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今回は新作の臨床問題。
少し難しいかも? 内科専門医かリウマチ専門医クラスの問題かもしれない。 ただ知っていれば、簡単。 問題 60歳、男性。昨日から何の原因もなく急に、両側の手や手指を中心に激痛が生じたということで、 某整形外科を受診。また、数年前から腰背部痛もあり、時々アセトアミノフェンも服用している。 既往歴;高血圧、突発性難聴。皮膚科などの受診歴はない。 理学所見として、両側の手に腫脹を認めたが熱感はなく、他の関節部には自発痛もなかった。 血液検査所見;RBC 570(×10 4/μl)、Hb10.0(g/dl)、WBC 12000(/μl)、Plt 21(×104/μl)、 CPK、GOT、GPT:正常範囲内。CRP 10.3(mg/dl)、リウマトイド因子(RF):陰性、 抗CCP抗体:陰性。 なお、手の単純X線写真では明らかな異常は認めなかったが、 腰椎X線で椎間板の狭小化と前縦靭帯に連続する骨棘を認めた。 以前の検査では、HLA-B27 陰性。 来院時の手の写真を示す。 ![]() 以下の疾患のうち、最も考えられるものはどれか。 a 慢性関節リウマチ b 乾癬性関節炎 c RS3PE症候群 d Heberden結節 e 偽痛風 医師国試、内科専門医準備のために必携 また、臨床家における知識のup to dateのために
解説はMOREを! スポンサーリンク 高齢の男性に生じた両側性の関節炎で、 リウマチ因子、ならびにRAに特異的な抗CCP抗体陰性、 つまりseronegative arthritis。 a 慢性関節リウマチ RAの診断基準としては、 1)少なくとも1時間以上持続する朝のこわばり.(6週間以上持続) 2)3個以上の関節の腫張.(6週間以上持続) 3)手(wrist),中手指関節(MCP),近位指関節(PIM)の腫張.(6週間以上持続) 4)対称性関節腫張. 5)手・指のX線変化. 6)皮下結節.(リウマトイド結節) 7)リウマトイド因子陽性. 1~4は6週間以上持続. 本症例は両側性であるが、1か所に過ぎず、リウマトイド因子陰性であることで、 まず、否定的。 b 乾癬性関節炎 d Heberden結節 e 偽痛風 は、全てseronegative arthritisには属する。 まずは、dのHeberden結節であるが、 高齢女性に多い手指DIP関節に起こる変形性関節症。 X線で異常がないこと、肉眼所見でDIPを中心とする指の変形は認められない。 ということで、否定的。 ![]() DIP関節症はHeberden結節 PIP関節症はBouchard ブカール結節 と呼ばれる http://www.webmd.com/arthritis/heberdens-and-bouchards-nodes から引用 また、 eの偽痛風も高齢の方に多いが、昨日に解説したように、 X線像での、CPPD沈着による石灰化病変の記載はないので、 これも、否定される。 bの乾癬性関節炎であるが、下の写真の如く 皮膚の病気である乾癬(psoriasis)に、腫れと痛みを伴う関節炎を合併した病気である。 また、若い方に多い。 本例の写真では下に示すような皮膚病変は見られない。 ということで、これも × ![]() http://kannsen.net/photo/photo/ から引用。 残るは、 c RS3PE症候群 写真を見ると、両手が浮腫状で右手で圧痕を残している。 いわゆる、pitting edemaを呈している。 正解は、これ。 RS3PE症候群 (remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema) である。 自然に良くなる傾向のある、圧痕を伴う浮腫を伴う血清反応陰性の対称性滑膜炎。 以下は慶応病院のサイト:http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000718.html からの引用改編したものです。 RS3PE症候群について 特徴 1)60歳以上の高齢者(男性:女性=4:1)に好発し、 2)手背に指で押すと凹む様な圧痕浮腫を伴う、 3)リウマトイド因子陰性、 4)X線上関節破壊をきたさない、 5)比較的急性に発症する左右対称性滑膜炎を特徴とします。 症状 発症は突然です。 左右対称性の滑膜炎による手指や足指の関節痛、両側手背・足背の圧痕を残すむくみ、 手指屈筋腱の炎症による痛みがみられる。 通常、むくみには発赤や熱感は伴わない。 また、この病気は、消化器系(胃・腸)や造血器系(血液)、前立腺などの 悪性腫瘍(がん)を合併することもあります。 診断 確立した診断基準はありません。 血液検査では、炎症反応(CRP上昇)を認め、MMP-3も著増することが多い。 リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体、抗核抗体をはじめとする各種自己抗体は通常陰性。 骨のX線では骨びらんや関節破壊は認めない。 この病気と似ている病気として重要なものにリウマチ性多発筋痛症(PMR)と 高齢発症の関節リウマチがあるので、発症の仕方や各種検査結果をもとに診断する。 むくみに発赤や熱感がある場合には、蜂窩織炎や深部静脈血栓症などの可能性もある。 治療 少量の副腎皮質ステロイドが第一選択。 ステロイドが非常によく効く ことがこの病気の特徴で、 プレドニゾロン10~15mg/日程度の投与で、 関節痛やむくみなどの症状が数日のうちに速やかに改善する。 多くの症例では、ステロイドを徐々に減らし、半年~1年以内に中止。 ステロイドを使用しても再燃を繰り返したり、改善しない例や、 X線で骨破壊があらわれてくる例では、関節リウマチなどの他の疾患への診断の見直しが必要となる。 聞いた事がない という方も多いかもしれません。 しかし、知っていれば解答するまでに困難はないでしょう。 なお、問題の手の写真は http://japaneseclass.jp/trends/about/RS3PE から引用したものです。 |
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