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免疫不全患者に起こる脳炎の問題

F1_small.gif
http://www.ajnr.org/content/21/4/670.figures-only


USMLE step 1 Q&A (2012) から


問題 (日本語訳)

HIVに罹患したホームレス37歳女性。

4週前から片麻痺、視力障害、認知低下の悪化で来院。

本患者のCD4細胞数:22/mm3

MRI T2強調画像にて数か所に高信号像を認めたが、

造影剤による強調はなく、また浮腫効果も認めなかった。

腰椎穿刺では正常圧、CSF分析では蛋白の軽度上昇と

髄鞘蛋白陽性、僅かに単核球増加。

本患者の臨床像の原因として最も考えられるものはどれか?

 

A)   Cortical tuberculoma

B)   Cytomegalovirus encephalitis

C)   JC virus

D)   Primary central nervous system lymphoma

E)   Toxoplasmosis

 


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解説と解答


1)AIDS患者(免疫低下状態)

2)症状:視力障害、片麻痺など運動障害、知能・記憶障害など痴呆症状などの大脳の機能障害。

3)髄鞘破壊を意味するCSF中のミエリン蛋白の存在はあるが、
  蛋白、糖などの異常はない。

4)脳MRI T2強調画像にて数か所に高信号像

以上から最も疑われる疾患としては、
進行性多巣性白質脳症(PML)である。
したがって、原因となるものはJC virusということになる。

F) 正解:JC virus


進行性多巣性白質脳症(PML)について

http://www.nanbyou.or.jp/entry/278



病因・病態
JCウイルスの初感染は無症候で、その後、主に腎臓の集合管上皮に持続 感染していると考えられている。
また骨髄や末梢血B細胞中にもウイルス DNAが検出され、潜伏持続感染しているものと考えられている。
これらの 細胞に持続感染しているJCウイルスが宿主個体の免疫不全
(特に細胞性免 疫不全)により再活性化され、PMLを発症
すると考えられる

症状
PMLの臨床症状は病名である「多巣性」を反映して多彩であるが、

よく見られる初発症状は

・片麻痺・四肢麻痺
・認知機能障害
・失語・視覚異常
などである。

その後,初発症状の増悪とともに
四肢麻痺・構音障害・嚥下障害・不随意運動・脳神経麻痺・失語などが加わり、
失外套状態に至る。

また、治療に伴う免疫再構築により中枢神経内のJCウイルス排除の免疫反応が起こり、
治療介入後に臨床症状(および画像所見)の増悪をみることがある
免疫再構築症候群;immune reconstitution inflammatory syndrome: IRIS)。

検査所見
一般生化学検査では炎症反応などはみられない。

脳脊髄液においても通常は異常所見を認めない。

脳脊髄液のJCウイルスDNA遺伝子検査はPMLの診断における強力なツールであり、
その感度は約80%、特異度は約99%とされている。

頭部MRIでは

大脳白質の病変が主体で、多発性に認めることが多い。
T1強調画像で低信号、T2強調画像およびFLAIR画像で高信号を呈する。
拡散強調画像では、新しい病変は高信号を呈し、古い病変は信号変化が乏しくなり、
リング状の高信号病変を呈することが多くなる。

通常、浮腫/mass effectは伴わず、増強効果も認めない が、
PML治療に伴うIRISでは増強効果やmass effectを認めることが多い。

292x300xPML-292x300_jpeg_pagespeed_ic_TzJSdvIrH1.jpg

http://www.diagnosisms.com/2012/12/08/pml/


治療
JCウイルスに対する特異的な治療はない。
そのためPML治療は基礎疾患 に伴う免疫能低下を回復/正常化を目指すことが主体となる。
PML治療中のIRISに関しては状態によりステロイドパルス療法が行われる。


選択肢について

A) Cortical tuberculoma  ×
HIV患者では本病のリスクはあり、似たような臨床像は呈する。
しかし、CSF検査で蛋白上昇と糖の低下を認める

B) Cytomegalovirus encephalitis ×
CMV脳炎もPMLに類似した症状を呈するが、
脳皮質、皮質下の白質に脳質周囲にエンハンス効果+ということで×

D) Primary central nervous system lymphoma
CD4細胞数<50mm 3で起こりえる。
MRIではエンハンス効果+で浮腫効果陽性。

E) Toxoplasmosis
HIV患者の脳占拠病変としてよく起こる。
画像所見;病変は多くの場合多発性で、約90%の症例でリング状の造影または増強効果がみられる。
病変は浮腫及び占拠効果を伴い、皮質、皮質?髄質境界部、基底核などに認められることが多い。
トキソプラズマ IgG (EIA)、IgM(EIA)、トキソプラズマ抗体(PHA)など陽性。



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2015/06/06 23:31 脳・神経 TB(-) CM(0)
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