、タンパク質制限が血液透析より緩やかである。 (2)× アルブミン製剤の投与は、血漿分画製剤の投与であり、成分輸血とは言わない。 供血者から提供された血液を全部輸血する方法を「全血輸血」という。全血を遠心分離器で分離して「赤血球製剤」、「血小板製剤」、「血漿製剤」を製造して輸血する方法を「成分輸血」という。成分輸血は、患者に必要な成分だけを取り出して輸血を行うので、輸血の副作用を軽減したり、提供された血液の有効利用につながる方法である。「血漿製剤」には、アルブミン、免疫グロブリン、各種血液凝固因子が含まれている。血漿は、さらに成分ごとに精製分離して「アルブミン製剤」、「免疫グロブリン製剤」、「血液凝固因子製剤」などが作られるが、これらは「血漿分画製剤」と呼ばれる。 (3)× 移植片対宿主反応は、輸血製剤中の赤血球が組織を傷害することをいう。 移植片対宿主反応とは、移植された組織に含まれていた免疫系の細胞(リンパ球など)が、宿主を非自己として認識し、排除する反応を引き起こし、宿主にとって不都合な症状が出現することである。輸血では、供血者のリンパ球が受血者の体内で増殖し、組織を攻撃することによって起こる。近親者での輸血は、HLAが類似しているので移植片対宿主反応が起きやすい。自己輸血ではGVHDは起きない。 (4)〇 心房細動には、人工ペースメーカー植込を行う。 心房細動は、心房全体が痙攣を起こしてブルブル震えている状態である。本来、右心房の洞房結節がペースメーカーの役割を果さなければならないが、心房細動では、洞房結節でない場所から1分間に300回以上の刺激が発生しているためにペースメーカーの役割を果たせなくなっている。人工ペースメーカーは、心筋に電気刺激を与えることで、洞房結節の代わりに心房を規則正しく収縮させる医療機器である。 (5)× 放射線治療では、食欲が減退する。 放射線治療では、消化管の粘膜炎や放射線宿酔により食欲が減退する。宿酔とは二日酔いのことである。放射線治療を受けたのち、倦怠感や,食欲不振,吐き気、めまいなどが2~3日持続する。放射線によって破壊された細胞成分の増加により、体にストレスがかかった状態になることが原因であると考えられている。 正解(4) 11) 25(追加)-137 管理栄養士 病態と電解質異常との関係である。正しいものの組合せはどれか。 a 原発性副甲状腺機能亢進症 - 高カルシウム血症 b 下痢による腸液喪失 - 高カリウム血症 c クッシング症候群 - 低ナトリウム血症 d 代謝性アルカローシス - 低カリウム血症 (1)aとb(2)aとc(3)aとd(4)bとc(5)cとd a○ 副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモン(パラソルモン、PTH, parathyroid hormone)は、骨吸収を促進して、骨からのカルシウムの動員を促進する。腎臓に対しては、尿細管でのカルシウムの再吸収を促進し、ビタミンD活性化を促進する。その結果、小腸からのカルシウム吸収を促進される。これらの作用の結果、血清カルシウム濃度は上昇する。 b× 腸液には、カリウムなどの電解質が含まれているため、下痢によりカリウム喪失が促進される。その結果、血清カリウム濃度は低下する。 c× クッシング症候群は、副腎皮質から副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイドであるコルチゾール)が過剰に分泌される。糖質コルチコイドには、弱い電解質コルチコイド作用があるが、過剰に分泌されると電解質コルチコイドとしての作用が無視できなくなる。電解質コルチコイドは、尿細管に作用してナトリウムの再吸収を促進するので、血清ナトリウム濃度は上昇する。電解質コルチコイド(アルドステロンなど)は、皮質集合管の上皮細胞の基底膜側にあるNa-Kポンプを活性化する。その結果、上皮細胞内のNa濃度が低下するので、上皮細胞の管腔側にあるNaチャネルを介したNaの取り込みが促進される。 d○ 代謝性アルカローシスでは、細胞外液中のプロトン(H+)濃度が低下する。すると細胞内からプロトンが細胞外に移動する。この時、細胞内から細胞外へのH+の移動は細胞膜上にあるH+-K+交換輸送体によって、同じプラスの電荷をもつカリウムイオン(K+)と交換される形で行われるので、細胞外のK+が細胞内に移動して血清カリウム濃度は低下する。 正解(3) 12) 22-124 管理栄養士 電解質異常とそれらの原因となる病態との関係である。正しいものの組合せはどれか。 a 低カリウム血症 - 原発性アルドステロン症 b 高ナトリウム血症 - 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) c 高カルシウム血症 - 原発性副甲状腺機能亢進症 d 高カリウム血症 - 下痢による腸液喪失 (1)aとb (2)aとc (3)aとd (4)bとc (5)cとd a〇 低カリウム血症 - 原発性アルドステロン症 原発性アルドステロン症は、副腎皮質からアルドステロンが過剰に分泌されて、高血圧、低K血症、代謝性アルカローシスなどが出現する疾患である。アルドステロンが過剰に分泌される原因として一側の良性腫瘍(80~90%)が多く、両側の過形成(10~20%)のこともある。アルドステロンは、腎臓の集合管で、Naの再吸収とK排泄を促進するので、低K血症になる。 b× 低ナトリウム血症 - 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH, syndrome of inappropriate secretion of ADH)は、下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンの分泌亢進により、体内に水が過剰貯留する病態である。抗利尿ホルモンは、腎臓の集合管に働いて、水の再吸収を促進するので、低Na血症が出現する。 c〇 高カルシウム血症 - 原発性副甲状腺機能亢進症 副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモン(パラソルモン)は、①骨吸収を促進して、骨からのCa動員を増加させる、②腎臓に働いてビタミンDの活性化を促進することにより、小腸でのCaの吸収を促進する。③腎臓の尿細管に働いてCaの再吸収を促進する、の3つの作用により、血清Ca濃度を上昇させる。 d× 低カリウム血症 - 下痢による腸液喪失 腸液には、Kが含まれている。下痢により、体外へ失われるK量が増加するので、低K血症になる。 正解(2) 13) 27-39 管理栄養士 推算糸球体濾過量(eGFR)の計算に用いる項目である。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)身長 (2)体重 (3)尿中たんぱく質 (4)血清尿素窒素値 (5)血清クレアチニン値 CKD診療ガイド2012には、血清クレアチニン濃度または血清シスタチンC濃度を用いる2種類の計算式が採用されている。 血清クレアチニン濃度を用いる推算糸球体濾過量(eGFR) 男性 194×(クレアチニン)-1.094累乗×(年齢)-0.287累乗 女性 194×(クレアチニン)-1.094累乗×(年齢)-0.287累乗×0.739 血清シスタチンC濃度を用いる推算糸球体濾過量(eGFR) 男性 (104×(シスタチンC)-1.019累乗×(0.996)年齢累乗)-8 男性 (104×(シスタチンC)-1.019累乗×(0.996)年齢累乗×0.929)-8 これからわかるとおり、推算糸球体濾過量(eGFR)の計算に用いる項目は、血清クレアチニン濃度または血清シスタチンC濃度と、年齢である。 (1)× 身長 (2)× 体重 (3)× 尿中たんぱく質 (4)× 血清尿素窒素値 (5)○ 血清クレアチニン値 正解(5) 14) 25(追加)-42管理栄養士 原発性アルドステロン症にみられる症候である。正しいのはどれか。 (1)低血圧 (2)高カルシウム血症 (3)満月様顔貌 (4)眼球突出 (5)低カリウム血症 原発性アルドステロン症(Conn症候群)は、副腎皮質からアルドステロンが過剰に分泌されて、高血圧、低K血症、代謝性アルカローシスなどが出現する疾患である。アルドステロンが過剰に分泌される原因としては、一側の良性腫瘍(80~90%)が多く、両側の過形成(10~20%)のこともある。30~50歳代の女性に多い。 ![]() http://www.uro.med.tohoku.ac.jp/patient_info/diseases16.html (1)× 過剰なアルドステロンによりNa+の再吸収が亢進するので、体液量が増加する。その結果、循環血液量も増加するので心拍出量も増加する。心拍出量が増加すれば、血圧も上昇する。よって、高血圧となる。 (2)× 血清Ca濃度は基準範囲にあることが多い。ただし、高度の低K血症があると、K+が細胞内から細胞外に移動する。それに伴ってH+が細胞外から細胞内移動する。その結果、細胞外のH+が減少するので、代謝性アルカローシスになる。アルカローシスでは、たんぱく質と結合するCa2+が増加して、イオン化Ca2+濃度が低下することから、テタニーなど低Ca血症の症状が出現することがある。 (3)× 満月様顔貌は、糖質コルチコイド(コルチゾル)が過剰に分泌されるクッシング症候群の症状の一つである。 (4)× 眼球突出は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドウ病(甲状腺機能亢進症)の症状の1つである。 (5)○ アルドステロンは、腎臓の集合管上皮細胞の基底膜側にあるNa-Kポンプを活性化する。その結果、上皮細胞内のNa濃度が低下し、K濃度が上昇する。その結果、上皮細胞の管腔側にあるNaチャネルを通ってNaが再吸収され、Kチャネルを通ってKが排泄される。その結果、低K血症になる。 正解(5) 15) 25(追加)-40 管理栄養士 腎・尿路疾患に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)小児の急性糸球体腎炎は、半数以上が黄色ブドウ球菌感染に続発する。 (2)高血圧は、ネフローゼ症候群の診断基準の1つである。 (3)血液透析の合併症に、アミロイドーシスがある。 (4)尿路結石は、尿酸結石が最も多い。 (5)大量出血により、腎後性急性腎不全をきたす。 (1)× 小児の急性糸球体腎炎は、80~90%が溶血連鎖球菌(溶連菌)感染に続発する。 上気道の溶連菌(streptococcus)感染の1~2週間後に発症する。免疫複合体が糸球体基底膜に沈着して、糸球体に炎症を引き起こすことが原因である。溶連菌感染により、血清ASO(抗ストレプトリジンO、anti-streptolysin O)値が上昇する。ストレプトリジンOは、溶連菌が分泌する菌体外毒素である。 (2)× 高血圧は、ネフローゼ症候群の診断基準に含まれない。 ネフローゼ症候群の診断基準は、①大量のたんぱく尿(3.5ℊ/日以上)、②低たんぱく血症(総たんぱく6.0ℊ/㎗以下またはアルブミン3.0ℊ/㎗以下)、③高脂血症(総コレステロール250㎎/㎗以上)、④浮腫の4項目である。このうち、①と②が必須項目である。国家試験対策として、検査の数値まで覚えておこう。 (3)○ 血液透析の合併症に、アミロイドーシスがある。 血液透析の主な合併症は、体外循環による空気塞栓、抗凝固薬の使用による出血、短時間での水、溶質の除去による不均衡症候群がある。長期透析の合併症として、心筋肥大(透析心)、アルミニウム中毒、二次性副甲状腺機能亢進症、透析アミロイドーシスがある。透析アミロイドーシスでは、β2ミクログロブリンが組織に沈着し、手根管症候群や破壊性脊椎関節症などを起こす。 (4)× 尿路結石は、シュウ酸カルシウムが最も多い。 シュウ酸カルシウム結石が、約80%を占めている。シュウ酸カルシウム結石には、リン酸カルシウムを含んでいるものもある。その他、リン酸マグネシウムアンモニウム結石が7%、尿酸結石が5%、シスチンが1%である。 (5)× 大量出血により、腎前性急性腎不全をきたす。 急性腎不全は、原因より腎前性、腎性、腎後性に分類される。 腎前性とは、腎臓に流入する血流量が急激に減少することが原因で、糸球体の濾過ができなくなって起こるものをいう。大量出血、ショックなどによる血圧低下が原因となる。 腎性とは、腎臓の疾患が原因で糸球体の濾過ができなくなって起こるものをいう。糸球体腎炎などが原因となる。 腎後性とは、尿管、膀胱、尿道の通過障害が原因で、尿の排泄が障害されて糸球体の濾過ができなくなって起こるものをいう。結石や腫瘍などが原因となる。 ![]() https://www.city.sapporo.jp/hospital/clinic/service/nephrology.html 正解(3) 16) 26-28 管理栄養士 健常成人の血液検査項目と、その数値及び単位の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。 (1)動脈血のpH - 7.1 (2)動脈血の酸素飽和度 - 48% (3)空腹時血糖値 - 96ℊ/ℓ (4)血漿の浸透圧 - 284mOsm/ℓ (5)血漿たんぱく質値 - 4.2ℊ/ℓ どうしてこんな問題を出題するんだろう。 (1)× pHの基準範囲は、7.35~7.45である。 (2)× 動脈血の酸素飽和度の基準範囲は、95%以上である。 (3)× 空腹時血糖値の基準範囲は、70~110㎎/㎗である。単位が間違い。 (4)〇 浸透圧の基準範囲は、270~295mOsm/ℓである。 (5)× 血漿たんぱく質値の基準範囲は、6.5~8.2ℊ/㎗である。 正解(4) 17) 25-139 管理栄養士 慢性腎不全に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)血清リン値は、低下する。 (2)副甲状腺ホルモンの分泌は、低下する。 (3)代謝性アルカローシスを起こす。 (4)血中1α,25-ジヒドロキシビタミンD値は、上昇する。 (5)血清尿素窒素値は、上昇する。 (1)× リン(P)は、ATPの材料となるなど、エネルギー代謝で重要な働きを持っていて、全身に分布している。血清中のリンは、約90%がリン酸またはリン酸塩として存在し、残りの約10%がたんぱく質に結合している。リンの約60%は尿中に排泄され、残りは円便中に排泄される。慢性腎不全では、糸球体濾過値が減少するため、血中に停滞するので、血清リン値は、上昇する。 (2)× 慢性腎不全では、ビタミンDの活性化が障害される。その結果、小腸からのカルシウム(Ca) の吸収が減少する。その結果、血清Ca濃度が低下する。その結果、副甲状腺ホルモンの分泌が増加する。その結果、骨吸収が促進し、骨粗鬆症や骨軟化症が起こる。 (3)× 慢性腎不全では、腎臓からの酸の排泄が障害される。その結果、体内で産生された酸を処理するために、重炭酸イオン(HCO3-)が消費され、pHが低下する。これを代謝性アシドーシスという。 (4)× ビタミンDは、肝臓と腎臓で活性化される。肝臓では1位の炭素が水酸化され1α‐ヒドロキシビタミンDとなる。「ヒドロキシ(hydroxy)」は、水酸基(OH)のことである。続いて、腎臓では25位の炭素が水酸化され、1α,25-ジヒドロキシビタミンDとなる。「ジヒドロキシ(dihydroxy)」は、水酸基が2つという意味である。慢性腎不全では、腎臓での水酸化が低下するので、1α,25-ジヒドロキシビタミンD値は、低下する。 (5)〇 尿素は、肝臓においてアンモニアから尿素サイクルによって合成される。たんぱく質が異化されるときに発生する有害なアンモニアを処理する仕組みである。尿素は、主に腎臓から尿中に排泄される。尿素窒素は、尿素に含まれる窒素を測定したものである。慢性腎不全では、腎臓からの尿素の排泄が減少するので、血清尿素窒素値は、上昇する。 正解(5) 18) 25-138 管理栄養士 成人ネフローゼ症候群に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)糸球体毛細血管のたんぱく質透過性は、亢進している。 (2)血漿膠質浸透圧は、上昇している。 (3)浮腫に対しては、水分摂取量を80㎖/㎏標準体重/日にする。 (4)たんぱく質摂取量は、1.5ℊ/㎏標準体重/日にする (5)エネルギー摂取量は、20~25㎉/㎏標準体重/日にする。 (1)〇 糸球体での濾過は、毛細血管とそれを包む足細胞の間にある基底膜の小さな穴を通して行われる。正常な糸球体では、β2‐ミクログロブリンのような分子量の小さいたんぱく質を除いて、ほとんど濾過されることはない。糸球体毛細血管のたんぱく質透過性の亢進とは、その基底膜の穴が大きくなり、アルブミンなどのたんぱく質が漏れ出てくることをいう。そのため、ネフローゼ症候群では、大量のたんぱく尿が出現する。 (2)× 「膠質」とは、コロイドのことである。コロイド(colloid)の語源は、ギリシャ語のkollaで、膠(にかわ)のことである。膠は、動物の皮、骨などを煮た液を乾かしたもので、ゼラチンを多く含んでいる。ゼラチンとは、コラーゲンを含むたんぱく質である。血漿膠質浸透圧とは、血漿たんぱく質濃度が間質液のたんぱく質濃度より高いことから、間質から血管内へ水を吸い上げる圧力は発生することをいう。ネフローゼ症候群では、大量の血漿たんぱく質が尿中に失われるために、低たんぱく血症が出現する。その結果、血漿膠質浸透圧は、低下する。 (3)× ネフローゼ症候群の浮腫に対しては、塩分制限を行う。ガイドラインでは、治療反応性良好な微小変化型ネフローゼ症候群で0~7ℊ/日、微小変化型ネフローゼ症候群以外で5ℊ/日となっている。高度の難治性浮腫がある場合は水分制限が必要であるが、80㎖/㎏標準体重/日だと、50㎏の人では4ℓ/日となり、全然水分制限したことにならない。 (4)× 従来、ネフローゼ症候群に高たんぱく食が処方されていたが、必要以上の高たんぱく食は腎機能を悪化させる可能性があり、また低たんぱく血症を改善する効果も認められないことから、現在では「日本人の食事摂取基準」を目標とするか、あるいは軽度たんぱく質制限(0.8ℊ/㎏/日)とすることが推奨されている。 (5)× たんぱく質制限を行う場合、体内のたんぱく質利用効率を上げるために、高エネルギー食とする。腎臓病の高エネルギー食は、35㎉/㎏標準体重/日が基本である。 正解(1) 19) 25-122 管理栄養士 症状と臨床検査に関する記述である。正しいものの組合せはどれか。 a 低張性脱水では、血清ナトリウム値が高くなる。 b 溶血性黄疸では、血清間接ビリルビン値が高くなる。 c 感染による発熱では、血清C反応性たんぱく(CRP)値が高くなる。 d 頻回嘔吐では、血清クロール値が高くなる。 (1)aとb (2)aとc (3)aとd (4)bとc (5)cとd a× 脱水とは、体内の水分が不足することである。体内の水分にはNaが含まれている。体外に水分が失われていくとき、失われる水とNaの割合によって、3種類に分類できる。水の喪失が大きく、Naの喪失が少ないときは、血清Na値が上昇する。そのため血漿浸透圧が上昇するので、高張性脱水という。水の喪失に比べてNaの喪失が大きいときは、血清Na値は低下する。そのため血漿浸透圧は低下するので、低張性脱水という。水とNaの喪失が血漿と同じときは、浸透圧は変わらないので等張性脱水という。 b〇 溶血性ということは、赤血球が大量に破壊されているということである。ビリルビンはヘムの代謝産物なので、多量のビリルビンが産生される。ビリルビンは、肝臓でグルクロン酸抱合を受けることによって間接型(不溶性)から直接型(可溶性)に変換される。溶血性黄疸とは、肝臓の処理能力を超えて、多量の間接ビリルビンが産生される状態をいうので、血清間接ビリルビン値は上昇する。 c〇 CRP(C-reactive protein)とは、肺炎双球菌の細胞壁のC多糖体と沈降反応を起こすので、このような名前がついている。炎症組織のマクロファージから分泌されたサイトカインが肝細胞に働いて産生される一連の急性期反応たんぱく質の代表的成分である。感染症、各種炎症性疾患、自己免疫疾患、膠原病、悪性腫瘍、心筋梗塞などで増加する。最近では、高感度CRP測定法が実用化され、正常範囲内での高値が動脈硬化症の予後予測に有用であることが示されている。 d× 嘔吐とは、胃の内容物を口から吐き出すことである。胃の内容物には胃液が含まれている。胃液には胃酸(塩酸HCl)が含まれている。よって頻回に嘔吐すると塩酸が体外に大量に失われる。その結果、体内のクロール(塩素Clのこと)は減少し、血清クロール値は低下する。 正解(4) 20) 25-41 管理栄養士 透析に関する記述である。正しいのはどれか。 (1)最近のわが国では、腹膜透析患者が血液透析患者より多い。 (2)物質除去能率は、腹膜透析が血液透析より高い。 (3)たんぱく質喪失量は、血液透析が腹膜透析より多い。 (4)腹膜透析では、透析液のブドウ糖が生体に移行する。 (5)血液透析の多くは、自宅で施行されている。 (1)× 透析治療の現状については、日本透析医学会のホームページに「図説わが国の透析療法の現状」というのが、毎年公表されているので参考にしよう。2009年の統計では、慢性透析患者数は、290,675人である。このうち、昼間血液透析が、238,878人(82.2%)、夜間血液透析が、41,712人(14.4%)、在宅血液透析が、229人(0.1%)、腹膜透析が、9,856人(3.4%)になっている。在宅で血液透析をしている人もいるんだね。 (2)× 物質除去能率は、血液透析の方が高い。 (3)× 血液透析で使用される透析膜は、たんぱく質をほとんど通さないので、たんぱく質はほとんど失われない。これに対し、腹膜透析は腹膜を透析膜として利用するため、透析液の中に、1日10g程度のたんぱく質が失われる。そのため、これまでのガイドラインでは、たんぱく質摂取量は、血液透析で1.0~1.2g/kg/day、腹膜透析で1.1~1.3g/kg/dayとされていた。しかし、「2009年版日本透析医学会腹膜透析ガイドライン」では、わが国では栄養状態が良好に維持されている腹膜透析患者のたんぱく質摂取量は0.9 g/kg/dayであること、1.2 g/kg/day以上の症例はほとんどいないこと、1.5 g/kg/day以上のたんぱく質摂取による栄養指標の改善は報告されておらず、むしろ高リン血症のリスクが問題となることを挙げ、たんぱく質摂取量は、適正なエネルギー摂取を前提とした場合0.9〜1.2g/kg/dayを目標とすることを推奨している。 (4)〇 腹膜からのブドウ糖吸収エネルギー量は、使用透析液濃度、総使用液量、貯留時間、腹膜機能などの影響を受ける。目安として、1.5%ブドウ糖濃度液2L、4時間貯留では約70 kcalが、2.5%ブドウ糖濃度液2L、4時間貯留では約120 kcalが、4.25%ブドウ糖濃度液2L、4時間貯留では約220 kcalが吸収される。よって、栄養指導では、総エネルギー量から腹膜吸収エネルギー量を引いたエネルギー量を指導する。 (5)× 自宅で血液透析をしている人は、わずか0.1%である。 正解(4) 21) 24-141 管理栄養士 慢性腎不全についての記述である。正しいのはどれか。 (1)エリスロポエチンの分泌は、促進する。 (2)治療により回復する可逆性変化である。 (3)糸球体濾過量(GFR)は、正常の60%以上である。 (4)血清クレアチニン濃度は、1.2mg/dL以下である。 (5)尿毒症では、中枢神経症状が出現する。 (1)× 腎臓の内分泌機能として、3つ覚えておこう。レニン、エリスロポイエチン、ビタミンDの3つである。慢性腎不全では、レニン分泌が促進し、エリスロポイエチン分泌とビタミンD活性化が低下する。 (2)× 慢性腎不全は、腎臓組織の非可逆的な荒廃によるもので、治療の目的は、腎機能の維持あるいは低下を緩やかにすることである。ただし、最近の慢性腎臓病の考え方によれば、早期に適切な治療を行えば、ある程度腎機能は回復するといわれている。一方、急性腎不全は、可逆的変化であることが多い。 (3)× GFRは、糸球体のろ過機能を表す指標である。腎機能が低下すれば、GFRも低下する。朝倉書店の「内科学」によれば、「通常、血清クレアチニンが2mg/dL以上、あるいはGFRが50%以下になった状態をいう」と記載されている。 (4)× クレアチニンは、クレアチンの代謝産物で、糸球体で濾過されて尿中に排泄される。糸球体のろ過機能が低下すると、クレアチニンは血液中に停滞し、血清濃度が上昇する。通常、血清クレアチニン2mg/dL以上を、慢性腎不全という。 (5)〇 尿毒症は、GFRが5%以下に低下したときに出現する腎不全の終末像である。頭痛、意識障害、振戦、痙攣などの中枢神経症状、知覚障害、脱力など末梢神経症状、高血圧、心不全など循環器症状、肺水腫など呼吸器症状、悪心、嘔吐など消化器症状、貧血など血液症状、骨粗鬆症、骨軟化症など骨症状、色素沈着など皮膚症状、などなど多彩な症状が全身に出現する。 正解(5) |
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