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某総合病院で日々、臨床で忙しい医師カズです。
各種医療職の資格試験問題に挑戦しつつ、資格を目指す方々を励ますブログです。
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今回は、息子の元にアマゾンから届いたばかりの

微生物学実践問題基礎と臨床をつなぐ500題


Lippincott's Illustrated Q & A; Review of Microbiology & Immunology



という本の日本語版。

今回は、この本の細菌学の章でのラストの問題(一部改編)から。

恐ーい 感染症  についての問題。

doctor-dreadful.png  


問題

60才男性、慢性肝炎の既往を持つ。
ミシシッピー州の海岸沿いにある彼の住居を含む、
広い範囲に被害をもたらしたハリケーンによって
発生した洪水のため、海水に約6時間漬かった。
その後発熱、蜂巣炎そして水疱性の皮膚損傷を呈した(図)。
入院後、敗血症と低血圧により数日後に死亡した。
1%塩化ナトリウム加寒天培地を用いた血液培養の結果、
らせん状で運動性のあるグラム陰性桿菌が培養された。
この疾患の起炎菌は以下のどれか。

       図
ビブリオ 
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/060531-1.html

A) ウェルシュ菌
B) MRSA
C) 緑膿菌
D) 化膿性連鎖球菌
E) ビブリオ・バルニフィカス


解答はMOREを押して

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解説、解答

グラム陰性桿菌が検出されたということで、
球菌のB) MRSA と D) 化膿性連鎖球菌は除かれる。

また、C) ウェルシュ菌、clostridium perfuringens は本疾患と似た病態、
すなわち、ガス壊疽を生じるが、この菌はグラム陽性桿菌なので、
これも省かれる。

D) 緑膿菌はグラム陰性桿菌で、
土壌、淡水、海水中など、自然環境のいたるところに
生息する環境中の常在細菌である。

しかし、本疾患のような皮膚病変は呈さない。
むしろ、熱傷後や開放骨折の開放創に生ずる二次感染で生ずることが多い。
膿が緑色色素であるピオシアニンを含むため、緑色を呈し、
特有の鼻を突くような臭気がある。

ということで、

正解はE) ビブリオ・バルニフィカス


以下は感染情報センター:http://idsc.nih.go.jp/disease/vulnificus/vulnificus.html
空の引用改編です。


ビブリオ・バルニフィカスとは?

腸炎ビブリオやコレラ菌などと同じビブリオ科に属し、
腸炎ビブリ(Vibrio parahaemolyticus)と性状などで
共通点も多いグラム陰性桿菌

ビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus)の名前は
この菌が創傷(wound=vulnus)を起こすことに由来しています。

V. vulnificus 
http://imgbuddy.com/vibrio-vulnificus.asp

主に
暖かい海水中の甲殻類や魚介類の表面や
動物性プランクトンなどに付着しつつ増殖
し、

周囲の海水中にも遊出します。

2~3%の塩分濃度で良く増殖.

海岸の近くの海水中や海水と淡水が混じりあうような場所に住んでいて、
海水の水温が15℃以上になると増えます

汚染された魚介類の摂取(経口感染型)や
皮膚の創傷など(経皮感染型)から人に感染します。



nrmicro1476-f1.jpg
http://www.nature.com/nrmicro/journal/v4/n9/fig_tab/nrmicro1476_F1.html



どのような症状をおこし、どのくらいの症例があるか?

健常者では下痢や腹痛を起こすこともありますが、
重症になることはほとんどありません。

しかし、

免疫力の低下している人や
特に肝硬変などの重大な肝臓疾患のある人

なとでは注意が必要となります。

また、

治療のために 鉄剤の投与を受けている貧血患者 

注意が必要という指摘もあります
(医系微生物学:朝倉書店、初版本p.211)。

肝臓でのクリアランスの低下や、
血清鉄が細菌の病原性や増殖性を増すことなどから、
細菌が血液中に侵入し、数時間から1日の潜伏期の後、
峰巣炎等の皮膚病変の拡大や、
発熱、悪寒、血圧の低下などの敗血症様症状を起こし、
生命を脅かすことがあります。

この細菌が血行性に全身性感染をおこした場合、

致死率は50~70%

と非常に高くなります。

米国ではメキシコ湾沿岸の州を中心に1988年から1995年までに300例以上の報告があります。
国内でも現在までに分かっているだけでも100例以上が報告されています。

治療

テトラサイクリン、第三世代セファロスポリン系抗生剤の投与。
対症療法。
救命のために早期に広範囲の壊死組織切除。

***************

私も似た症例を経験しました。

肝硬変のある60歳代の鮨職人で、普段から生魚をさばいている。
ある日、小さな切創から急に右前腕を中心に激痛を伴う腫脹。
来院時は意識状態もやや低下した状態。
壊死性筋膜炎を疑い、大学の3次救急センターに転送。
転送同日に広範デブリードマン、その翌日に肩離断術行うも、
数日でお亡くなりになったらしい。
菌はビブリオではなかったらしいですが。

******************

それにしても怖い感染症です。


Group A strep. (A群溶血性レンサ球菌) と共に

人食いバクテリア と言われている所以がよくわかります。

20度以上の水温に生息している海産物を、
温かい場所で生の手でさばいたり、
生で食したりしないこと!
特に肝臓疾患を患っている人
アルコール多飲傾向の方は要注意!!
浜名湖などは危険地帯かも。



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2015/05/11 07:00 感染症・微生物学 TB(-) CM(0)
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