スポンサーリンク 少し難しい出血性疾患 (109医I 56改題) - 医療関係資格試験マニア
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109回医師国試験 I 56を歯科国試用に改編しました。

109ig17.jpg

歯科では出題されることはないでしょうが、
話題提供と消去法のトレーニングのために出してみました。


問題

抜歯予定にて大学病院の口腔外科に来院した70歳、男性。
最近、歯をみがくと血が止まりにくいとの愁訴もあり、
念のため凝固系などの検査を行った。
なお、これまでに出血症状の既往はない。
血液所見:
RBC 30万、Hb 6.8g/dL、Hct 20%、
WBC 6400 (桿状核好中球 6%、分葉核好中球 54%、好酸球 2%、単球 6%、リンパ球 32%)
Plt 30万、出血時間 3分20秒(基準7分以下)、
PT 90% (基準 80-120%)、APTT 64.7秒 (基準対照 32.2)、
血漿フィブリノゲン 256mg/dL(基準 200-400)、血清 FDP 4 μg/ml(基準 10以下)
第Ⅷ因子活性 6%(基準 78-165)、第Ⅸ因子活性 92%(基準 67-152)、
von Willebrand因子活性は正常。

本患者で最も考えられる疾患はどれか。

A 血友病 A
B 血友病 B
C 後天性血友病
D 播種性血管内凝固症候群(DIC)
E 突発性血小板減少性紫斑病 (ITP)
F 再生不良性貧血


解答:MOREへ

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解答


抜歯予定にて大学病院の口腔外科に来院した70歳、男性。
最近、歯をみがくと血が止まりにくいとの愁訴もあり、
念のため凝固系などの検査を行った。
なお、これまでに出血症状の既往はない。

血液所見:
RBC 30万、Hb 6.8g/dLHct 20%
WBC 6400 (桿状核好中球 6%、分葉核好中球 54%、好酸球 2%、単球 6%、リンパ球 32%)
Plt 30万、出血時間 3分20秒(基準7分以下)、
PT 90% (基準 80-120%)、APTT 64.7秒 (基準対照 32.2)、
血漿フィブリノゲン 256mg/dL(基準 200-400)、血清 FDP 4 μg/ml(基準 10以下)
第Ⅷ因子活性 6%(基準 78-165)、第Ⅸ因子活性 92%(基準 67-152)、von Willebrand因子活性 正常。

本患者で最も考えられる疾患はどれか。

A 血友病 A
B 血友病 B
C 後天性血友病
D 播種性血管内凝固症候群(DIC)
E 突発性血小板減少性紫斑病 (ITP)
F 再生不良性貧血


正解 C



出血時間・PTは正常だが、APTTのみ遅延あり。
実質的に医師国試でも初出題となる疾患であり、
消去法でのアプローチが有効であったと思われる。

a・b 「これまでに出血症状の既往はない」とのこと。
    これらであれば小児期から症状がみられるはず。

    通常の歯科国試であれば、APTT延長、第Ⅷ因子活性低下ということで
    血友病Aを選んでしまうだろう。
    しかし、年齢的にこの年まで出血傾向がなかったこと自体、
    通常の先天性血友病ではない。



c 正しい。後天性血友病が考えられる。

d 播種性血管内凝固〈DIC〉では出血時間やPTも異常となる。
  FDPも上昇するはず。

e 特発性血小板減少性紫斑病〈ITP〉では出血時間も遅延する。

f 汎血球減少 (pancytopenia)はないことから違う。


後天性血友病 A http://www.nanbyou.or.jp/entry/542

1. 概要
凝固Ⅷ因子が後天的に著しく減少するため、止血のための血栓が弱くなって容易に分解されるので、
自発的に、あるいは軽度の打撲などの誘因によって重篤な出血症状を呈する疾患。

2. 疫学
不明(約100人/年以上と推測)

3. 原因の解明
症例の半数は、凝固ⅩⅢ因子に対する自己抗体(インヒビター)による。
残りの半数は原因不明。

4. 主な症状
一般検査の凝固時間(PT、aPTTなど)の延長や血小板数の減少が見られない原因不明の出血。
筋肉内、皮下出血が多いが、身体のどの部位にでも出血し得る。

後天血友病 
http://reference.medscape.com/features/slideshow/acquired-hemophilia

後天性血友病では上図のように、重篤な紫斑を認めることが多い。



5. 主な合併症
出血する部位によって様々な合併症が起こり得る。
特に頭蓋内出血では神経系に、胸腔内では循環系に重大な障害を起こし、致命的となる場合もある。


6. 主な治療法
急性期には、出血を止めるための濃縮ⅩⅢ因子製剤による補充療法が不可欠であるが、
インヒビター例では、投与したⅩⅢ因子活性が中和されるため止血を達成することは容易ではない。
さらに、免疫抑制剤で自己抗体の産生を阻止する必要がある。


1134a21c4f97eb5b.jpg 
http://www.3nai.jp/weblog/entry/30468.html


ちなみに、オリジナルの問題は以下のごとく。


109i56.jpg

 109ig17.jpg



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2016/11/11 21:42 血液:歯科 TB(-) CM(0)
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