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医師国試では未出の脳疾患
国試の選択肢としては、出されていますが。 臨床問題としてはまだ出されていないようです。 今回の国試では出されるかも? USMLE Step 1 1st AID Q&A (3rd edi)から改題です。 質問形式を変えて、”微生物学実践問題:基礎と臨床をつなぐ500題”にも出ています。 米国では、頻度が比較的多い疾患なのかもしれません。 では、問題。 50歳、女性。 HIV陽性で他院で治療歴あるも、詳細は不明であった。 片麻痺、認知能低下が悪化したため某クリニックを受診。 患者のCD4 陽性リンパ球数 22/mm3。本患者のMRIを下に示す。 髄液所見:軽度の蛋白増加、ミエリン塩基性蛋白陽性であった。 ![]() T2WI ![]() T1WI ![]() FLAIR ![]() Gd-T1WI 問1 以下の疾患のうち、どれが最も考えられるか。 A Creutzfeldt-Jakob病 B アルツハイマー病 C 進行性核上性麻痺 D 進行性多巣性白質脳症 E パーキンソン病 F 視神経脊髄炎(NMO) 問2 本疾患と関係の深いものは、以下のうちどれか。1つ選べ。 A タウ蛋白 B βアミロイド蛋白 C ヘルペスウィルス D 抗アクアポリン4(AQP4)抗体 E JC virus F 異常プリオン 解答:MOREへ スポンサーリンク 50歳、女性。 HIV陽性で他院で治療歴あるも、詳細は不明であった。 片麻痺、認知能低下が悪化したため某クリニックを受診。 患者のCD4 陽性リンパ球数 22/mm3。本患者のMRIを下に示す。 髄液所見:軽度の蛋白増加、ミエリン塩基性蛋白陽性であった。 ![]() T2WI ![]() T1WI ![]() FLAIR ![]() Gd-T1WI 問1 以下の疾患のうち、どれが最も考えられるか。 A Creutzfeldt-Jakob病 B アルツハイマー病 C 進行性核上性麻痺 D 進行性多巣性白質脳症 E パーキンソン病 F 視神経脊髄炎(NMO) 問2 本疾患と関係の深いものは、以下のうちどれか。1つ選べ。 A タウ蛋白 B βアミロイド蛋白 C ヘルペスウィルス D 抗アクアポリン4(AQP4)抗体 E JC virus F 異常プリオン 正解: 問1 D 問2 E 解説 実は、すでに 免疫不全患者の脳炎?において、同じ問題文から転用したことを忘れていたようです。かたちを変えて出題ということで、お許しを。 HIV患者、つまりAIDSにて免疫能が低下。 CD4 陽性リンパ球数 22/mm3<50/mm3 とかなりの免疫不全状態。 髄液中には髄鞘破壊を示唆するミエリン塩基性蛋白が陽性 この状態で、片麻痺、認知能低下などmultifocal な脳症状。 (画像所見) 右前頭葉に、T1強調像で低信号、T2強調像・FLAIRでやや不均一な高信号を呈し、 Gd造影にて増強されない病変を認める。 病変は白質主体であり、灰白質が保たれている。 各画像で脳質や大脳鎌の変移なし(mass effect -) 分布はACA領域およびMCA領域にまたがり、血管支配に無関係である。 以上から、 D 進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy:PML)が最も疑われる。 従って、原因はJC virusで問2はEが正解。 (病理診断) 進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy:PML) 主病変は白質にあり、高度の髄鞘崩壊からなる。 特殊染色と併せ、PMLが疑われた。 JCV特異抗体および抗SV40 large T抗原の免疫染色で陽性となり、最終診断に至った。 (経過) 開頭術が施行され、上記診断となった。 感染症増悪などで状態悪化し死亡。 【PMLについての概略】 ・多発性の脱髄を来たす進行性の疾患。 ・JC virus (ポリオーマ virusの1種)の感染による。 成人の70%以上が感染している。 腎臓に無症候性に持続感染しているとされる。 宿主の免疫機能低下により、乏突起細胞内のウイルスが増殖し発症する。 ・好発部位は後頭葉、頭頂葉、前頭葉の白質で、特に皮質下のU-fiberが侵される。 小脳、視床、基底核、脳梁も侵される。 ・一般にMRI T2強調像で高信号。 Gdによる造影増強やmass effectは稀。 ・有効な治療法はなく、多くは1-4ヶ月程度で死亡と予後不良。 一部に長期生存例あり。 引用画像、解説は以下のサイトも参考 問題 https://aih-net.com/medical/depart/housya/tf/case491/index.htm 解答 https://aih-net.com/medical/depart/housya/tf/case491/answer.htm 問1の選択肢: A Creutzfeldt-Jakob病: 認知症関係 画像診断2で扱いましたが、画像所見が違います。B アルツハイマー病: 若年型アルツハイマーということもあるが、発症パターンも違う。 C 進行性核上性麻痺: やはり、脳幹の萎縮を示すハチドリサインが示されていない。 E パーキンソン病: resting tremor, akinesiaについての記載なし。 F 視神経脊髄炎(NMO): 脳MRIで造影効果がある場合が多いので、否定的。 問2の選択肢: A タウ蛋白 B βアミロイド蛋白 AB共に、アルツハイマー病と関係する。 老人斑: ベータアミロイドが前駆体蛋白質の代謝の過程で細胞内に生じ、 それが細胞外に放出され凝集し沈着したものです。 タウ蛋白がリン酸化酵素によってリン酸化されると、 タウ蛋白は微小管から離れタウ蛋白同士で結合し神経原線維変化を生じると考えられている。 ![]() http://www.brain.riken.jp/bsi-news/bsinews1/no1/issue4.html C ヘルペスウィルス AIDSであれば、ヒトヘルペスウイルス8によるカポジ肉腫は有名。脳疾患とは関係ない。 D 抗アクアポリン4(AQP4)抗体: 視神経脊髄炎との関連が有名。 F 異常プリオン: Creutzfeldt-Jakob病の原因。 本疾患;PMLとの関係はない。 |
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