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微生物学実践問題 4章 から改編して出題
(写真はオリジナルとは違います) 問題 問1 カナダの農村出身の70歳男性。 胆のう摘出術を受けた術中に肝のう胞が見つかった(写真上)。 すぐに切除されたが処置中にかなりの量ののう胞液が 腹腔に溢れてしまった (写真下;のう胞液の内容物顕微鏡所見を示す)。 アナフィラキシーショックを防ぐためアドレナリンが投与され、 何事もなく回復した。 手術中の出来事を考慮に入れた上で、この患者の退院後の 長期的な予後はどのようになると考えられるか? 以下から選べ。 ![]() ![]() A) 大変よいが、アニサキス症に対して腹腔手術を受ける 必要がある。 B) 良いが、臓器幼虫移行症の治療を長期間にわたり 受けなければならない。 C) エキノコッカス症の再発に注意すべきである。 D) 彼はクリプトスポリジウム症により1カ月以内に 死亡する。 E) アメーバ症が全身に広がる可能性が高く、 予後は良くない。 ところで、本患者は羊牧場で働いていたことが判明した。 牧羊犬として飼育されている全ての犬の糞便検査で 本寄生虫が陽性であった。 問2 人がこの寄生虫に感染する経路は以下のどれか? A) 加熱していない羊の肝臓の摂取 B) 加熱が不十分な羊肉の摂取 C) 羊の糞の経口摂取 D) 犬の排泄物の摂取 E) 羊の解体作業の不十分な手洗い 問3 今後、牧羊犬がこの寄生虫に感染しないようにするために 最も効果的な処置法は以下のうちどれか? A) 定期的に羊を駆虫する。 B) 生の羊の内臓を犬に食べさせない。 C) 犬への回虫ワクチンの接種 D) 犬への条虫ワクチンの接種 E) 羊への腸管寄生虫ワクチンの接種 解答はMOREを スポンサーリンク 問1 病歴からして、エキノコッカス症。 顕微鏡写真は多包虫の原頭節を示し、包虫砂と呼ばれ、 のう胞液中に多数存在する。 万が一、術中に包虫液をこぼすと、のう胞が再び形成される。 正解:C 問2 エキノコッカスなどの包虫症は、犬やキツネの排泄物に存在する虫卵が人の口から入ることによる。 この寄生虫は羊の糞便にはライフサイクルを通してみられない。 牧羊犬と作業した後には、感染を避ける上でも適切な手洗いの施行が必要不可欠。 羊の肝臓や生肉中の虫体はエキノコッカス症の人への感染源とならない。 正解: D 問3 牧羊犬が羊の臓物へ接触しないようにすることで、 牧場内での犬を介したこの寄生虫のライフサイクルは 成立しなくなる。 正解:B 写真の出典 写真下: http://en.wikipedia.org/wiki/Echinococcus_granulosus エキノコッカス症 (Wikipedia) 単包条虫 Echinococcus granulosus による単包性症と 多包条虫 Echinococcus multilocularis による多包性エキノコックス症がある。 単包性エキノコックス症は牧羊地帯に好発し、 日本においては輸入感染症として認知されている。 当症は、キタキツネやイヌ・ネコ等の糞に混入したエキノコックスの卵胞を、 水分や食料などの摂取行為を介して、ヒトが経口感染する事によって発生するとされる、 人獣共通感染症である。 ![]() http://www.city.sapporo.jp/minami/kenkou/ekino.html 卵胞は、それを摂取したヒトの体内で幼虫となり、おもに肝臓に寄生して発育・増殖し、 深刻な肝機能障害を引き起こすことが知られている。 肝臓癌と誤診され外科手術時にエキノコックス症と判明することもある. ![]() 患者CT所見(Wikipedia) ![]() エキノコックス 虫体外観 なんとも滑稽な感じですが、怖い寄生虫。 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Echinococcus-multilocularis-adult.jpg 症状: 感染初期の嚢胞が小さい内は無症状だが、やがて肝臓腫大を惹き起こして 右上部の腹痛、胆管を閉塞して黄疸を呈して皮膚の激しい痒み、腹水をもたらす事もある。 次に侵され易いのは肺で、咳、血痰、胸痛、発熱などの結核類似症状を引き起こす。 無症状の潜伏期間が長くは成人で10年から20年、小児で5年以上かかるといわれている。 そのほかにも、脳、骨、心臓などに寄生して重篤な症状をもたらす事がある。 また、嚢胞が体内で破れ、包虫が散布されて転移を来たす事もしばしばある。 内容物が漏出するとアナフィラキシーショックとなる。 本虫の引き起こす症状は大型の条虫よりも重篤である。 診断 • 血清検査 o ELISA法により血清中のエキノコックス抗体を検出する。 o ウエスタンブロット法 (WB) により抗体陽性確認を行う。 • 問診 o 北海道在住か北海道への旅行歴がある (北海道に生息しているキタキツネがエキノコックスに感染している場合があるため)。 • 理学的所見 o 関節に骨性の肥大が見られる。 • 胸部レントゲン撮影、胸部CTスキャン、腹部レントゲン撮影、腹部CTスキャン、 カソニ皮内試験、間接血球凝集検査 o 嚢胞の存在と位置を確認。 • 腹部エコー所見 o 石灰化陰影が粒状に認められる。 • 腹部X線所見 o 肝臓の部位に一致して卵殻状の石灰化が見られる。 • 腹部CT所見 o 嚢胞壁に石灰化が見られる点が特徴的である。 • 末梢血所見 o 好酸球増多 • 生検 o 腹腔鏡 根治治療 手術療法 有効な治療であるが、臨床症状が出現した時点ではもはや取りきれない事が殆どである。 また嚢胞の位置と患者の状態から外科的切除が困難な場合がある。 化学療法 手術療法が困難な場合に行われる。 本症に対する内服薬は、1981年(昭和56年)にアルベンダゾール albendazole が開発され、 欧米で用いられてきた。日本でも1994年(平成6年)に認可され、使用が可能となっている。 |
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