スポンサーリンク
解説シェーグレン症候群の病理における病理所見はどれか。すべて選べ。
a 腺房細胞の萎縮・消失
b 導管の拡張
c 導管周囲の巣状の炎症細胞浸潤
d 肉芽腫の形成
e 筋上皮島の形成
正解 abce
まずは、 cは絶対はずせない。SSの診断基準上、
口唇小唾液腺組織(項目A)もしくは涙腺組織(項目B)のいずれかの組織を採取し、
顕微鏡での観察により判定をします。
シェーグレン症候群では、
腺の導管周囲に免疫細胞であるリンパ球が異常に多く浸潤しており、
「4mm²あたり1focus(導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤)以上」の状態の場合には、
シェーグレン症候群の陽性所見として判定。
また、導管周囲にリンパ球(
主にTリンパ球)が浸潤すれば、
あるところでは、浸潤により導管は委縮してしむだろうし、
また、閉塞して腺からの液がつまれば拡張もする。
abも正解。
ミクロ像(HE弱拡大):口唇腺生検。小葉内導管周囲に巣状の炎症細胞浸潤(*)がみられる。
浸潤細胞はTリンパ球が主体である。唾液腺は腺房細胞の萎縮・消失や導管の拡張を示している。
病理コア画像:
http://pathology.or.jp/corepictures2010/07/c04/01.html から
導管周囲に巣状の炎症細胞(リンパ球)浸潤をみたら、SSは考慮しましょう。
問題はde
d 肉芽腫の形成
肉芽腫の形成する疾患は以下の如く (Wikipedia)
赤字は重要感染症 寄生虫:住血吸虫症、内臓および皮膚リーシュマニア症、アメーバ赤痢、
内臓幼虫移行症、回虫症
細菌:腸チフス、ブルセラ症、野兎病、リステリア症、エルシニア症、アクチノマイセス症、
猫ひっかき病、心内膜炎、ウィップル病、ノカルジア症、腹部膿瘍
マイコバクテリウム属:結核、非定型抗酸菌症、類結核型ハンセン病
ウイルス:サイトメガロウイルス、エプスタイン・バール・ウイルス、
B型インフルエンザウイルス、センダイウイルス
真菌:ヒストプラズマ症、コクシジオイデス症、ブラストミセス症、クリプトコッカス症、
アスペルギルス症、カンジダ症、ニューモシスチス肺炎
その他:Q熱、鼠径リンパ肉芽腫、梅毒
腫瘍:ホジキン病、リンパ腫、腺癌、腎細胞癌、慢性骨髄性白血病
炎症:サルコイドーシス、
炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、
血管炎および結合組織病(多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、
巨細胞性動脈炎、関節リウマチ、アレルギー性血管炎など)、
過敏性肺臓炎、
痛風を合併した乾癬、結節性紅斑
薬剤:スルホンアミド、アロプリノール、フェニルブタゾン、フェニトイン、イソニアジド、
ペニシリン、メチルドーパ、ヒドララジン、プロカインアミド、ハロタン、
セファレキシン、プロカルバジン、ジアゼパム、メトトレキサート、経口避妊薬
化学物質:デンプン、タルク、Freund完全アジュバント、ベリリウム、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、
硫酸バリウム、油(鉱物油、パラフィン、造影剤)、炭素、脂質、縫合糸、カバーガラス
肝胆道疾患:原発性胆汁性肝硬変(PBC)、特発性肝硬変、
肝炎(C型急性肝炎、慢性活動性肝炎、アルコール性肝炎)、
胆管周囲炎、脂肪肝、脂肪肉芽腫
この中で、自己免疫疾患関係では、
サルコイドーシス、RAなどはあるが、
SS症候群では肉芽腫形成はない。
従って、
dは×
e 筋上皮島の形成
筋上皮島〔きんじょうひとう〕epimyoepithelial island とは?(
http://www.medo.jp/dicde.htm から)
• 唾液腺疾患のbenign lymphoepithelial lesion`良性リンパ上皮性病変`と
Sjogren's syndrome`シェーグレン症候群`にみられる
•腺組織の腺房や腺管がさきに破壊されて、筋上皮細胞だけが残り、細胞の集団を作る
拡張した導管における筋上皮島 epimyoepithelial islandの形成と導管周囲の硝子化
http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/chapter8/html8/8_c_006.html から
この病理像もよくおさえておきましょう。
- 関連記事
-