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全部床義歯ポイント10選!
ロムニー配信24号から抜粋改編


さあ、これからあなたは全部床義歯について真剣に学ぶことになると思います。

今回は全部床義歯の入門ということで、基礎事項を10個挙げます。


1 筋形成にて

モダイオラスが関与して形成されるのはどれか。2つ選べ。

A 舌小帯
B 頬小帯
C 舌下腺部
D 顎舌骨筋後方窩
E バッカルシェルフ

ご存じのように、舌小帯や舌下腺部は「舌の挙上や前突、左右の口角をなめる」などで形成される。
また、顎舌骨筋線後方窩は「嚥下」あるいは「舌の前突」で形成される。

なお、臨床的には顎舌骨筋線部(後方窩ではない)は「舌で反対側の頬粘膜に触れる動作」で形成する。

そして、B の頬小帯、E のバッカルシェルフ(頬棚)は「口角の牽引」「口をすぼめる」などで形成するが、
ともにモダイオラスが関与する。

モダイオラス (Oral Studio):
口角外側部で口裂周囲の筋群(口輪筋、頬筋、頬骨筋口角下制筋、笑筋など)が収束して交錯する部位。
小臼歯部へ向かう強い圧迫点となるため義歯の設計において考慮される部位である。

cor_pic37.gif 
http://www.hirano-shinbi.com/correct/



解答:B,E

★ここでポイントなのは、モダイオラスを動かすことで形成するのは「頬小帯」である一方、
バッカルシェルフはモダイオラスそのものを動かすことで形成するのではなく、モダイオラスが関与するというニュアンスだ。

過去の国家試験にて、モダイオラスの動きで形成されるもので、「バッカルシェルフ」は不正解となっている。

念のため、上顎について筋圧形成をみていこう。

・義歯床縁前方部 ➡ 上口唇を動かす
・義歯後縁正中部 ➡ 嚥下する
・翼突下顎ヒダ ➡ 開口する
・頬骨弓後方ポケット ➡ 下顎の左右運動



2 バッカルシェルフの特徴

頬棚の最大の特徴は次の2 つ!

・厚い皮質骨で覆われる
・下顎義歯の支持域に最適な部位(咬合力に対して直角に対向しているため)


したがって、もし国家試験で「頬棚をリリーフする」などという選択肢があったら、
それはもってのほかということだ。

バッカルシェルフ buccal shelf area (Oral Studio)

全部床義歯の主要な圧負担域であり、
前方は頬小帯、内側は歯槽堤、外側は外斜線、
後方はレトロモラーパッドによって囲まれている区域である。
顎堤の吸収による変化が少ない.

anatomical-landmarks-of-mandibule-11-638.jpg 
http://www.slideshare.net/janmejaymaravillosa/anatomical-landmarks-of-mandibule


3 リリーフする部位

・抜歯窩
・骨鋭縁
・切歯乳頭
・オトガイ孔(顎骨の吸収が著しい場合)
・下顎隆起、口蓋隆起
・顎舌骨筋線
・口蓋ヒダ
・正中口蓋縫合
・フラビーガム
など

緑枠は忘れやすい点

このような選択肢をなんとなく覚えていると「頬棚」が紛れ込んでいると正解にする人がしばしばいます。

リリーフとは無圧です。

頬棚はむしろ加圧します。
なぜならば、下顎の支持域として最適だからです。
なお、加圧に用いるのは例えば『モデリングコンパウンド』など。

リリーフ  relief area (Oral Studio):

【概要】
義歯床下粘膜に圧力が加わらないようにする。

【詳細】
上顎前歯部顎堤にはしばしばフラビーガムが認められる。
被圧変位量が大きいフラビーガムは印象圧によって変形するため、
可能な限り無圧的に印象採得し、フラビーガムを変形させない方がよい。
そのため、模型上でフラビーガム該当部をパラフィンワックス1 - 2枚でリリーフし(緩衝)し、
さらに遁路(逃げ道)を設けて個人トレーを製作する。
また被圧変位量が小さい口蓋隆起、下顎隆起、舌骨筋線部など、
骨隆起が著明な部位は圧緩めた方が疼痛を生じるおそれがない。
この部位もシートワックス1 - 2枚でリリーフ(0.2mm - 0.5mm)しておく。

リリーフすべき部位は、
フラビーガム、口蓋隆起、下顎隆起、顎舌骨筋線部、外骨症、骨吸収不全部、
ナイフエッジ上顎堤、抜歯窩、オトガイ孔部、切歯乳頭である。

impressions-in-complete-dentures-38-638.jpg 
http://www.slideshare.net/drshebinabraham/impressions-in-complete-dentures



4 フレンジテクニック

意義
義歯床翼部(フレンジ)の形態を周囲組織の生理的な運動により形成印象し、
人工歯列弓と義歯床研磨面の形態を決定する方法。


目的
唇・頬圧と舌圧とが拮抗したスペース(ニュートラルゾーン)に人工歯を配列し、
適切な義歯床翼形態を決めることにより、周囲組織が義歯を包み込み密着し、安定維持が高まる

★その結果として「義歯の維持・安定性を図る」ことが目的となります。
★用いるワックスは「ソフトプレートワックス」



5 咬合高径が低い

・審美障害
・咬傷のリスク
・口角の下垂
・関節音の発生(顎関節の異常)
など




6 咬合高径が高い

・審美障害
・発音障害
・嚥下困難
・筋肉の疲労
・下顎の歯槽部全体の疼痛
・床下粘膜全体の疼痛
・人工歯の衝突音
など





7 ゴシックアーチ

・タッピングポイントは「中心咬合位」と一致。
・アペックスは「中心位」と一致。



8 チェックバイト

前方チェックバイト
➡ 両側の矢状前方顆路傾斜を調節!

側方チェックバイト
➡ 平衡側の矢状顆路傾斜を調節!
側方顆路角(ベネット角)を調節!

中心位チェックバイト
➡ 下顎模型の咬合器への装着


問題の問われ方としては、

・矢状前方顆路角を調節できるのは?・・・前方チェックバイト!
・ベネット角を調節できるのは?・・・側方チェックバイト!
・下顎を咬合器に装着できるのは?・・・中心位チェックバイト!


9 咬合採得の流れ

しばしば、ゴシックアーチは水平的顎間関係の決定のため、
「垂直的顎間関係の決定」のすぐ後に行う!と答える方がいますが、それは誤りです。

それはいわば「仮の顎間関係の決定」に過ぎず、ゴシックアーチは本格的な水平的顎間関係の決定であるため、
咬合器に装着してから行います。

このような差を理解していないと、国家試験では痛い目を見ます。

ここでは全体の流れを示します。

まず、リップサポートを決定します
(ただし、これは後半のろう義歯試適後に問題がある場合は調整をするため、ある種の仮決定です)。

続いて仮想咬合平面の決定をします。その後の流れは・・・

➡垂直的顎間関係の決定
➡水平的顎間関係の決定(仮)
➡転覆試験
➡標示線の記入
➡咬合器に装着(ポイントは「上顎の模型を装着」するということ!:フェイスボウを用いる!)
➡下顎模型の咬合器への装着
     (ただし、これは「仮」です。この先、中心位チェックバイトを採得してから本格的に装着します)
➡ゴシックアーチ描記装置の装着
➡水平的顎間関係の決定
➡チェックバイトで採得!(中心位、前方位、側方位の3 か所!)
➡中心位チェックバイトにて「下顎模型を再装着」
➡咬合器上で採得した前方、側方チェックバイトを用いて顆路調節!



追加:
105D‐50 の問題にて、既に咬合器装着された上顎咬合床模型の写真があります。

その上で「次に行うのはどれか」という問題になっていますが、本来は「下顎模型の装着」ですが、
この問題ではそもそも、「それは仮でしょ!」と言わんばかりに、
それを飛ばして「水平的顎間関係の決定」となっています。
しかし、仮と言えども、下顎模型をまずは装着するため、この問題は不適切です。

以下にその問題載せます。

105D-49, 50
次の文により49、50の問いに答えよ。

83歳の男性。上下顎全部床義歯を製作中である。
瞳孔中央から口角までの距離は90 mm、
上下の咬合床を装着して咬合した場合の鼻下点安オトガイ底間距離は93 mmである。
下顎の咬合床(別冊No. 47A)と製作過程の写真(別冊No. 47B、C、D)とを別に示す。

IMG_1193.jpg 

IMG_1194.jpg 

D49 写真Cの状態に対する咬合堤上面への処置で正しいのはどれか。1つ選べ。

a 下顎全体を削除する。
b  上顎臼歯部を削除する。
c 上顎全体にワックスを追加する。
d  下顎前歯部にワックスを追加する。
e  下顎臼歯部にワックスを追加する。

D50 次に行うのはどれか。1つ選べ。

a  表示線の記入
b  水平的顎位の決定
c  臼歯部人工歯の選択
d  下顎模型の咬合器への付着
e  前方チェックバイトの記録

正解:
105D049; B
105D050; B


10 前歯部の人工歯選択の決定にて、「患者の性格」は関与するか?

関与する➡SPA 要素のP はパーソナリティのP、すなわち、「性格」が関係する。

前歯部の人工歯選択をするときは、次のファクターを見る。

1:Williams の3 基本形態

2:SPA 要素(S:性別、P:性格、A:年齢)

3:大きさ
例)➡上顎犬歯の遠心は「口角線」に一致させる
例)➡上顎犬歯の尖頭は「鼻翼線」の一致させる

4:材質➡例)➡上下顎のクリアランスが少ない時は、レジン歯を用いる

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