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かず

Author:かず
某総合病院で日々、臨床で忙しい医師カズです。
各種医療職の資格試験問題に挑戦しつつ、資格を目指す方々を励ますブログです。
内容は、国内の医師、歯科、薬剤師、看護師国試など、さらには米国医師資格試験(USMLE)、米国歯科医師資格試験(NBDE)あたりの問題にも挑戦する予定です。
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今回は新作問題です。
内容的には、内科、整形、放射線専門医試験レベルかもしれません。


問題


75歳女性。高血圧症,高脂血症にて某内科外来通院中で、
いずれもコントロールは良好で治療は食事療法とスタチンのみ。
数日前から,突然左頚部、左肩、左背部に疼痛出現。
その翌日には,更に痛みが強くなり着替え,寝返りも困難となる。
疼痛出現後3日目に某院外来受診。
意識は清明で四肢麻痺は認めない。
発熱はなく,皮疹なし。左後頚部筋肉には強い圧痛あり、項部硬直も認めた。
赤沈47mm,CRP2.5mg/dl,初診時に撮った頸部CT(横断像)を図に示す。
入院の上、NSAIDS投与3日で疼痛は軽快した。

CDS.jpg

http://motomix1955.at.webry.info/200803/article_3.html



以下のうち、最も考えられる疾患はどれか?

a 髄膜炎
b 頚椎症
c 慢性関節リウマチ
d 環軸関節偽痛風
e 急性クモ膜下出血
f 頚椎後縦靭帯骨化症


解答はMOREをクリック

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解説と解答


正解:dの環軸関節偽痛風


整形的には、b と fは頚部痛が生じるが本例のように急に生じるのではなく、慢性の経過をとる。

a とe は急性に発症し、項部硬直を認めるが本例のようにNSAIDSのみで軽快はしない。

c の RAは多発関節痛もあり悩ましいところであるが、左右対称性に手関節、手指、肩、肘に
疼痛が生じるが、本例ではこのような記述はない。

したがって、消去法で d の環軸関節偽痛風ということになる。

CTを見ると、densの周りに王冠を被せたような石灰沈着 (下の写真、ただし別症例:矢印)を認める。
いわゆる、Crowned Dens Syndrome (CDS) と呼ばれる。

F2_large.jpg 
http://jbjs.org/content/89/12/2732


なお、本問題症例は、某ブログ記事で呈示された報告:
http://motomix1955.at.webry.info/200803/article_3.html
をもとに作成したものであることを断っておきます。


Crowned Dens Syndrome (CDS) について
 (http://blog.goo.ne.jp/da350350350/e/ab549349ba7aa45c2f7b283cb987bc1b より)

・頸部の急性偽痛風は、戴冠状の軸椎歯突起症候群 crowned dens syndrome(以下CDS)
 としても知られており、歯突起周囲関節組織の結晶沈着によって特徴付けられる
 頸部痛のまれな原因である。

・最初にBouvetらによって1985年に記載、 軟組織石灰化の画像所見で定義されている
 臨床画像診断的症候群である。

・偽痛風はピロリン酸カルシウム水和物(以下CPPD)析出により、
 それはしばしば特発性であるが時折、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、副甲状腺機能亢進症や
 低マグネシウム血症、を含む代謝条件により沈殿させうる。

・CDSは多くは、主に60歳以上の女性 に起こる。
 患者の多く(65 %)が膝や、手首、足首の硝子軟骨などでCPPD沈着
 の一次的部位での軟骨石灰化を持つ。

・Roveranoらは、末梢性CPPDの probable or possibleと診断された患者で
 頸部CTスキャンを行い、28名のうち20(71%)での歯突起周囲石灰化を見い出したが、
 うち9名のみが頭頸部症状を有していた。

・逆に、Sekijimaにより一連のCDSと診断された14人の患者では、
 関節症状を持っていなかった。
 CDSは末梢病変なしで独自に発生する可能性がある。

・軸椎歯突起周囲の混濁はCDSのしばしば画像的特徴で、
 多くは環椎横断靭帯の繊維内の結晶析出によるものと考えられる。
 冠状ビューで歯突起周囲で "王冠のような外観crown-like" になる。 
 しかしこの混濁所見は単純X線検査では明らかではない。
 CT検査がCDSのゴールドスタンダードの画像診断法として認識されている。

・CT画像上の歯突起周囲の石灰化の実証は、歯突起後方に限られたわけではなく、
 後藤らの放射線分類では後方のみ(50%)、後側方(27.5%)、円形(12.5%)、
 前方(5%)または横(5%)、であった。

・頸椎MRIはCDS診断に一般的に役に立たないが、椎間板炎、悪性腫瘍および脊髄症などの
 重要な鑑別を除外するために使用してもよい。

・CDSの様々な発症様式のため、PMR 、髄膜炎、巨細胞性動脈炎、椎間板炎、頸部脊椎症、関節リウマチ
 および強直性脊椎炎と誤診されるかもしれない。

発症は通常急性
 患者は一般的に重度の頸部痛を呈し、多くの場合、頸部の著明なこわばりと回転制限を伴う。
 疼痛はしばしば頭頸部接合部に局在し、疼痛は頸椎へ放射する。
 CRPは、しばしば著しく上昇。

CDS 予後は良好で、
 大半では高用量NSAID、コルチコステロイド
 または併用療法で1週間以内に完全に回復
する。

・NSAIDはCDSのファーストライン治療薬である。
 その投与はしばしば炎症マーカーの迅速な正常化、歯突起周囲石灰化消失をもたらす。
 コルチコステロイド単独で、またはNSAIDsとの組み合わせも効果的である。

・CDS患者で、NSAIDや全身性コルチコステロイドで疼痛は完全に良くならず、
 C1-C2のコルチコステロイド注で寛解に入った症例の報告がある。

・疾患自然史としてより重篤で神経学的合併症が起こりうるのか縦断研究は行われていないが、
 頸部や歯突起周囲の巨大なCPPD病変が、環軸椎不安定性、脊髄圧迫、
 頚椎減圧を必要とするミエロパシーの原因となる症例がある。


類似疾患:急性石灰沈着性頚長筋腱炎
https://www.yodosha.co.jp/rnote/gazou_qa/9784758105279_1a.html

頚長筋にCPPDが沈着。
CDSと同様に頚部痛を生じる。
しばしば、咽後膿瘍との鑑別を要する。

9784758105279_1pic4.jpg
頚部CT縦断像:頸長筋腱付着部に一致した石灰化像

9784758105279_1pic2.jpg
MRIでは第1から第2頸椎前面の頸長筋頸椎付着部は腫大しており,
その前方に液体貯留と思われる上下に連続する高信号域をT2強調像にて認める。





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