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今回は108回歯科国試から、炎症関係の病理についての問題。
問1: 108歯A-28 炎症巣のH-E 染色病理組織像(別冊No. 2)を別に示す。 正しいのはどれか。1 つ選べ。 ![]() a 漿液性炎 b 化膿性炎 c 出血性炎 d 壊疽性炎 e 線維素性炎 問2: 108歯A-103 急性炎症の特徴に該当しないのはどれか。 1 つ選べ。 a 好中球の浸潤 b 細静脈の拡張 c 血管透過性の亢進 d 線維芽細胞の増殖 e フィブリンの析出 バイブル的な病理学テキスト
しっかり勉強した後のご褒美に! 解説と解答はMOREをクリック スポンサーリンク 炎 症 inflammation http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~ortho/med/pat/patho1-4a.html 炎症は,発赤・発熱・疼痛・腫脹を特徴として,局所の血管の反応で起こる。 さらに,機能障害が加わる. 局在により限局性 local,びまん性 diffuse に分ける. 持続期間により急性,慢性に分ける. 急性炎症 acute inflammation :ほぼ4週以内の経過をとるもので, 慢性炎症 choronic inflammation :数か月から数年以上にわたるものである. 物理的原因・化学的原因・生物学的原因などで, ② 変質(組織傷害・退行性病変), ②循環障害と滲出(毛細血管拡張・透過性亢進,タンパク成分滲出など), ③進行性病変,が組み合わされて現われる. この①や②は初期状態・急性炎 acute inflammation を示し, 主体となる炎症性細胞は好中球 neutrophile ・単球 monocyte である. このあと滲出・血管拡張は減退し,リンパ球 lymphocyte ・形質細胞 plasma cell の浸潤が主体となるのが慢性炎 choronic inflammation である. さらに,③では肉芽組織が形成されていく. ここでは単球から変わったマクロファージ macrophage が成分となる. 1.急性期 i. 炎症の種類 a. 変質性炎:退行性変化(変性・壊死)が著明な炎症をいう. b. 滲出炎:滲出性変化を主とする炎症 1. 漿液性炎 : 成分が血清(漿液)からなる炎症性浮腫を主体とする(狭義 滲出炎) 2. カタル性炎 : 損傷を伴わない粘膜の滲出物を主体とする 3. 線維素性炎 : 高度な透過性亢進,多量の線維素(血漿成分,フィブリン) を含む偽膜性炎 4. 化膿性炎 : 多量の好中球による膿を主体とする,いわゆる急性炎の典型. ① 膿瘍=限局性に中心組織が壊死し,空洞に膿貯留 ② 蜂窩織炎=びまん性の炎症 ③ 蓄膿(症)=腔内に膿が貯留 5. 出血性炎 : 赤血球を多量に含む、出血性素因や毛細血管の障害が原因 6. 壊死性炎: 組織の壊死・脱落・欠損がおこるもの. 7. 腐敗性炎(壊疽性炎): 腐敗菌の感染による壊死破壊.悪臭が特徴 2.慢性期 細胞の増殖と組織の線維化を特徴とする(修復もしくは機能障害). i.増殖炎 proliferative inflammation ・非アレルギー反応:マクロファージ・線維芽細胞・新生血管を含む肉芽組織の増殖. ・アレルギー反応:肉芽組織の中にリンパ球・マクロファージの強い増殖. プラスマ細胞を多数含むこともある. ii.特異性炎,あるいは肉芽腫炎 granulomatous inflammation 類上皮細胞や巨細胞を含む肉芽腫性結節が特徴. Ⅳ型遅延アレルギー(細胞性免疫)の関与する慢性増殖炎. ・類上皮細胞:マクロファージ由来で,特に貪食機能の亢進した状態. ・巨細胞:マクロファージ由来で,特異的な形態をなす. Langhans型巨細胞など ►▸▶肉芽腫炎:結核,サルコイドーシス,梅毒,Hansen病 ►▸▶マクロファージのかたまりが「肉芽腫」,修復組織は「肉芽(組織)」. 問1 以上の炎症概略の説明から、 問1は全て急性炎症についての組織像を問う問題である。 問題の組織像(下)をよく見ると、 分葉核をもつ細胞、つまり好中球 neutrophil が多数集族しているのが明らか。 上の図は、膿 pus を示している。 ということで、本組織像は化膿性炎 suppurative inflammation である。 正解はb ついでに、今後の出題に備えて他の急性炎症の病理組織像について。 a 漿液性炎 serous inflammation (Wikipedia) 液体成分主体の滲出物の炎症で急性期炎症初期の炎症性充血を伴う病変のこと。 毛細血管網の発達した組織に起こりやすく、 一般的に滲出液中にフィブリノゲンを含まない為、 淡黄色でほぼ透明であるが、 時々少数の好中球が混じり微かに混濁することがある。 漿液性炎症では、滲出液は吸収され、 瘢痕は残らず治癒することが多い。 尚、皮膚や粘膜に限局して漿液が貯まるものは水疱 blister と呼ぶ。 粘膜に起こった場合はカタル性炎症となる。 ![]() 表皮細胞直下に生じた水泡性病変(serous cavity)を示す http://cai.md.chula.ac.th/chulapatho/chulapatho/general/inflammation/mserous1.html c 出血性炎 hemorrhagic inflammation (Wikipedia) 炎症巣の滲出性炎症のことであり、著しい出血がみられる。 多量の赤血球細胞を含んでいる炎症細胞なので、血管壁は傷害を受けている。 ![]() 出血性炎: ミクロ像(HE強拡大):細気管支壁が高度な炎症により破壊され、 周囲実質に炎症の波及(単球、好中球浸潤)と出血を伴う。 http://pathology.or.jp/corepictures2010/05/c07/04.html d 壊疽性炎 gangrenous inflammation (Oral Studio) 化膿性炎あるいは壊死性炎を起こした組織に腐敗菌などの二次感染が 起こって腐敗分解した病態 ・腐敗性炎ともいう 局所は汚い腐敗性を帯びて軟化し、インドール、スカトールなどの産生 によって悪臭を放ち、 またガスを発生する細菌感染の場合にはガス壊疽となる。 壊疽性炎の例としては、 壊疽性虫垂炎、腐敗性気管支炎、肺壊疽、 流産後の壊疽性子宮内膜炎、壊疽性扁桃炎、 壊疽性口内炎など。 ![]() 壊死性筋膜炎 necrotizing fascitisの組織像 左上方に脂肪組織を囲む大きなエオジン好性の無構造な壊死病巣と 右下方に広がる好中球浸潤を認める e 線維素性炎 (sero)fibrinous inflammation (Oral Studio) ・急性炎症の形態のひとつ ・フィブリノーゲンが血液から滲出し、組織の滲出液中に線維素フィブリンが形成されて細網状に沈着する 漿液を多く含む漿液線維素性炎では、フィブリンは綿状を呈する。 線維素性炎は主に、漿膜、粘膜および肺胞などで認められるが、 血管、組織間質、組織の実質中にもほかの炎症性変化に合併して現れることがある。 線維素の分解過程により、漿液性炎と異なり瘢痕化して治癒することがある。 《参考:偽膜性炎》 ・線維素性炎のひとつ ・喉頭、咽頭、気管支、消化管などの粘膜面に線維素性滲出物が膜状に沈着する状態 ![]() 大葉性肺炎の組織像:肺胞内に好中球とともにフィブリン滲出を認める。 http://www.pathopedia-india.com/Inflammation3.htm ![]() 炎症性細胞とfibrin網を示す偽膜性炎(ジフテリア) 左方に偽膜に包まれた菌体も認める。 http://www.pathopedia-india.com/Inflammation3.htm 問2 上記説明から、急性炎症では a 好中球の浸潤 b 細静脈の拡張 c 血管透過性の亢進 e フィブリンの析出 は正しい。 d 線維芽細胞の増殖は 慢性炎症の特徴である。 答え d |
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